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【宮部みゆき】青瓜不動 三島屋変調百物語九之続

三島屋変調百物語の第9弾!

 

次男坊の富次郎が聞き手を務めてるよ!長男の伊一郎も戻ってきて今までとはまた異なる三島屋になっていくようでー!?


最初は表題にもある

青瓜不動

久々に行然坊もやってくる。そして黒白の間にやってきたのは1人の女性と「うりんぼ様」と呼ばれる仏像だったーーー!?

 

話に出てくるお奈津さんがとても素晴らしかった。家族のために頑張ったのにお墓にも入れない叔母さん。誰も叔母さんには感謝しない。出戻り嫁は家に置いてあげているだけでありがたくて、必死に働くのは当然だと言う態度。怖いと思ったのはお奈津の弟や妹も同じだったこと。そういう雰囲気があったのだろうな、とは思うけども悲しい。むしろお奈津のような態度が珍しかったのだろう。1人で奮闘するお奈津、女性を助け始めて尼寺になっていった経緯。私も一緒にお奈津の人生を体験しているようで楽しかった。女性の立場が弱い江戸時代に、こういう尼寺があると思うと救われる気持ちになる。まともに離婚さえできない時代だもんね。

そして富次郎が実際に夢の中で体験するという不思議な話だった。きゅうきゅうと鳴くうりんぼは可愛い。でも大百足は怖い。富次郎の頑張りのお陰だよね。

 

だんだん人形

祖父から聞いた祖先の話。奉公をしていた一文は16歳になっていた。番頭の勇次と一緒に領内の取引先をまわりに村に行った。ところがその村では新しい代官になってから、代官が自分の懐を潤そうと無茶な指示を出すようになった。そして反対した村人の一派を水牢に閉じ込めてしまった。一文は水牢の地形をよく知る10歳の飛び猿とともに城下に行って助けを求めに行こうとするがーーー!?

 

悲しい話。圧政のせいで多くの人が命を落とした。

一文と飛び猿が一緒に城下を目指す場面はハラハラドキドキした。2人と一緒に怖くなったりもうダメだと思ったりホッとしたり…。一文もすごいけれど、何より10歳の飛び猿がすごすぎる!まだ10歳なのに…!しかも村が出たということで罰も受けてしまうのも悲しい。

そしておびんのことを思うと悲しくなる。たくさん同じような女性がいたのかと思うと辛い。上に立つ人によって人々の暮らしはこうも変わるのだね。

 

自在の筆

大事な筆を預けていた絵描きが、ある時その筆を自分で食べて死んでしまったーーー。

 

芸術を志している人なら心が揺れ動くであろうお話。そして富次郎の決意。私は絵を描くのも好きだけれど富次郎ほどに思わないのは、富次郎のように本気で絵描きになりたいと思ったことがないからだなあと思う。別に趣味でやればいいのに、と思ってしまうけれど、本当は趣味じゃなくて仕事に、一生それで食っていきたかったのにそれができないなら趣味にさえしたくないのだろうな。最近ブルーピリオドっていう漫画を読んだこともあって重なっていた。ブルーピリオドは芸大を目指す話で、観てると絵は描きたくなるんだけどもあそこまでの絵への情熱はないのだよね。一時的に集中することは得意なんだけど、飽き性だからか毎日同じことはできなくて。本もあんまり連続で同じ本読めないし。一つのことに集中してずっと極めれる人ってすごいなあと思う。

 

針雨の里

ある村に奉公に行った門二郎。そこは大人になると出ていかなければならない村だった。そしてそこでは身体を突き刺すような針の雨が降ると言われていてー!?


不思議な村。不思議な村人。でも暖かい村で満足していた門二郎。そして村の真実が明かされる。あのまま村にいたらどうなっていたのだろうか。ちょっと怖い話ではあるけども、村の人たちの優しさに救われた話だった。読みながら何が起こるのかと戦々恐々していたのでね!そして富次郎の気持ち。そうだよね、描きたいよねと思う。

ただ、欲を言えばもっとこのお話が落ち着くまで読んでいたかった。終わり方がちょっと唐突すぎたのが残念。

あまり百物語に乗り気ではない伊一郎がどう関わってくるのか気になっている。富次郎もだいぶ大人になってきたし。

 

宮部みゆきのライフワーク。私も読むのがライフワークになっている。

続編も楽しみすぎる!

 

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