文学系心理士の自己投資ブログ

文学系心理士の感想部屋

文学系心理士が好きなことを徒然なるままに書きまくるブログ。小説、NETFLIX、たまに心理学のことも♪

【小野不由美】丕緒の鳥 青条の蘭

小野不由美丕緒の鳥 青条の蘭

十二国記5巻目!丕緒の鳥3作品目!

 

あらすじ

季節は極寒期。一人の男が丸太を筐に入れ運んでいた。雪道の中一刻も早く向かおうとするその理由とはーーー?!

 

読んでみて

これは熱い!!最初は理由も分からず、一人の男・標仲がとにかく急いで丸太をどこかに運ぼうとしている。どの国かは分からないが、王が斃れたためとにかく荒廃がひどい。そして役人たちの間で不正が横行し、町は荒れ、民は希望を失う。新しく王が王位についたとしてもこの荒廃が良くなるのかどうか人々は希望を持てないでいる。そんな中で標仲は希望を捨てずに、というか捨てることもできないからとにかく頑張っている。

この物語には標仲と包荒と興慶の3人の男たちが出てくる。彼らはそれぞれ違う生き方をしていて、こういう事態にならなければ3人で協力してどうこうすることもなかったと思う。標仲なんかは本当に何事もない時代であったなら多分そこそこの仕事をして終わってたんだろう。

少しずつ全貌がわかっていくにつれ読んでいるこちらも標仲を応援していて、王宮まで繋げて欲しいと手の汗を握る。寒いの苦手なのでいくら仙籍に入っていても雪の中を歩くなんてすごいな〜と思ってしまう。

最後のオチの描写もクドくなく、さらりとしているけれどすごく感動した。はっきりとどこの国か分からなかったけど、ちゃんと一文があったらしく!なんと雁!尚隆登極前ってこと!尚隆なら!王宮まで行けばなんとかできる!はず!よかった!!

 

【NETFLIX】メイクアップスター make up star

メイクアップスターのシーズン2!

今回も白熱してめちゃ楽しかったよ!!

メイクアップスターとは?!

ネクスト・イン・ファッションと同じような感じで、優勝者には某有名メイクアップアーティストの助手になる資格が与えられる!

ネクスト・イン・ファッションはこちら↓ 

oljikotoushi.hatenablog.com

 競い方が独特なのが面白い!

参加者は10人で毎週2日間競い合いその週の最後には1人ずつ脱落していく。

 

1日目毎回与えられた場所そこに合ったメイクその場で考えて行うことが求められる。

例えば劇団四季のライオンキングのメイク有名なテレビ番組の生中継のためのメイク雑誌の撮影のメイクなどなど。

 

2日目は予め準備が許された課題になる。

1日目の課題で下位2名になったメンバーは他のメンバーより15分遅く開始することになる。

さらに2日目の課題で挽回しなければそのまま2人が一騎討ちに進むことになり1人が脱落に

ただ2日目の課題で挽回できれば2日目に評価が低かったメンバーが代わりに一騎討ちをすることになる。

うーーーん!複雑!!私はシーズン1で慣れてたけれど初めてだと分かりづらいと思う。

 

わたしの推し!ブランドンとバーニー!

2人とも若い男性なのだけど、外見はあんまりメイクしている感じじゃないのね。

ブランドンは「学年一、学校一の不良」と自分で言う。でもメイクがその時の希望だった。学校一の不良がメイクしてたってすごいなあ〜と思う。

日本だと絶対馬鹿にされそう。まあ馬鹿にされないくらい不良のトップだったのかもしれないけど。

 

バーニーもあんまり冴えない感じで、さらに「情熱(パッション)がない」とまで言われてしまう。

あんまり自信がなくて、批評されるときに自分でも納得できてない、うまくいかなかった、と言って審査員から「自分の弱点はわざわざ言わない方が良い」とも言われてしまう。

 

でもその後に!堂々と自分を出して、そしてはっきりと「僕にもパッションはあるんです」と言うのね!!

カッコ良すぎる!こうやって成長していくのがみえるのが醍醐味だよね!!

 

ただ一騎討ちでは手が震えてしまったりして緊張が表れてしまう。

でもまあ緊張しないのも難しいよな〜。

 

スポーツ選手も試合前にはルーティンをやることで集中力をあげている。メイク技師ってそこまでの極限状況になることは普通ならそんなないと思うし慣れないのも仕方ないと思う。

 

センスの塊!オフィリア!

唯一のアジア人、それがオフィリアなの。

香港出身の彼女は、メイクで働くことを両親から反対されていて、自分のメイクへの熱意を分かって欲しくて参戦している。

 

とにかく初っ端からセンスがすごい!

彼女には独特の世界観があってそれを実現する技術もあってさらに自信もある

 

自分のセンスを信じてるからこそプレッシャーに負けずに表現できる。逆に熱中しすぎてしまってうまく行かないことも出てくるんだけど。

 

ちょっと怖くてホラーちっくな独特の世界観が素敵❤︎

つぎはどんな世界を見せてくれるんだろうってワクワクする。

それに彼女自身のメイクもすごく素敵で!

アイライナーがめちゃ可愛いの!

黒いアイシャドウ赤いアイライナーと合わせたり、目の周りをアイライナーで描いたり紫色のアイシャドウがすごく明るくて素敵だったり✨

 

アニメのキャラクターのメイクをする時があって、オフィリアはポケモンだったのだけど、「興味ない!知らない!」って何回も言っていて、世界のポケモン知らないのかー!と残念になった。

 

アジア系だし知ってると思ったけども。ちなみにピカチュウの相棒はサトシじゃなくてアッシュらしくて!世界だとアッシュって名前なのね〜!

 

応援したくなる!ジェームス!

唯一現役のメイク師として活躍しているのがジェームス。金髪におしゃれな口髭でイギリスっぽい。

 

緊張すると瞬きが多くなったり首を傾げてしまったりするトゥレット症候群をもっている。実際に緊張している場面ではその症状が出てしまっていることが分かる。

 

でも!何度も一騎討ちの赤い椅子になっても自分の実力を出してそこから抜け出す強さを持っている。

 

インスタグラマー・メイクアップアーティスト

ちょっとネタバレになってしまうのだけどインスタグラマーで16万のフォロワーを持つケジアは途中で辞退してしまう。

 

普段は音楽を聴きながらリラックスしてやっていてここでの環境下と全然違う。シーズン1でもインスタグラマーのメイクアップアーティストもいたけど、彼女も同じようなことを言っていた。

 

普段のメイクの場とは全く違う環境でやらないといけないのは慣れないだろうし、そもそもインスタグラマーのメイクアップアーティストとして成功しているからこそ、今やっているやり方が壊れそうになるくらいなら継続しない方が良いのかもしれない。まあ将来的にどうなりたいかが大事だとは思うけど。

 

殻に閉じこもっていたオフィリア

自分の殻を破ったとオフィリアは後々言っている。確かに最初は勝負に勝つ!っていう印象が強かった。それくらい真剣だったのだろうけど。

でもだんだん周囲にも心を開いていく。

 

ファッションの勉強をし、タトゥー師としても働き、そしてメイクの分野にやってきたオフィリア。その才能や技術も飛び抜けているからこそ少し距離があったようにも感じたのだけど最後の方にはみんなにオープンになっていったような気がした。

 

競争してるとどうしてもその辺りのバランスが難しくなる。日本とかの競争よりも外国の方が相手を尊重しながら戦えている印象がある。

審査員が言った印象に残った言葉がある。

「メイクアップアーティストは常に批判される。写真家、スタイリスト、編集者からね。自分のメイクは批判の対象だ。気に入られたりその反対もある。批判されても個人的な攻撃じゃないんだ。自分の芸術的見解に対するその人の意見だ。図太くなきゃ。」

ああーーー!分かるけど!分かるけども!!

自分の考え思い感情全てを乗せた作品に対して批判されるとやっぱり傷ついちゃうよー!

 

日本よりは外国の方がそのあたりの区別がはっきりしてるし、何より審査員側もそのことを分かっている。

日本って批判と非難を取り違えていて、指導的な立場の人が人格を貶めたりすることが多いから、知らず知らずのうちにイコールに思っちゃうんだよね。

 

頭ひとつ飛び抜けるためには強かになって自分の表現を貫いていかなきゃいけないんだなあ。難しい。怖いよね。

 

オフィリアみたいなアイライナー引きたい

秋なのでバーガンディにしたいなあ〜!

 

三島屋変調百物語ベスト6

三島屋変調百物語ベスト6

宮部みゆき全作品制覇中ですが、宮部みゆきの中でも大好きでめちゃおすすめできる三島屋変調百物語シリーズベスト6を紹介することにするよ!三島屋変調百物語シリーズ現在(2020.9)6巻目まで刊行中!

シリーズのあらすじ

江戸にある袋物屋を営む三島屋。その姪のおちか実家の旅籠から行儀見習いとして三島屋に身を寄せていた。しかし実際は実家の旅籠屋で起こった出来事で深く傷つき、叔父夫婦のところへ逃げてきたのだった。

ある時、お客から怪異を聞くことになったおちかは、百物語の聞き手として「変わり百物語」をやっていくことになるがーー!?心に傷を負った少女は怪異を聞き経験を共有していくうちに少しずつ変わっていきーーー!?

1  三鬼(四之続 三鬼)

あらすじ

山陰の小藩の江戸家老が黒白の間にやってくる。彼が山番士として送られた寒村で知った恐ろしい秘密を語り始めるがーーー。

ひとこと!

私が一番大好きで愛すべき作品。この三鬼が本当に深くて深くて一番気に入っているの。何が良いって、まずこの三鬼っていう1作品だけで壮大なドラマが作れちゃうんだよ。本当に出てくる人々の心情を一人一人丁寧に描いている。苦しくなってしまうくらい。鬼の正体を知った後の、あのなんとも言えぬ気持ち。ぜひ読んで感じて欲しい。

 

2だんまり姫(伍之続 あやかし草紙)

あらすじ

ある商家の母・おせいが黒白の間にやってくる。独特の声を持つ彼女は故郷では「もんも声」と言われていた。もんも声は妖を呼び寄せる声でー?!

ひとこと!

これ本当に好き!何度読んでも楽しい!おせいの強さや強かさや肝の据わった感じが大好き!ただ真実としては残酷なのだけれどね。でもおせいの明るさに救われる!

 詳しい感想についてはこちらも!

oljikotoushi.hatenablog.com

 

 3ひだる神(四之続 三鬼)

あらすじ

絶品の弁当屋なぜか夏場にはしばらく休業する。大人気のお店なのだから営業した方が儲かるのにと人々は訝しく思うが…。弁当屋の店主が黒白の間で夏場に休業する理由を語る!

ひとこと!

これは本当にほっこりする話。一見怖い話かと思いきや、そんなことはなく、あんじゅうに通じるものがある。ただどれだけ素敵な妖ともいつかは別れがくるのが悲しい。

 

 4あんじゅう(事続 あんじゅう)

あらすじ

手習所の若先生である青野利一郎の隠居した師匠夫婦が出会ったのは真っ黒い化け物でーー?!老夫婦はその化け物を「くろすけ」と呼ぶことにするが...。一体何者なのか?

ひとこと!

これまたほっこりする話!なんだかんだ心に残るのはほっこり系ですね。不思議な妖と出会えるのが日本の百物語の良いところだよね。海外で一神教の考えが強いところだとあんまりバリエーションがないから。日本だとこういう不思議がきっとどこかにあるんだろうなあと思わせてくれる。

 

5あやかし草紙(伍之続 あやかし草紙)

あらすじ

瓢箪古道の勘一が語るのは、法外に高い写本の仕事の話。それは自分の人生の結末を知る恐ろしいものでーーー?!

ひとこと!

自分の人生の結末を知るのって、まだ全部読んでいない本の結末を知るみたいで私は嫌だと思う。どこかで知りたい気もするし、人生を今より大切に生きれるかもしれないけど。でも知らなくても大切には生きれるし、知ったとしても結末を受け入れられないかもしれないしね。おちかと勘一がどうなるのかにも注目!

詳しい感想についてはこちらにも!

oljikotoushi.hatenablog.com

 

 6まぐる笛(参之続 泣わらし)

あらすじ

瓦版の評判を聞きつけた若侍が黒白の間に話すことに。お国訛りで話すのは、母親の実家がある北国の山奥で起こった出来事。そこでは「まぐる」が現れ、人々を襲っていたーーー

ひとこと!

怪異というよりは森とともに生きる人たちへ襲いかかる獣害を描いている。でももちろんただの獣害ではない。宮部みゆきの作品で「荒神」っていう小説と似ているところがあるな〜と思いながら読んでいたよ。「まぐる」の本当の正体を知った時は悲しくなるし、一太郎が真実を知った経緯も悲しい。というかひどい。でも語り手が初々しいのでわりと微笑ましく読めた!

三島屋変調百物語について詳しい感想こちらにも↓ 

oljikotoushi.hatenablog.com

 宮部みゆきの江戸時代の小説を読む参考に!

oljikotoushi.hatenablog.com

 

 

【アルスラーン戦記】旌旗流転

アルスラーン戦記】旌旗流転

久々にアルスラーン戦記を読んだよ!3月くらいから読んでなかったのでわりと話を忘れてしまってた💦シリーズものは一気に読まないとダメだね〜

あらすじ

仮面兵団はシンドゥラ国を侵攻し、略奪を繰り返していた。シンドゥラ国はアルスラーンたちに助けを求める。シンドゥラが寝返らないためにもナルサスは智略を使って仮面兵団を追い払おうとするがーー!?

 

読んでみて

うーん。この本一冊自体はそんな面白くないというか(苦笑)。流れのなかの一つだったり、これからまた新しい物語が始まって行くための布石みたいな感じだった。なにしろアルスラーンには頼れる部下がたくさんいて、以前はその仲間だけだったけど今は国もあってある意味思いのまま。というかナルサスが最強過ぎてナルサスの作戦にかなうやつがいないので、どうせ勝つんだろう感がひどい。

まあだからこそ闇の魔術的な奴らが出てくるんだろうけど。

アルスラーンはもう王様になっちゃったし、国内で大きな問題もそんな起こらないだろうからヘルメスがどうなっていくかの方が気になるかな〜。あとは本当の子どもはどこにいるのか、とか。

漫画版も読んで荒川弘バージョンとも比較して行きたいな〜。

【本】9月に読みたい本

【本】9月に読みたい本

9月にひとまず読もうと思ってる本の紹介〜

 

世界5大宗教全史

紅天女を読んで当時について知りたくなって購入。更級日記も読みたい。

 

自閉症だった私へ

ずっと読みたかった作品。今読んでるけどめちゃ良い。

 

こころの処方箋

なんだかんだ河合隼雄の本をあんまり読んでないんだよねー。家にあったからせっかくだし読もうと思う。

 

クロスファイア

宮部みゆき全制覇のために!頑張る!

 

アルスラーン戦記

あともうちょっと!!やっと読める!楽しみ!!

 

私は私のままで生きることにした

もう読んだけどよかった!感想はこちら↓

oljikotoushi.hatenablog.com

秘密の花園

良い話だった!バーネットも全制覇するぞ!

感想はこちら↓

oljikotoushi.hatenablog.com

 

風の谷のナウシカを映画館で観たよ!

 

f:id:oljikotoushi:20200915120625j:image

コロナの影響で新作映画が軒並み延期になり、ジブリの「風の谷のナウシカ」「もののけ姫」「千と千尋の神隠し」「ゲド戦記」の4作品が劇場公開されることに!!本当は全部(ゲド戦記はあんまりどっちでもよかったけど)観たかったのだけど映画館に頻繁に行くのを憚っていたら結局ナウシカしか観えなかったという…。残念。でもナウシカを映画館の大スクリーンで観てめちゃ満足したので感想を書いていくね♪

 

風の谷のナウシカジブリの中では2番目くらいに好きな作品。実際に映画館で観たのは今回が初めてで、というかテレビで放送されるのを観る以外で観たことはなかったんだよね。映画館で観てよかったのは、

①大スクリーンで迫力満点に観れること

②CMがなくて集中できること

③あんまり完全版を観たことがなかったから完全版が観えたこと

④音楽も綺麗に聴こえて感動すること

あたりかな〜。

 

「この映像観たことない!」って思う箇所がいくつかあって、わりと一瞬のシーンだし特にストーリーに関わりがあるところじゃないのだけど、多分テレビ放映しか観てなかったからきっとカットされてたんだろうなと思う。ジブリって好きなのにテレビでよくやっているからあんまりDVDを借りたり買ったりして観たことがなかったんだよね。でもやっぱり完全版の方が一つの作品だろうし全部ちゃんと観てみたいな、と思ったのでした。

 

テレビで放送されている時はあんまり泣かないのだけど、最後のあたりはめっちゃ号泣してしまった!!結末知っていても感動する。ナウシカの強くて優しいところがすごくかっこいい〜。あとクシャナもなんだかんだかっこいい。子どもの頃はめちゃ嫌な奴だと思っていたけど、大人になってみるとそんなに嫌な奴だと思わなくなった。もののけ姫」のエボシとちょっと被る。多分漫画の方の影響が強いのかもしれないけど。

 

漫画版も好きで、結構読んでいるのだけど自分では持ってないんだよね。やっぱ定期的に見返したくなるから買おうかな〜と思案中。映画のナウシカもまとまっていて好きだけど、漫画で深いところまで掘り下げるナウシカも好き同じ作品なのに別モノなのすごいよね

 

最初の古い感じの壁画とともにオープニングが流れるところがすごい好きなの!!どこかで生きてきた人たちの壮大な物語が今から始まるんだなっていう感じがしてすごく感動してしまうの!あれを大画面で壮大な音楽とともに聞けただけで映画館に観に行った甲斐がありました!またやってくれないかなーーー。コロナじゃない時に定期的にやって欲しい。絶対需要あるよ!!数年ごとでもいいし!!

【バーネット】秘密の花園

バーネット秘密の花園

古典的な作品はやっぱり一度は読んだ方が良いかな〜って思って読んでるよ。ヴィクトル・ユゴー、オースティン、ヘッセ、ディケンズカミュあたりを少しずつ読んでいく予定!

あらすじ

インドで両親を亡くしたメリーは、イギリスの叔父さんに引き取られることになる。荒野(ムーア)の中でひっそりと立っている広大なお屋敷でメリーは自然と触れ合い心が豊かになっていく。お屋敷には「秘密の庭」があることを知ったメリーはなんとか探そうとするがーーー?ある時屋敷の中で泣き声が聞こえ見つけるとそこにはーーー!?

 

読んでみて

はっきりいってあんまり期待してなかったんです。「小公女」を読んだ時は昔は名作だったのだろうけど、別にそんなに響く作品ではなくって。なんと言うか出来過ぎじゃない?!と思ってしまって。子ども向けだから仕方ないのかもしれないけど。だからまあそういう感じの作品なのかなって思っていたら…秘密の花園はめっちゃ良かった!!!

自然に癒される

訳者のあとがきにも書いてあったけれど、1911年に出版されたこの作品は現代の心理学の発見を先取りしている。傷ついた子どもにとってどれだけ自然や生き物や同年代の子どもとの交流が大事が描かれている。例えば「西の魔女が死んだ」でも主人公のまいはおばあちゃんの家に行き、自然の中で過ごしていく。「ハッピーバースデー いのちかがやく瞬間」でも自然の中で過ごしていた。「ハイジ」でも自然の中で生きることで立ち直っていく。「獣の奏者」でもエリンは自然の中で生き物を触れ合うことで癒されていった。

自然の中って一概に言ってもただ自然の中にいるだけってよりは、そこで植物も含めた色々な命と関わることで癒されていっている。街中にいると自然に接することってあんまりないし、ペットを飼っていないと生き物と接することってほとんどない。普段の社会の中で傷ついた人にとっては人間以外の生き物と接することってとても癒しになるし、その上で同年代の子と接していくとさらに良いのだろうな。って言っている私はあんまり自然に接したことはなくて…。こういう描写をよく見るから自然豊かなところに行きたいなーとは思うけども…。虫が苦手だしなー笑。

コリンとの出会い

コリンやメリーは「嫌な子」として描かれている。確かに可愛げがない子だけれど、二人とも親から虐待をされて育っていて人と情緒的な関わりを持ったことがなくて、「愛すー愛される」ということが分からない。人を生身の人って思っていなくて、自分の言うことを聞いてくれるかどうか自分の望みを叶えてくれるかどうか、としかみていない。だからこそ人とどう接したらいいか分からなくて弱みを見せないようにツンツンしている。メリーはマーサやベン・ウェザースタフと出会ってちょっとずつ柔らかくなっていく。その上でコリンと出会ったから二人はうまくいったんだよね。

コリンとメリーが出会った時のところが印象的で、ストーリーの詳しい内容は全く知らなくて、本に載っていた簡単なあらすじしか知らなくて読んでたんだよね。だから「体と心を病む少年と少女の出会いと再生を描いたバーネットの代表作」って言う部分を「ディッコンのこと?でもディッコンは体と心を病んでないけど…でも少年出てないし…」って思ってたんだよね。

そうしたら幽霊みたいな少年と会って、そもそも幽霊モノなのかなってちょっと思っていたから、幽霊じゃないってことを知って逆に驚いた。というか広くて暗いお屋敷で泣き声が聞こえてたから見に行っちゃうメリーって肝っ玉がすごい!子どもの好奇心ってすごいね。私なら怖がっちゃ気がする。ともかくメリーはコリンと出会い、初めての同年代の友達として友情を育んでいく。コリンの癇癪にメリーが怒鳴ったのは最高だったし、子ども同士だからこそできることだと思う。

コリンの成長

最初はメリーが主人公だったのだけど、途中からはもう完全にコリンになっていく。賢くて本当は生きたいと願っていた少年は、生き生きと生きていける環境を与えられてスクスクと成長していく。そして諦めずに自分を信じれるようになっていく

コリンは自分がよくなると自分に信じこませたのでした。自分では気づいていなかったのですが、そう信じたことは戦いに勝ったも同然だったのです。

コリンが「魔法」と言っていることは「自分を信じること」「希望を持つこと」。それを魔法っていうのは素敵だなあと思う。確かに魔法みたいなことも起こるもんね。

周りの大人たち

ディッコンやマーサの母親であるスーザン・ソワビーは子どものことをよく分かっていて、尊重していて、慈悲深く寛容で、コリンが言った通り、本当にこんな人が母親ならどれだけいいか!ある意味完璧すぎる感じもするけれどね。聖母マリアのイメージなのかな。でも子どもと対等に接して尊重できるってすごい力だと思う。

一方、メリーの両親やコリンの父親のクレーブン氏は今で言うと「ネグレクト」をしている。クレーブン氏は「精神的な虐待」も積極的に行っているわけではないけれど当てはまりそうな気もする。どちらの両親も子どもの世話を誰かにやらせていて、その点では放棄しているわけではないけれど、主たる養育者が育児をしない、実際にやらなくても情緒的にも交流をしないのは立派なネグレクトだと思う。だからこそ、最後には丸く収まるし、コリンは父親に認めてもらおうと必死だけれど、子どもから目を背けていたクレーブン氏が何事もなく幸せになるのってなんなの?!と思ってしまう。コリンはまだ幼いけれど、例えばあと4、5年したら父親が自分にした仕打ちを実感して疎遠になりそうだなと思う。だから今からどれだけ親子として絆を作れるのが課題のような気がする。まだ幼い時は親に認めてもらいたくて必死だけれど、大人になっていく中で、反抗期があるし、親は完璧な人間ではなく欠点もあることを知る。そしてその時にコリンは父親が自分にしたことを許せるかどうかが要になるように思う。許せなかったら表面上は良くても本当に和解することはできないだろうなあ。

バーネットについて

訳者のあとがきのところで、バーネットは小公女と同じで、裕福だったのに貧乏になってしまい成功していることを夢見ていたことが分かる。実際に作家として成功して夢を叶えたのだからすごい。なかなか興味深い人生を送っていた人なんだと知って調べてみたくなった。伝記とかあったらまた読みたいな〜。