文学系心理士の自己投資ブログ

文学系心理士の感想部屋

文学系心理士が好きなことを徒然なるままに書きまくるブログ。小説、NETFLIX、たまに心理学のことも♪

【読んだ本】12月に読んだ本

12月も終わって1月。今年の目標とか読みたい本とか書きたいなと思うけれど、まずは12月に読んだ本のまとめ。

↓12月に読みたかった本はこちら↓

 

oljikotoushi.hatenablog.com

 

その裁きは死

ホーソーンシリーズの2作目。1作目と同じような部分もありつつ違う面もあって王道のミステリーでよかったです。

 

ヒポクラテスの誓い

ヒポクラテスの憂鬱

ヒポクラテスの試練

ヒポクラテスの悔恨

ヒポクラテスのシリーズを一気読みしたよ〜!基本的には1冊に幾つかの短編が入りつつ全体のストーリーもある構成になってました。

研修医の栂野が法医学教室に入って検死をすることで事件を解決していく物語。一気読みしたこともあってか同じような事件が繰り返されてしまう部分もあったけれど、ミステリーが好きな私としては十分楽しめました。法医学のミステリー本って読んだことなかったからその切り口もよかった。ストレスなくサクサク読めるのも良い。

ドラマは「iゾンビ」とかたくさんあるよね〜。

 

准教授・高槻輝良の推察9

久しぶりに続編を読んでみた。最近は本当の怪異もよく混ざってきてていいね。

 

女神の花嫁 前編

女神の花嫁 中編

女神の花嫁 後編

流血女神伝の外伝。謎の強すぎ美女・ラクリゼの幼少期からの人生が描かれる。

最初はカリエ出てこないしな…って思ってたのだけど、読んでいくともう夢中になって!ラクリゼのその後の人生も全部ラクリゼの視点で見たい〜!ってなりました。久々に好きになったシリーズものかも。ちょっと荻原規子先生を彷彿とさせるのだけど、荻原先生の作品よりはエグい箇所が多い。ある意味で現実的というか。一方でファンタジーっぽさも強いから不思議なんだよね。

新品の本がないのでkindleで読んでるんだけど紙の本も欲しい!!新しく新装版出ないかな〜。最初の方は2巻くらい出てるんだよね。続きも…。

 

ポアロのクリスマス

なんか前もクリスマスに読んだな、と思いながら読む。似たような設定が多いからか今回も最後の方まで犯人に気づけず笑。

まあそのお陰で十分に楽しめました。クリスマスこそ悪意が集まるよ的なポアロの言葉以外は特にクリスマスっぽい場面はなく。クリスマス・プディングの冒険の方がイギリスのクリスマスっぽい描写があったと思う。

 

おいしいご飯が食べられますように

やっと読めました。なんか前から気になっていて読みたいな〜と思ってて読めてなかったのだよね。1時間くらいで読めたのでもっと早く読めばよかったなと思いました。意外に短かった。

最初は物語の本筋が掴めないと思っていた(話題になった時にやばい女的なのを見てたので…)。でも実際は何か劇的なことがあるわけではなく、同じ感じで物語は続く。意図的であったにしろ何にしろこんなにうまくいくかな?と思う。でも読了後に物議を醸した理由は分かりました笑。

詳しくはまた個別の記事で書こうと思います。

 

N/A

こちらもやっと読めました〜。こっちのが読了後がよかった。

読む前は高校生の気持ち分かるかな〜〜〜と思いながら読んでいたけれど、大人と子どもの間の何者にもなりたくない感じは覚えがあって共感できた。でもやっぱり私はもう大人なのでそういう気持ちを相談して欲しいな〜〜〜と思いながら読んでいた。まあしょうがないよね。実際の人間関係は距離とって対処しているわけだし。

 

銀河鉄道の夜(英語)

英語の本を読む企画。

なかなかに難しかった。普段使わない単語も多かったし。一応物語の内容は元から知ってたしなんとか読んだけども、もっと簡単なのにしようと思います…。前に読んだポアロの方が難易度高いはずなのに物語がそんな難しくないからかこっちよりも読みやすかったんだよね。シンプルな物語を多読しようかな。プーさんを読んだ時もプーさんは文脈とか関係なくトンチンカンことを言うから「えっ!?こういうこと言ってるんだよね!?笑うところだよね!?」ってなってたなあ。

 

12月はお休み中に結構たくさん本を読めました〜!まあそんなに長くない本ばかりだけども。今年は長い本も読んでいきたいなあ。

【宮部みゆき】青瓜不動 三島屋変調百物語九之続

三島屋変調百物語の第9弾!

 

次男坊の富次郎が聞き手を務めてるよ!長男の伊一郎も戻ってきて今までとはまた異なる三島屋になっていくようでー!?


最初は表題にもある

青瓜不動

久々に行然坊もやってくる。そして黒白の間にやってきたのは1人の女性と「うりんぼ様」と呼ばれる仏像だったーーー!?

 

話に出てくるお奈津さんがとても素晴らしかった。家族のために頑張ったのにお墓にも入れない叔母さん。誰も叔母さんには感謝しない。出戻り嫁は家に置いてあげているだけでありがたくて、必死に働くのは当然だと言う態度。怖いと思ったのはお奈津の弟や妹も同じだったこと。そういう雰囲気があったのだろうな、とは思うけども悲しい。むしろお奈津のような態度が珍しかったのだろう。1人で奮闘するお奈津、女性を助け始めて尼寺になっていった経緯。私も一緒にお奈津の人生を体験しているようで楽しかった。女性の立場が弱い江戸時代に、こういう尼寺があると思うと救われる気持ちになる。まともに離婚さえできない時代だもんね。

そして富次郎が実際に夢の中で体験するという不思議な話だった。きゅうきゅうと鳴くうりんぼは可愛い。でも大百足は怖い。富次郎の頑張りのお陰だよね。

 

だんだん人形

祖父から聞いた祖先の話。奉公をしていた一文は16歳になっていた。番頭の勇次と一緒に領内の取引先をまわりに村に行った。ところがその村では新しい代官になってから、代官が自分の懐を潤そうと無茶な指示を出すようになった。そして反対した村人の一派を水牢に閉じ込めてしまった。一文は水牢の地形をよく知る10歳の飛び猿とともに城下に行って助けを求めに行こうとするがーーー!?

 

悲しい話。圧政のせいで多くの人が命を落とした。

一文と飛び猿が一緒に城下を目指す場面はハラハラドキドキした。2人と一緒に怖くなったりもうダメだと思ったりホッとしたり…。一文もすごいけれど、何より10歳の飛び猿がすごすぎる!まだ10歳なのに…!しかも村が出たということで罰も受けてしまうのも悲しい。

そしておびんのことを思うと悲しくなる。たくさん同じような女性がいたのかと思うと辛い。上に立つ人によって人々の暮らしはこうも変わるのだね。

 

自在の筆

大事な筆を預けていた絵描きが、ある時その筆を自分で食べて死んでしまったーーー。

 

芸術を志している人なら心が揺れ動くであろうお話。そして富次郎の決意。私は絵を描くのも好きだけれど富次郎ほどに思わないのは、富次郎のように本気で絵描きになりたいと思ったことがないからだなあと思う。別に趣味でやればいいのに、と思ってしまうけれど、本当は趣味じゃなくて仕事に、一生それで食っていきたかったのにそれができないなら趣味にさえしたくないのだろうな。最近ブルーピリオドっていう漫画を読んだこともあって重なっていた。ブルーピリオドは芸大を目指す話で、観てると絵は描きたくなるんだけどもあそこまでの絵への情熱はないのだよね。一時的に集中することは得意なんだけど、飽き性だからか毎日同じことはできなくて。本もあんまり連続で同じ本読めないし。一つのことに集中してずっと極めれる人ってすごいなあと思う。

 

針雨の里

ある村に奉公に行った門二郎。そこは大人になると出ていかなければならない村だった。そしてそこでは身体を突き刺すような針の雨が降ると言われていてー!?


不思議な村。不思議な村人。でも暖かい村で満足していた門二郎。そして村の真実が明かされる。あのまま村にいたらどうなっていたのだろうか。ちょっと怖い話ではあるけども、村の人たちの優しさに救われた話だった。読みながら何が起こるのかと戦々恐々していたのでね!そして富次郎の気持ち。そうだよね、描きたいよねと思う。

ただ、欲を言えばもっとこのお話が落ち着くまで読んでいたかった。終わり方がちょっと唐突すぎたのが残念。

あまり百物語に乗り気ではない伊一郎がどう関わってくるのか気になっている。富次郎もだいぶ大人になってきたし。

 

宮部みゆきのライフワーク。私も読むのがライフワークになっている。

続編も楽しみすぎる!

 

他の感想はこちら↓

oljikotoushi.hatenablog.com

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【読みたい本】12月に読みたい本

いつの間にか12月。もうすぐ半ば…。このミスもダ・ヴィンチも今年のベスト本を出してて信じられないですね。

今年は色々環境の変化があって、6月くらいだったのが気がついたら12月になっていたという。は、はやい…。

歳を重ねるごとに年々早くはなっているけれど今年はとにかく早かった。環境の変化がない時はない時であっという間に感じていたけれど、環境の変化がある時はある時であっという間でした。タスクをこなしていたらいつの間にか時が過ぎていたという。歳をとったってことでしょうね。

大学の4年間とか修士の2年間とかめっちゃ長かったのになあ…。

遅いけれど12月に読みたい本を出します〜!

 

その裁きは死

殺しへのライン

ホーソーンシリーズの2巻と3巻。もう既に2巻は読んじゃったんですけど、読めば読むほどおもしろくなる。

 

ヒポクラテスの誓い

法医学のミステリー。

買ったのに読んでない。海外作品を読んでいると日本作品を読もうって思えないんだよね。でも読みたいな。

 

N/A

高校2年生の女の子の話。一時期話題になって読みたいなと思っていた作品。

 

おいしいごはんが食べられますように

こちらも一時期話題になってよく本屋で平積みにされていて、その度に買おうか迷って、でも当時は買う余裕がなくて買えなかった作品。この作品は2022年らしいですね。今年じゃなかったっけ???

 

ウェッジフィールド館の殺人

メナハウス・ホテルの殺人の続編。前作も気に入ったので今作も読みたいな。

 

ポアロのクリスマス

クリスマスといえば!??クリスティー!!!「クリスマスにはクリスティーを。」

ということでポアロのクリスマス。

クリスマス気分を感じながら読みたいけど気がついたらすぐクリスマスになっている気がするな。

 

今年は信じられないくらい本を読めていなくて本当に信じられないですね。パートナーは忙しかったし他にやることもあったんだし仕方ないじゃん、冊数にこだわっても、と言ってくれるけれど…。

冊数にこだわっているというよりは、読めてなさすぎて今年は全然読書を楽しめていないように感じて嫌なんだよね。でも確かに冊数にこだわっても仕方ないし。楽しい読書時間を過ごせているならいいのだろうけど。

でもなんか今年は、というか去年の終わり頃から簡単な本ばっかりしか読めてないなあという印象。悲しいとか辛いとか色んな感情を感じて心に残る本たちをあまり読めてなくて。

そういう本はエネルギーは使うけれどそれ以上に心に残るし色々と考えさせてくれる。簡単に読める本もそれはそれで楽しいのだけど、私が本を好きなのは娯楽だけじゃなくて人生に影響を与えるくらいの衝撃をもらえるからだと思う。

ちょっとずつでもいいから来年は読んでいきたいなあ。細々とした時間はあってもちゃんとまとまって時間を取りたいと思うとなかなか読み始められず。読み始めちゃえば読むんだけどもね。今は他に優先することがあるのでなかなかまとまった時間を割けないっていうのが前提にあるから。

まあ今やるべきことをやりつつ読書時間も感想の記録時間を適度に確保していきたいなあと思います。

【ホロヴィッツ】その裁きは死

ホーソーンホロヴィッツシリーズの第2弾!

 

あらすじ

評判の離婚弁護士が殺された。死体の近くには「182」の文字が。

再びホーソーンに事件現場に連れて来られたホロヴィッツ。グランショー警部という新たな警部からも脅されてーーー!?

 

読んでみて

いや〜おもしろかった!構造としては1巻と似ている部分があるのだけれど、だからといってすぐに犯人や謎が分かるわけでもないので楽しかった。というより前回はこうだと思わせてこうだったから今回も同じなのでは?それとも今回はそっちが正しいのか?とか色々考えたりしてました。

 

相変わらずホーソーンはあまり好きになれない相手ではあるけれど、主人公がホーソーンの愚痴を言うとかばいたくなってしまう魅力はある。私も主人公と同じでホーソーンには何か事情があると信じているのでね!

作者も10巻に渡ってホーソーンの謎を解いていくと言っているらしいので楽しみ。そしてホロヴィッツ以外の作家も出てきて作家事情も垣間見れておもしろかった。作家ってあまり稼げないのかなあ。あと子ども向けの作家ってなると馬鹿にされやすいのだろうか。子ども向けの作家なんて素敵だけどね。

 

ホーソーン以上に嫌なやつであるグランショー警部が出てくるので、ホーソーンの嫌なやつ度がだいぶマシになっていた。万引きの件は本当にひどい。

そしてホーソーンはいい加減にホロヴィッツに犯人を伝えておいた方がいいのでは?でもまだ確定してないのに言うと余計なことを言うだろうからということ?でも直前には伝えておいた方がよかったと思うよー。そして今回もホロヴィッツは失策してしまっていて事件に大きく影響を与えてしまっている…。いやー、でも仕方なくない?その不審さでホロヴィッツは早く気付けたのだからよかったのでは??

 

主人公の境遇に不憫になりつつ、でもホーソーンの裏を暴こうと意外に強かな面もあったりしてホロヴィッツもなかなかすごいなと思います笑。

あと主人公と妻の2人の仕事場が同じ部屋にあって仕切られていて、しかも上階にあって景色も綺麗って素敵だなと思いました。夫婦仲良しだしそんな仕事場所が家にあるってすごい。

にしても読書クラブって海外だとそんな主流なの?やりたいよー!

 

そういえばこのミスでもホーソーンシリーズの最新刊が2位になってて最新刊まで読みたくなってしまった。

でも他の本も読まなきゃな〜!

【読んだ本】10月に読んだ本&ドラマ&漫画

10月に読んだ本&ドラマ&漫画の紹介です〜!

読みたかった本はこちら!

oljikotoushi.hatenablog.com

十戒

方舟の続編。サラサラっと読めるし、前回とはまた違った方向から楽しめた作品。

にしてもこんな人がいたら普通に怖いな。

 

oljikotoushi.hatenablog.com

 

メインテーマは殺人

やっっっと読めた作品。好きになるだろうと思っていて案の定好きになるという。

海外ミステリーやっぱ好きだな。最初はちょっと冗長だと思ったけども1巻だし。続編も早く読みます。

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爆弾

こちらも結構前に見かけてから気になっていた作品。

久しぶりに日本作品で好きになったー!でも続編とかない作品だからもう読めないけども。海外ミステリーだとコージーミステリーが好きなんだけど、日本だともっと社会派っぽい感じが好きなのかな?これはそんな社会派ってほどではないけど、色々考えさせられる内容で。宮部みゆき作品に読み慣れているから似たような雰囲気の方が親和性があるのかもしれない。というか日本ってコージーミステリーってそんなないよね?

oljikotoushi.hatenablog.com

 

両手にトカレフ

こちらも読みたいなーーーと思っていてやっと読めた作品。

いやーーー本当に大満足。好きだなあ…。現実をシビアに描きつつも希望を持たせてくれるところがよかった。

 

ローマの休日(英語)

てぶくろを探して(英語)

最近頑張って簡単な英語の本を読んでます。それでも四苦八苦状態だけども…。にしてもローマの休日ってこんな話だったんだと感じた。ちゃんと観たことなかったのでもっと一緒に色々したのかと思ってたけど。映画だと映像もあって2人が惹かれ合う描写が分かりやすいのかな?簡単な英語の本なのでだいぶ端折ってあるんだよね。

 

あとちょうどkindleのセールとかやるみたいなのでそれでたくさん買おうかな〜と考え中。

 

7人の女たち

イタリアの映画。あんまり見慣れてない国の映画だと最初はテンポが掴みにくい。これも最初はちょっと分かりづらかったけど観ている楽しくなった。ただ最後があっけない!なんか劇っぽい感じなのかなあ。起承転結で最後にアクションとか何か派手なことが起こる作品に見慣れているとヨーロッパの映画は拍子抜けしたりすることがあるよね。今作品もこれで終わりなのか!?とちょっとびっくりしました。でもみんな綺麗すぎてお家も素敵でよかった。

 

ブルーピリオド

高校生が美術大学に行こうとするアニメ。なかなかよかった!!ただ、ちょっと辛くなる部分はある。私は今まで絵を本業にしたいとか思ったことはないのだけど、こんなに真剣に絵に向き合っている人がいるんだと思うとね。絵を描くのは好きだけど、そんなに努力せずに上手くなりたいと思っている自分は…って思ってしまう。

YOASOBIの曲がマッチしてて好き。

 

最近は映画はあまり観えてないので久しぶりに観たいな〜と思うけども、映画は時間がないとなかなか観る気がおきないのだよね〜。一気に観た方がいいかなと思ってしまう。

 

ハコヅメ

いつかドラマにもなっていた交番に勤務する女性2人の話。テンポも良くて読みやすいし興味深い内容も多い。一気読みしてしまった。

 

税金で買った本 9巻

最新刊を楽しみにしている作品。図書館でバイトする高校生のお話。図書館のことも分かるし本にまつわる話ばかりだし、本好きの人は好きなのではないのだろうか!?

【アガサ】ハロウィーン・パーティ

アガサ・クリスティハロウィーン・パーティ読みました〜!

ちょうど去年の10月にも読んでいて、去年の私も今年の私も考えることは一緒だなと思いました!笑。

そして去年は本を読んだ後にドラマも観ていたのもあって、犯人も動機もちゃんと覚えている中で再読したよ〜!普段は大体忘れてるからね!犯人を分かって読むと、「ここに伏線が!!ここにも!!!」と分かってそれはそれで楽しかった。

 

あらすじ

探偵作家のオリヴァ夫人は友人に招かれたハロウィーン・パーティに参加することになった。子ども向けのハロウィン・パーティーの準備をしていた時、ある少女が殺人の現場を目撃したことがあると話し始めたーー!誰も本気にしなかったが、ハロウィン・パーティー中にその少女が殺されーーー!?

 

読んでみて

ハロウィンにおすすめするならやっぱり今作!

当時のイギリスでもハロウィン・パーティーってやっていたんだと勉強になった。楽しそうなパーティーが一転、最低な殺人事件の現場となってしまう。

子どもが犠牲になる作品はクリスティ作品の中でもあまりないのではないかと思う。オリヴァ夫人は率直で勘が鋭く、ポアロも驚かされる場面がある。そもそも誰も本気にしていなかった殺人を見たという発言をオリヴァ夫人は重視して、ポアロに助けを求めたのがすごい!

 

今作のポアロはもう結構歳をとっているようで、昔からの友人のスペンス警視はもう引退している。でも信頼関係は構築されているので、スペンス警視経由で警察からの協力はスムーズに得られる。でもポアロのことをあまり知らない人からは、もう歳をとって耄碌したんじゃないかと失礼なことを思われたりもしている。

 

少女が見た殺人とは何か?というところから出発して、当時見た可能性が高そうな殺人事件を探していく。怪しい事件はいくつかあるが、どれが少女が見た殺人なのかは分からない。しかもみんなその少女は嘘つきだと言う。

最初はどこがどう繋がっているのか分からない状態だったのに、少しずつまとまっていって、最後にはちゃんとまとまるのはさすがクリスティ。しかも二転三転して読者を驚かしてくれる!

ただ、動機とか犯人に関して言うと普段のクリスティ作品よりも最悪で後味が悪い部分は残る。自分勝手なのは共通しているとは思うけども、今作の犯人は酷すぎるよ。

 

神秘的な庭や登場人物を神話に喩えたりもしていて普段のクリスティとはまた違う雰囲気でした〜!

オリヴァ夫人が好きなので満足しました。

クリスマスにはポアロのクリスマスでも読みたいな。クリスティの作品は秋に発売されることが多かったから「クリスマスにクリスティーを!」のうたい文句で本屋に並ぶことが多かったらしい。いいうたい文句ですね。本書も1969年のクリスマスの時期に売られていたらしい。私も当時クリスティの作品を本屋で買いたかったなあ。

oljikotoushi.hatenablog.com

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【呉勝彦】爆弾

あらすじ

酔っ払いが酒場で店員を殴ってしまう。そんな傷害事件で野方署にやってきた男。男は自分の名前を「スズキ タゴサク」と名乗る。ただの酔っ払いだと思っていると、爆弾が爆発すると予知しはじめてーーー。

 

読んでみて

色々なところで紹介しているのを見かけて読んでみた作品。

なんと!かなりおもしろかった!!

群像劇で描かれてはいるけれど、ベースはスズキタゴサクが予言した爆弾を探すためにスズキと対峙する刑事たち、スズキとの会話を基に実際に爆弾を探す現場の警察官たち、周辺人物たちへの聞き込みなどであるため、登場人物も多くなり過ぎず混乱することも少なかった。

ページ数もそこまで多くないからかなと思う。

 

最初はスズキが本当に予知している可能性も少しは残っているのか?と思っていたけれどそういうことはなかった。ファンタジー要素などはなく現実的な話となっている。

 

食えない男・スズキタゴサク。

名前も詐称、住所も職業も不明。本人は記憶喪失になったと言うが、なぜか爆弾のことだけ予知することができる。なんとも好都合な記憶喪失になっている。

なぞなぞのようなことを言いながら、常識に揺さぶりをかけてくるスズキタゴサク。誰しも一度は考えたことがあるような内容を極端にしたのがスズキなのだろう。

仲間、内と外。仲間は大事にするけれど仲間じゃないと大事にしない、じゃあどこからか仲間なのか?仲間じゃないなら大事にしなくていいならこの世はどうなってしまうのか。考えさせられる作品だった。

本当の主人公?等々力刑事が最後に見つけ出した答えがよかったと思う。そして大学生の女の子の決断も。

 

スズキタゴサクという謎の男と対峙し、少しずつ真相に近づいていきつつも、新たな新発見が出てきて最後はうまくまとまっていてよかった。

個人的にはもっとどうにかならなかったのか…!と事件が起きる前のことを思ってしまう。

 

普段読んでいるようなコージーミステリーとは違って緊迫感が強い作品でした〜!宮部みゆき作品好きだからかこういう作品も好きらしい。ザ・探偵!な作品も好きだけどね。