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丕緒の鳥 十二国記 (新潮文庫 新潮文庫) [ 小野 不由美 ] 価格:693円 |
あらすじ
季節は冬、極寒の時期。一人の男が丸太を筐に入れ運んでいた。雪道の中一刻も早く向かおうとするその理由とはーーー?!
読んでみて
これは読んでいて本当に熱くなる!!最初は理由も分からず、一人の男・標仲がとにかく急いで丸太をどこかに運ぼうとしている。どの国かは分からないが、王が斃れたためとにかく荒廃がひどい。そして役人たちの間で不正が横行し、町は荒れ、民は希望を失う。新しく王が王位についたとしてもこの荒廃が良くなるのかどうか人々は希望を持てないでいる。そんな中で標仲は希望を捨てずに、というか捨てることもできないからとにかく頑張っている。
この物語には標仲と包荒と興慶の3人の男たちが出てくる。彼らはそれぞれ違う生き方をしていて、こういう事態にならなければ3人で協力してどうこうすることもなかったと思う。標仲なんかは本当に何事もない時代であったなら多分そこそこの仕事をして終わってたんだろう。
少しずつ全貌がわかっていくにつれ読んでいるこちらも標仲を応援していて、王宮まで繋げて欲しいと手に汗を握る。でもなかなか難しくって…。標仲の思いが辛い。
少しでも先へ。一つでも先の里へ。ーーーある朝目覚めて、青条が枯れていることを知る。あのときもう少し走っていれば、と悔やむ事だけはしたくない。最初から走っていれば、焚火に当たったりせず、その間も歩いていれば。そう後悔する瞬間の腸をねじ切られるような痛み。何度も悪夢に見た瞬間が、すでに経験したことのようにこびりついて忘れられない。
私は寒いの苦手なのでいくら仙籍に入っていても雪の中を歩くなんて辛すぎるよな〜と思ってしまう。
最後のオチの描写もクドくなく、さらりとしているけれどすごく感動した。はっきりとどこの国か分からなかったけど、ちゃんと一文があったらしく!なんと雁!尚隆登極前ってこと!尚隆なら!王宮まで行けばなんとかできる!はず!よかった!!
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