文学系心理士の自己投資ブログ

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文学系心理士が好きなことを徒然なるままに書きまくるブログ。小説、NETFLIX、たまに心理学のことも♪

【田中芳樹】蛇王再臨

田中芳樹蛇王再臨

アルスラーン戦記13巻!完結までもうちょっと!とうとう蛇王が復活?!

あらすじ

アルスラーンに会うために王都へ向かうエステルたち。イルテリシュはチュルクの青年・ジャライルを捕らえる。チュルクの内情を知ったイルテリシュは新たな野望を抱くが。

 

読んでみて

新たなキャラクターとしてチュルクの青年・ジャライルが出てくる。なんというか悲惨。父は死に、国王からは家族を人質に取られ、従兄弟を誤って殺してしまう。悲しすぎるよ〜。なのに蛇王がいる真っ只中に落ちるなんて運悪すぎでは??ここ最近で一番可哀想な青年。レイラも可哀想だけど。でもちょっとずつ魔軍側にも仲間ができ始めて興味深い。ただ蛇王に忠実なわけじゃないし、そもそも魔道士たちも蛇王が復活したら倒されたりしない?と思ったり。でも1000年国を統治?したなら意外に話せるやつだったりね。

今作で最も重大な出来事はエステルが亡くなってしまったことだと思う!あー、悲しい。結構アルスラーンとお似合いだったのにね。最初はルシタニア万歳、ルシタニアが正義っていう感じだったけど、色々経験して色々考えて、多角的な視点ができるようになったエステル。まあアルスラーンと幸せにって感じにはならなかっただろうから仕方ないね。ここでエステルが亡くなったってことはもしかしてまた死体取られたりする?!それはないか。

あとアルスラーンに対する何か起こるぞフラグがたってて怖いんだけども。犠牲は出てもアルスラーンは助かると思っているんだけど、どうなんだろう。

ヒルメスはどんどんヒーローっぽくなってて笑ってしまう。やってることは国の乗っ取りなんだけども。まあちゃんと民のことを考えてアルスラーンのことを諦めたら幸せに暮らせそうだよね。でもまあ一番幸せが似合わなさそうなキャラクターだけども。ただフィトナが本当は王家の子どもだった場合、二人は血縁関係になるわけで。でも兄妹じゃないし貴族や王家なんてどこの国も近親相姦を繰り返してるんだからそんな問題になるかなあ。

相変わらずナルサスは策士。この世界でのナルサスが最強すぎてちょっと面白みに欠けるけども笑。アルフリードとくっつかないのだろうか?

魔軍にチュルクやシンドゥラも交えて混沌としていくけど、今後どうなるのか?!

【田中芳樹】暗黒神殿

田中芳樹黒神殿

アルスラーン戦記の第12巻目。久々の王太后陛下登場。美しいけれどアルスラーンには一片の愛情もない人。まあ実の子どもを盗られて、違う子どもの成長を見守らなきゃらないのは辛いよね。

 11巻の感想はこちら↓

oljikotoushi.hatenablog.com

 

あらすじ

ペシャワール城に大勢の魔軍が襲いかかる!!もうダメかと思われた時ー?!一方、ミスルにいるヒルメスの目の前には驚くべき事態が生じー?!王太后陛下の側にはある人物がいてー?

 

読んでみて

ここまでの怒涛の日々は一旦落ち着きを見せる。ペシャワール城の戦いはなかなかハラハラしたし、もう無理だと思った時に助けがきてホッとした。こういう状況は何回も繰り返されているんだけども、それでも夢中になるね。そしてイルテリシュには逃げられてしまう。その後、キーヴたちもイルテリシュに逃げられてしまう。イルテリシュは蛇王の前に倒すべき中ボスになるんだろうね。果たして誰が倒すのか、誰か犠牲になるのか…。

太后陛下の必死さはみていて悲しくなる。でもレイラはもうダメなんだよーと思うとどうしようもないよね。ただ、アルフリードが考えているみたいに、レイラが戻る道はあるのかどうか。あれば嬉しいけどもそううまくいくかな。

そしてそして今回はヒルメスが頑張った!報われないヒルメスに頑張って欲しいと思っていたらとんとん拍子でうまくいったね。フィトナって今までどう生きてきたのか謎。銀の腕輪がいくつかある理由も分からない。誰が本当の子どもなのか?

そしてエステル!まさかそんな重い怪我になるなんてびっくり。もしかしてこのまま死んでしまうのか??エステルがルトルド侯爵を助けようとして、自分も怪我をしパリザートも傷つけてしまう。エステルはまだ甘かった時のアルスラーンみたいだなと思う。

「浅慮の罰だ。人を救う力もないくせに、えらそうに救おうとして報いを受けた……傲慢の罰かな……」

エステルは振り返る。

もう一つ!今回はアルスラーンがかなり成長していて、ナルサルが感銘を受けるところが物語がここまで進んだんだなと思って嬉しく感じた。

「歴代のパルス国王は、英雄王カイ・ホスローの魂を伝える宝剣ルクナバードの道具にすぎないとも言われているが……私はパルスの民衆の道具だと思っている。民衆と私とは、ルクナバードによってつながっている。ゆえにこれこそルクナバードはパルス国にとって聖なる宝物なのだ、と」

かっこいいな、と思う。でもナルサスがそこまで衝撃を受けたのはびっくりした。けどもこういう王様がいたら国民は何も心配なく暮らせるだろうね。ちなみに、「私」である「アルスラーン」自身が「民衆の道具」のようにも感じられた。

【本】12月に読む本

【本】12月に読む本

 

アルスラーン戦記

10巻から16巻を読む予定。今年中には全巻読む!結末が楽しみ!

 

たいのおかしら

さくらももこのエッセイ。飲尿療法が衝撃すぎた!

 

蒲生邸事件

宮部みゆきの作品。表紙の印象だとあんまり好きじゃなかったのに読んでみたら思った以上に好きだった!

 

誰もが知ってる小さな国

有川浩さんが書いている作品。

 

シルマリルの物語

終わらざり物語

JRRトールキンの物語。シルマリルの物語は最高だった!!

 

赤川次郎 指定席

赤川次郎は読みやすくって好き

 

ストーリー・セラー

これも有川浩!昔、図書館戦争が好きすぎたのを思い出す。

 

クロスファイア

読む読む詐欺。宮部みゆきを制覇したいのに遅々として進まない。

 

侍女の物語

「またの名をグレイス」も好きだったのでこれも期待大!

 

クリストファーの魔法の旅

七人の魔法使い

ダイアナ・ウィン・ジョーンズも制覇したい!!

 

まとめ

今年の目標は120冊だったのですがまだ100冊超えたばったりなので12月にたくさん読もうと思う!年末年始も引きこもって読む!!

【田中芳樹】魔軍襲来

田中芳樹魔軍襲来

アルスラーン戦記の第11巻目!途切れ途切れに読みながらもここまできたよー!どんどん魔軍集団の存在感が強くなっていき、とうとう魔軍が?!

10巻の感想はこちら↓

oljikotoushi.hatenablog.com

 

あらすじ

魔の山デマヴァントに閉じ込められた一行は脱出するため策を練るがー?!ファランギースアルフリードはレイラと戦うことになる。王都にも魔物は出現し始める。一方、ミルスではヒルメスが銀の腕輪をしているターヴースと出会うが…。

 

読んでみて

場面がコロコロ変わりつつ同時進行的に色々な話が続いていく。ファランギースたちをもっと見たかったのに場面が変わってしまって惜しんでいると、またこっちではこっちでなんだか面白いことが起こっている…という具合にどの登場人物もどの場面も面白く読むことができた。ただ、名前が久々に出てくると「誰だっけ?」となることが多い。最初の登場人物のところをもうちょっと詳しく書いてくれたら親切だなーと思ったり。あと、周辺国の地図も大体は覚えたけど毎巻あると嬉しい。

レイラという魅力的なキャラクターが敵側に落ちてしまったのが今回の最大の悲劇!強くてかっこよくて正義感もあって、アルフリードファランギースとはまた違うかっこよさがあったのになあ。まあ敵側がただ単に魔族や気味の悪い魔導士だけじゃ魅力に欠けるからね。

そしてヒルメス!第一部の時は、「可哀想なやつだけど子どもっぽいし王の器っぽくないし」と思っていたけれど、最近のヒルメスはなんだか大人になっている。アルスラーンとの戦いに負け、パルスを去り、最愛の妻も亡くして、ひとまわり成長した感じ。前は猪突猛進でとにかく復讐を遂げること、パルスを自分の国にすることが大事だったヒルメス。パルスの国民なんかどうでもよくって、目的のためには国さえ売ったのに。それが今は市政についても考えないとと思うようになったなんて成長しのね、としみじみ。偽の黄金仮面の方が昔のヒルメスと似ていて、ヒルメスもそれを自覚している。でも偽の黄金仮面はヒルメスよりも劣るだろうけどね。

そして最大の戦闘が魔の山デマヴァントでの戦い。イスファーン、クバート、ジャスワント、トゥース、メルレインの5人がいて、なかなかに武者揃い。それぞれの性格が味を出していて面白い。トゥースの妻たちもそれなりに頑張っている。洞窟っていうのは気味が悪くて出られない可能性もあるなか、知恵を出しながらなんとか出口に向かっていく。でも魔物の数は多いし、しぶといしで大変。なんとか脱出したかと思いきや、今度はまた城で戦いが始まることになりそうで一難去ってまた一難。こんな状態で蛇王が復活したどうにかなるのだろうか…?

【田中芳樹】妖雲群行

田中芳樹妖雲群行

わりと久しぶりなアルスラーン戦記10巻目。特にどこの出版社とか決めていないからなのか、絵だけだと誰か判別できなかったりする笑。

9巻の感想はこちら↓

oljikotoushi.hatenablog.com

あらすじ

アルスラーン魔の山デマヴァントの封鎖を命じるが、そこで危機に瀕してしまう。一方、修道院で女たちがいなくなる事件が起こり、ファランギースアルフリードは現地に向かう。そこはザラーヴァントの父が治める地域でー?!

 

読んでみて

全体的にあんまり文量が多くないのとこれからの伏線が多くって物足りない感じがした。でもこれからの伏線が多いので、今後どうなっていくかは楽しみ。レイラという新しいキャラクターも出てきて、レイラはかなり魅力的。というか、修道院で起こる事件自体はなかなかにホラー。こんなこと起こったら怖すぎるよね〜。アルフリードは女神官見習いを命じられて大変。ファランギースアルフリードのコンビはなんだかんだ好き。

領主の兄弟間の争いは醜く、実際はどうか分からないけれど、兄弟間でこんなふうに争うしかないって悲しいよね。甥も境遇としては可哀想ではあるのだけれど、ザラーヴァントと比べるとダメダメすぎてね。

そしてヒルメスはミルスに着くが既にザンテはいないから悲しい気持ちになる。ザンテとヒルメスアルスラーンたちの敵ではあったのだけども、でも二人の関係を知っているとなんだか悲しいよね。もう一回会えたらよかったのにね。

全部がいい感じのところで終わったので、次の巻を見るのが楽しみ。

【本】11月に読んだ本

【本】11月に読んだ本

11月に読みたかった作品はこちら↓

oljikotoushi.hatenablog.com

十二国記 白銀の墟 玄の月 三巻

十二国記 白銀の墟 玄の月 四巻

最高でした!詳しくはこちら!

悲しかったけど読めてよかった!広瀬のようにこっちで頑張ろう!

詳しくはこちら↓

oljikotoushi.hatenablog.com

烏に単は似合わない

私にはそこまでヒットしなかったけれど、少しずつ読んでいこうかな。

詳しくはこちら↓

oljikotoushi.hatenablog.com

ソナンと空人

なかなか面白かった。こういう全く違ったファンタジー好き。

詳しくはこちら↓

oljikotoushi.hatenablog.com

赤毛のアン

やっと読めた作品!本当によかった!続きも読んでいく予定。

【宮部みゆき】蒲生邸事件

宮部みゆき蒲生邸事件

宮部みゆき作品久しぶりに読んだよ〜。大満足!ただ今年中に全作品読むのは難しそう…。

あらすじ

大学入試に失敗した孝史は、予備校入試のために東京に上京するが、なんだか全体的に暗い男に出会う。泊まっていたホテルが火事になり、もうダメだと思われた時、その男が孝史を助けてくれるが、なんと昭和11年に来ていてーー?!

 

読んでみて

この作品のことは前から知っていたのですが、表紙が古臭そう(失礼)な感じがしてしまってなかなか読む機会がなかったんだよね。でもやっぱり宮部みゆき!読み始めるともう止まらない!読んだ後に表紙を見ると感慨深くなってしまっているから不思議。678ページもあるのにあっという間に読んでしまった。

この作品の元々の年代、主人公・孝史がいる現代は平成の初めで、今(2020年)からすると25年近く前の話になる。そのため、現代といっても今よりも結構前が現代になっているためそこも不思議な感じがする。孝史はこれから未来が待っている青年だったのだけど、2020年には40代のおじさんになっているわけで…。時代は巡るなあ。

主人公の孝史は生意気でプライドが高くって、でも本当は自分に自信がないからこそ攻撃的になってしまう。少年〜青年の間にいて、まだまだモラトリアムで。孝史の生意気で無鉄砲なところは読んでいてちょっとイライラしてしまうところも多かった。最初の場面でふきに戦争が負けるって言ったり。まあ平田のことを疑っていたわけなので、仕方ない状況だったのかもしれないけどね。ただ後からみると、孝史って平田に対して結構ひどいことしているなと。平田は孝史を助けたとはいえ、命をかけようともしていてお人好しすぎないかと思ったりね。あと孝史が二・二六事件のこと知らないのは無理すぎでは?と思ったり。聞いたことぐらいはあるのでは??興味ない人は興味ないのか??

昭和11年は1936年

表紙絵から見た感じだと戦後をイメージしていたんですが、実際は昭和11年。西暦で言うと、1936年。昭和よりも西暦で言われないと何年前なのかよく分からない。現代だと戦時中の情報をドラマとか本とかで見ることが多いからか、戦前ってそれよりも遅れているイメージを持っていたのだけど、戦前の方が潤っていたと知った時はなかなかに驚いた。戦争中は物資も少なくって、アメリカやヨーロッパを連想するものも全部取り締まられたからこそ、ああいう感じになったのだよね。車が走っていて電気があって〜とか思うと、私自身の知識は明治あたりのイメージから戦時中のイメージに飛んでいる気がする。でも昔の人は洗濯機なかったって言ってなかったけ?洗濯機はいつから??この時代に生きていた人たちは戦前から戦争に突き進んでいく間、戦時中、そして戦後を生きてきたわけで、本当に怒涛の人生だと思う。歴史は後から思うと、この時もっとこうしなかったんだ?って思ったりするけれど、その時精一杯生きている人たちにとってはなかなか難しいことなんだよね。

反戦がテーマ

最初はあんまり色濃くなかったのですが、途中からはすごく反戦のメッセージが感じられた作品だった。二・二六事件が大きな転換期となり、日本は戦争に突入していく。私たちは未来にいるから過去のことを色々言えるけれど、その場にいる人たちには未来が分からないからこそ、今の状況が将来どういう影響を持つのか分からない。平田は歴史は変えられないと言う。その考え方は面白いと思う。シュタインズ・ゲートとかでも誰かの死を変えようとすると誰か他の人が死ななければいけなくなる。そういう意味では平田と一緒だけれど、歴史の流れが変えられないというのはあんまり聞いたことなかった。でも、二・二六事件だって二・二六事件が突然起こったものではなく、それぞれの派閥があって、対立があって、その過程に至る歴史の流れがあったはず。そう思うと二・二六事件を防ごうとしても、結局歴史の流れの方が強くって軌道修正されてしまうってことなのだろうか。だから変えるならもっと根本から変えないといけないってことなのかなって思っていた。それこそ古代くらいにいったら結構変わるのでは??それとも結局流れには乗るのか。日本が戦争に突入したのは日本だけの問題ではなくって、世界の他の国々も関わっていたからこそ、日本だけ何かを変えようとしても結局は無理なのかもね。よくあの戦争は正しいか正しくないかとか議論されたりして、正当性を訴える人も多い。それは否定しないけれど、結果をみてしまうと被害が甚大すぎてなんのための戦争だったのかと思ってしまう。

 


葛城医師の言葉が心に残る。

「戦争は、戦争そのものが目的じゃあないはずだ。一種の外交手段だろう?ちゃんとした目的と先の見通しがあってこそ、戦うことの意味もある。だが昨今の軍人は、そのへんのところがどうも判っとらんようだ。だから嘉隆さんの言う、やたらと拳ばっかり振り回したって駄目なんだという意見には、大いに理があると私は思うよ」

 

国のために戦うか国民のために戦うかの違いのように思う。よくアニメや小説では国ではなく国民ことを一番に考える王とかが賢王とされるのに現実だとみんな気にならないのはなんでなのか。宮部みゆきはわりと戦争について書いた作品があるので、彼女自身先の戦争について思いを抱えているのだと思う。

宮部みゆきは1960年生まれ。戦後だけれど、彼女の親世代は戦争中を生きていただろうし、疎開をしていなければ東京の大空襲を経験したかもしれない。そしてそういう人たちがまだまだ周りにたくさんいる時に育ったのだと思う。

歴史を後からみて、なんでここでこうしなかったんだ、とか、こうすればよかったのに、とか言うの簡単。でも実際にその時、その時代にいて言えるかどうか。言えないなら言えなくなる前に言っておくべきだった、そうならないように何かするべきだったのだと思う。そして今生きている人は、今のこの瞬間や何かの出来事が将来の転換期だと言われる可能性があることも考えないといけない。過去の出来事に学んで、活かして、今を生きないといけないんだろうね。まあなかなか難しいけども。

 

タイムトラベルとミステリーと歴史小説

残念なことにこの作品に出てきた蒲生さんは本当にはいないらしいです。でもものすごく活き活きと描くよね。タイムトラベルものって最初知らなくって、宮部みゆきは不思議な話とかはよく題材にしているけれど完全にタイムトラベル、SFチックなのって珍しいなと思っていたら…。二・二六事件が主題の歴史小説ぽくなり、それで終わりかと思っていたらやっぱりミステリーにもなり!色んな要素が詰め込まれている本作。だから600Pくらいになったのねー。タイムトラベルもの好きなので宮部みゆきで読めて嬉しかった。そしてミステリー要素も出てきてワクワクでした。そこまで凝ったミステリーではなかったけれど、色んな要素をちょっとずつ摘めて楽しかったな〜。

 

ふきと孝史

なんか途中、ふきの正体はもしかして孝史のおばあちゃん?と思っていたけれど違いました。ふきと最初に会ったときに「懐かしい〜」「会ったことがあるような〜」って言ってたのって回収されたのかな?ちょっと分からなかったのだけども。

孝史とふきの淡い恋?に関してはあんまりときめかなかった笑。なんというか孝史が全体的に失礼すぎてね。「怒った顔もかわいい〜」とか孝史は思っていて、自分が怒らせたくせに何っているんだ!って感じが強すぎた。恐らく男性ならもっと共感できたのかもしれない。孝史がふきのことを守ってあげなくちゃ、助けてあげなくちゃっていう目線で見過ぎていて。自分より弱い人間だから自分が助けてあげなくちゃって思いが強すぎて。まがいものの神になろうとしていたくらいだからね。それに相手が心配したり怒ったりしているのにそれを「かわいい」で片付けられたら本人はたまったものじゃないと思う。ふきからしたら孝史は全然言うこと聞いてくれなくって、弟と同じ歳なのに弟より幼くて子どもっぽくて変な人って思ってたんじゃなかろうか。

ただ最後の手紙は感動した。ふきが孝史にきっぱりと未来に行かないことを告げたのもかっこよかった。タイムトリップものでよくある、孝史にしたら数日前なのにふきからしたら50年以上前っていう時間軸って問答無用で切なくなる。時かけも切ない。僕は明日、昨日のきみとデートするも切ない。恋愛ものって身分差だったり年齢差だったり敵対関係だったり色んな障害があるけど、一番どうしようもならないのは時空だよね。最初に時空ものと恋愛ものと掛け合わせた人はすごいと思う。切なすぎる。

 

最後に

今の生活に慣れ親しんでいるので、昭和11年に住むのは惹かれる部分もあるけど無理だな〜と思いながら読んでいました。でもきっと今から50年以上未来の人は2020年住むのは惹かれる部分もあるけど無理だな〜と思うことでしょう。当たり前のように日常を生きている当人からしたら普通のことなんだけどね。昨今の発展が目覚ましいので、20年後くらいには電脳コイルみたいなメガネができているのかな、と思ったり。

にしてもこういう歴史小説を書けるなんて宮部みゆきは本当に多彩!テーマが違っても読んでいると宮部みゆきだなあと思えて安心して読めるのだよね。