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文学系心理士が好きなことを徒然なるままに書きまくるブログ。小説、NETFLIX、たまに心理学のことも♪

【呉勝彦】爆弾

あらすじ

酔っ払いが酒場で店員を殴ってしまう。そんな傷害事件で野方署にやってきた男。男は自分の名前を「スズキ タゴサク」と名乗る。ただの酔っ払いだと思っていると、爆弾が爆発すると予知しはじめてーーー。

 

読んでみて

色々なところで紹介しているのを見かけて読んでみた作品。

なんと!かなりおもしろかった!!

群像劇で描かれてはいるけれど、ベースはスズキタゴサクが予言した爆弾を探すためにスズキと対峙する刑事たち、スズキとの会話を基に実際に爆弾を探す現場の警察官たち、周辺人物たちへの聞き込みなどであるため、登場人物も多くなり過ぎず混乱することも少なかった。

ページ数もそこまで多くないからかなと思う。

 

最初はスズキが本当に予知している可能性も少しは残っているのか?と思っていたけれどそういうことはなかった。ファンタジー要素などはなく現実的な話となっている。

 

食えない男・スズキタゴサク。

名前も詐称、住所も職業も不明。本人は記憶喪失になったと言うが、なぜか爆弾のことだけ予知することができる。なんとも好都合な記憶喪失になっている。

なぞなぞのようなことを言いながら、常識に揺さぶりをかけてくるスズキタゴサク。誰しも一度は考えたことがあるような内容を極端にしたのがスズキなのだろう。

仲間、内と外。仲間は大事にするけれど仲間じゃないと大事にしない、じゃあどこからか仲間なのか?仲間じゃないなら大事にしなくていいならこの世はどうなってしまうのか。考えさせられる作品だった。

本当の主人公?等々力刑事が最後に見つけ出した答えがよかったと思う。そして大学生の女の子の決断も。

 

スズキタゴサクという謎の男と対峙し、少しずつ真相に近づいていきつつも、新たな新発見が出てきて最後はうまくまとまっていてよかった。

個人的にはもっとどうにかならなかったのか…!と事件が起きる前のことを思ってしまう。

 

普段読んでいるようなコージーミステリーとは違って緊迫感が強い作品でした〜!宮部みゆき作品好きだからかこういう作品も好きらしい。ザ・探偵!な作品も好きだけどね。