文学系心理士の自己投資ブログ

文学系心理士の感想部屋

文学系心理士が好きなことを徒然なるままに書きまくるブログ。小説、NETFLIX、たまに心理学のことも♪

【本】最近の購入品

ちょっと前に購入した本たち。

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三千円の使い方

よくお店で見るので気になって購入。

でも3000円っていう金額を見るとみんな貧乏になったんだな…と思う。

 

希望荘

杉村三郎シリーズの続き。読んでいきたい。

でもそのうち三島屋変調百物語の新刊が出るのでそっちを先に読むかも。

 

准教授・高槻輝良の推察5

4を買ったので続けて購入。

 

フーガユーガ

こちらもお店でよく見かけているので購入。

伊坂幸太郎作品、多分1、2冊しか読んだことない。楽しみ。

 

パーフェクト・ブルー

宮部みゆき先生の結構前の作品。

宮部みゆきが描くミステリが好きすぎてちょうど50作品読み終えたところなんですよね。全部読めてしまうのも時間の問題だと思うのだけど、全部読んだら読んだて寂しくなりそう…。でもまだまだ新刊は出るはずなのでね!

 

【マーガレット・アトウッド】誓願

侍女の物語」に引き続き「誓願」を読みました〜!

あらすじ

侍女の物語」のオブフレッドの物語から15年後。小母としてギレアデで権力を持つリディア小母、司令官の娘として妻になるために育てられているアグネス、カナダで普通の学生をしていたデイジー。別々に生きていた3人が出会う時、ギレアデの命運が大きく動きはじめるーーー?!

 

読んでみて

昨年に「侍女の物語」を読み、1年越しにやっと続編を読むことができた。

とにかく満足。期待を裏切らない。もっと早く読むべきだったなと思う。

積読していた本を読むと大体そう思うけど笑。

 

なんというか「侍女の物語」は鬱々としていて読んでいて幸せな気持ちになったりもしないし、ザ・物語というよりは「1984年」と本当に似ている感じなので内容的にも書き方的にも読むのが疲れるのだよね。

すごくいい本なのだけど。

それもあって続けて続編を読めなかったのだけれど、「誓願」は「侍女の物語」とは違ってテンポも速いし物語として進んでいくので読みやすかった!こういう感じならもっと早く読めばよかったな。むしろ「誓願」まで読んだ方が安心すると思う。


でもまあ33年越しに出された続編なので1年くらい待つくらいがちょうどいいのかもしれない


今回は3人の女性が主人公。

侍女の物語」に出てきたリディア小母も出てくる。

ギレアデ側の人間なのだけれど、彼女も女性であるからには差別されているのになぜギレアデ側にいるのかが分からなかった。

今作ではその理由が明かされる。

リディア小母以外にも3人の小母たちがギレアデの創成期を支えたということになっている。女性の教育体制を作ったのが彼女たち。

ところが彼女たちは元の世界では優秀なキャリアウーマンだったことが分かる。ある時一斉に女性たちが集められて、そして劣悪な環境下に入れられ、順番が回ってきたら拷問を受ける。そんな状況の中、突然人間らしい生活ができる環境に身を置かれる。その生活を続けたければギレアデを受け入れるしかない。

そして忠実であることを示すために罪のない他の女性を撃つしかない。

自分ならどうするだろう?と思う。

読み手としてはリディア小母がやっていることは信じられないし、自分ならもっといい方法を考え出したり屈しないし死さえ選ぶかもしれないと思う。

でも本当に?本当にそんなことができるのだろうか?

その問いにリディア小母が答えてくれている。

どうしてこうも邪悪に、残酷に振る舞えたんですか?あなたは問うだろう。わたしなら決してこんなことはしなかった!と。とはいえ、あなたはそうせざるを得ない状況をみずから経験することはないでしょう。


この最後の一文!

希望でもあるけれど、でも本当にこの世界に生きる私たちに当てはめることはできるのだろうか?そうしないためには今声をあげる必要があるのではないだろうか?

じゃないと本当にギレアデの世界ができてしまうかもしれない。

もちろん永久に同じ国や統治が続くわけじゃないのでいつかは倒れるだろうけど、でもその間にどれだけの人が犠牲になるかと思うと絶対に阻止しないといけないと思う。


また、マーガレット・アトウッド歴史上起こっていないことは書いていないと言っている。つまり、女性の権利が奪われることは実際に起こってきたこと、そして起こっていることなのだ。

侍女の物語でも思ったけれど、名前を取ること、文字を奪うこと、学ばせないことこれが支配することを容易にするのだろうな。

学ばせないっていうのが特にそう。これが今でもそうだよな〜と思う。

私は心理士なので大学院卒なのだけれど、女性で大学院卒って先進国でもそんなにいないよね。日本でも男性の方が多いし。

大学に行けたとしても都心に出なくてもいいとか、そんな賢い大学に行かなくてもいいとか、大学院まで行かなくてもいいとか、そういうのは全然ある。言う側に悪気があるわけではなくて「女の子はそういうもの」みたいなね。

ギレアデでも女性は文字を読まない、というのが当たり前の共通認識になっている。文字を読むのは悪いことっていう教え。他にも性交渉は恐ろしいものってことにしたり。女子割礼もそうだよね。苦痛にすることでコントロールしようとする

なのでディストピア小説ではあるのだろうけど、ディストピアとも言い切れない。人間って怖い。


次は権力を握る司令官の元に生まれたアグネス

一見するとギレアデ国内でも恵まれているので幸せそうに思える。でも結局は司令官の妻になるための存在

妻にも大した力はなく、それなりの生活を送れるとはいえ人権はない。侍女目線から見ると恵まれているようにも思えたけれど、決してそんなことはないことが分かる。

私たちは外の世界から見ているから疑問に思うけれど、中にいたら与えられた役割を全うしないと死ぬしかないのだから仕方ないのかもしれない。

元々の世界を知らずに育った子どもたちはその世界が当たり前だと思って生きている。文字を読まないのも、刺繍しかしないのも、階層が明確に分けられているのも、男性より女性が劣っていることも、結婚するのが当然なことも、13歳くらいで結婚することも、夫の言うことは絶対なことも、自由に散歩もできないことも、顔を隠さないといけないことも、子どもを産まないといけないことも、ありとあらゆることが当然だと思っていきている。

読んでいて悲しかったのは、リディア小母が司令官と話している時に男性よりも女性は劣っているのが当然、だけど細かい些細なことには女性は気付きやすい〜みたいなことを言っていて、この二人は以前の世界を知っているのにこんな茶番なやりとりをやっているのか…と感じた。司令官側はこんな茶番やっててバカみたいだなって思わないのか??

でもそれが共通認識の世界ではアグネスたちにとっては事実になっている。この差が悲しい。

日本でも当たり前みたいに女性よりも男性の方が賢いとか言う人たちがいる。生まれながらに違ってるって。女性差別は世界中どこにでもあるのにそれをないと言えるのは女性差別が強い場所なんだな、ということを私はもう知っている。ギレアデだって女性のためって言っているからね。あれだけ差別しておいて。現実でもそう。差別している事実を周知の事実として認識できないほど差別している状況なのに。


一番共感できたのがデイジー

今の私たちの世界に一番近いのが彼女。

普通の女の子だったのに急に色々なことが起こって大変だっただろうと思うのに頑張っていてすごかった。

ギレアデに行くなんて普通怖すぎるよ…。確証もなかったわけだし。

でも今の私たちの世界っていうのも語弊があるけど。今もギレアデの方が近い国に生まれている人もいるだろうから。


今作は前作よりも希望を持てる終わり方になっている。

リディア小母は悲しいけれど。手記って見つからないこともあるじゃないですか。そう思うとハラハラしていた。でもこれは二重になっていて、本作の中の世界の手記の読者と私たち読者に向けての言葉だから、例えその世界で見つからなくても私たちが読んでいるということが大事なのだろうと感じた。


「十二片に切り分けられた側女」と言う聖書の話が出てくる。

この内容がなかなかに衝撃的。

最初は創作かと思ったら実際に聖書にあるということが分かった。というか後書きの解説とかを読む限りでは実際に現実世界で起こっている出来事や実際の聖書の書いてあることしか載せていないらしい。

とにかくひどい内容で、本書では小母が子どもたちにちょっと希望を持たせて言ったりもするのだけれど実際はそんな希望はなかったという。

ここから何を学ぶのか?犠牲になった女性は犠牲でしかなくて、全部男性目線なんだよね。「女が死ぬ」と同じような感じで男性の人生のスパイスとして女が死ぬ。男性からしたらここから学ぶことがあるのだろうけど、女側からしたら学ぶとかではない。だって死ぬんだもん。

しかも死んでも12片切られて争いの火種に使われるってさ。最終的に戦いに参加しなかった部族の女性たちが自由に誘拐されていいことになるっていう。男性側も大変だったんだろうけどさ、女性がひどい目に遭いすぎていて女性の立場としては酷すぎる以外感想がない。まあこういう話は他の宗教でもあるだろうけどね。たまに「女性のことは想定されてないのね」って思って悲しい気持ちになることがある。

 

心の残った箇所。

なんと残酷なものだろう、記憶というのは。なにを忘れてしまったのか、思い出せないのだから。なにを忘れさせられたのか。なにを忘れなくてはならなかったか。この国でともかくまともに生きている振りをするために。

ごめんなさい、とわたしはつぶやいた。あなたを呼びもどせない。いまはまだ。

 

時計が時を刻む。一分、また一分と。わたしは待つ。ひたすら待つ。

無事に飛んでいきなさい、わたしの伝令よ、わたしの白銀の鳩よ、わたしの破壊の天使たちよ。そして、無事の着地を。

私にはできるだろうか?

リディア小母のようなことが。

 

リディア小母の禁書リスト

シャーロット・ブロンテジェイン・エア

レフ・トルストイアンナ・カレーニナ

トマス・ハーディ「ダーバヴィル家のテス」

ジョン・ミルトン失楽園

アリス・マンロー「娘たちと女たちの生活」

 

そして手記を入れていた本はニューマン枢機卿の「わが生涯の弁明(アポロギア・プロ・ヴィータ・スーア)」

他にも
コレット「踊り子ミツ」

ロバート・フロスト「選ばなかった道」

 

解説に載っていた作品

風と共に去りぬ

ナオミ・オルダーマン「パワー」

クリスティーナ・ダルチャー「声の物語」

ヴァージニア・ウルフ「自分ひとりの部屋」

メアリー・ビアート「舌を抜かれる女たち」

 

マーガレット・アトウッドの作品

「食べられる女」

「浮かびあがる」

青髭の卵」

「オリクスとクレイク」

「またの名をグレイス」

「昏き目の暗殺者」

「洪水の年」

キャッツ・アイ

「サバイバルーー現代カナダ文学入門」

 

あと文中に載せた「女が死ぬ」はこちらです。

【澤村御影】准教授・高槻彰良の推察5 生者は語り死者は踊る

准教授・高槻彰良の推察の5巻目です〜〜〜!

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あらすじ

尚哉は高槻に誘われて百物語に参加することになるがー?!

そしてとうとう尚哉の祖父母の村で行われていた祭りを調べに行くことにしてー?!!

 

読んでみて

今作は主人公である尚哉が嘘を見抜けるようになった死者の祭りに行くことになって、かなり進展する!

今までは怪異?それとも人間?ってなっていたら人間が犯人だったことが多かったけれど、今回は本当に怪異が起こる!!

 

百物語の夜

大学で泊まりがけで百物語をするという青春もの。

読んでいて「私もこんな青春したかったよ…パトラッシュ…。」となりました。

なにこれ???

夜の7時から朝の4時くらいまでかけてやるという本格百物語。

私も百物語やりたいやりたいと思い続けながらこの歳になってしまいました。

本文で高槻教授も言っているけれど、やりたくてもなかなかできないのが百物語。

まず人数がそれなりにいる。さすがに数人で100の物語を語るのは大変すぎる。話疲れすぎる。

そして会場。普通の家にはそんなにたくさんに人数は入らないし、かといって借りてするほど熱意がある人はなかなか集まらない。

そして夜にやるにしても昼にやるにしても百物語に付き合ってくれる人って現実世界ではそうそういない。

だからこそ大学時代にやるのってめちゃいいな、と思いました。

ほんとに。めっちゃ楽しそうじゃないですか??!

私もそういう青春送りたかったな…と悲しい気持ちになった。そして最後は厄落としも兼ねてみんなで線香花火をするっていうね。

今の季節ともあって久しぶりに線香花火したくなった〜。やろうかな〜〜。

とにかく!羨ましくなる物語でした。本当に羨ましい。

宮部みゆき作品の三島屋変調百物語も百物語になるはずなのでずっと楽しみにしている!!

 

死者の祭り

主人公である尚哉の元凶へ。

そんなうまいこといく???と思っていたら意外にうまいこといって真相が分かるという。

やっぱり高槻が本当?の主人公なので高槻の謎が最後に出てくるんだなあ、と。

フィールドワークって大変そうだけどすごく興味深くて今の職業に就いてなかったらそういう仕事に就きたかった!

まあコミュニケーション能力が高槻ほどないので大変そうではあるけど。

 

死者と生者が相容れないのはなんか悲しかった。

仕方ないのかもしれないけど…。

洞窟がどんどん下がっていくのは怖かったな〜。最後の脱出はちょっとご都合過ぎすぎる気がするけど…。

 

6巻も読もうと思います〜〜〜!

 

【小野不由美】ゴーストハント3 乙女ノ祈リ

ゴーストハント3巻目〜〜〜!

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あらすじ

麻衣はまたまた怪奇現象が起こっている学校に行くことに!

今度は幽霊にポルターガイストなど様々な怪事件が起こり、学校全体が巻き込まれていた!ナルにリンさん、ぼーさん、綾子に真砂子にジョン!お馴染みのメンバーとともに解決しようとするがー?!

 

読んでみて

舞台が学校ということでまた1巻と同じような感じ??と思っていたら、1巻とはまた違っていい意味で裏切られた。

でも学校が舞台なのは3巻中2回ということで、やっぱり学校って怖い舞台にぴったりなのだなあ、と。同じ年頃の多種多様な子どもたちが一緒にいるってそうそうないもんね。大人になったらそういう場所ってあんまりないし。職場は嫌だったら辞めれば言い訳だからね。

そして大人になってから友達と毎日会えるのって貴重だったんだな…と自覚したし。

 

これを読みながら小学生の頃だったけど学校の七不思議に夢中になって、自分達でも作ったりしてみたなあって思い出していた。

作ったのはもう1個くらいしか覚えてないけれど笑。

高校生って怪異よりももっと夢中になることが他にあるような気がするから、小学生とかの方が伝染はしやすそう。

 

色々な怪異が出てくるので、文面で見るとそんな大したことなくてもこれが実際に起こると怖いな〜〜〜と思いながら読んでいた。

ノイローゼになりそうではある。しかも周りに言っても信じてくれないだろうから。

実際には麻衣やナルも被害に遭うけれど普通に怖い。

 

再びESPやPKの話が出てくるのでまた1巻と同じ〜?!と思っていたけれど違ったのでよかった。

ナルの解説はためになっておもしろいのだけれど、早くストーリーの続きを知りたい!!ってもどかしく思ったりもする。

ちなみに私もスプーン曲げできないかな?って思ってやってみたけれどできませんでした…。

子どもの時の方ができたのか??ただ単に私にそういう不思議な力はないのか…。

 

とにかく今回も面白かったです〜〜〜!

私的にはジョンの出番がもうちょっと欲しい!

麻衣の不思議な力のことが少し分かって嬉しいかな。あとナルは陰陽師じゃなかったこととかリンさんが陰陽師だったとかが分かったのも進展かな。

途中で犯人はなんとなく分かってしまったのと動機自体はあんまりしっくりこなかったけども。

4も読むのが楽しみです〜〜〜。

oljikotoushi.hatenablog.com

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最近読んだ漫画と雑誌

最近読んだ漫画と雑誌をまとめます〜〜〜!

 

ダ・ヴィンチ6月号

楽天マガジンに入っているのでいつも読めるのだけど、なぜかこの号のムーミンは読めないっていう。ムーミン読めないなら半分くらい読めないんだが?!!利権?!ムーミンってそんな強い??と謎だったけど読みたかったので買いました。

ムーミン読んでるだけで癒される。みんなニンニ好きだよね。

 

芸術新潮6月号

十二国記の絵!!!好きすぎるので買いました。尊いな。

 

女の子のいる場所は

ネットで2話くらい読むことができて、良すぎたので購入。

女の子がちょっとでもよりよい暮らしができるようになるといいね…。日本もちゃんと載っていてよかった。

ぜひ!おススメ!!

 

暁のヨナ

ヨナはもうずっと好きですね。

もうそろそろ終わっちゃいそうなのが悲しいけど、完結を見納めたい気持ちもある!!ヨナ好き〜〜〜!

 

黄泉のツガイ

荒川先生の最新作ということで購入。

ハガレンが好きすぎてね…。ハガレンくらい愛せる作品をずっと求めてるんですよ…。見つからないよね。いい作品はあるけど良すぎるともう別ジャンル的になっちゃうから。進撃とかさ。

ただ、1巻だけだとまだ分からないことだらけあんまり夢中になれなかった。もうちょっと続きを読んでいきたい。

あとアルスラーンも途中まではちゃんと買って読んでたんだけど、原作全部読んじゃったら熱が冷めてしまった。なんか最後ああなるのかって思うとね。別にあのラストはそんな嫌いとかイヤとかではないのだけど賛否両論あるのは分かる。そして自分自身も冷静になっちゃったんだよな〜。

 

ゴールデンカムイ

ゴールデンカムイ無料を読んでから買ってしまっている…。無料化の思惑通りすぎる。

実写映画化するらしいね...。あんま期待してないけど。

 

女の園

前から見かけてはいたけどちゃんと読んだことがなくってやっと読んでみた。

よき。クスッと笑えて癒される。等身大の人が多いのでなんか現実にありそうかもって思えるよね。

もっと続き出てると思ったら2巻しか出てないことにショック。もっと読みたい〜!

 

ミステリという勿れ

こちらもちゃんと買って読んでます。

ドラマも観たけどやっぱ原作の方がいいなあ〜。当たり前だけど。

BASARAもちゃんと読みたいんだよね〜〜〜買おうかな〜〜〜。

 

漫画も雑誌も時折買っている。開拓したいけどなかなか気にいる漫画に出会えないので今回は豊作でした。

【小林泰三】アリス殺し

あらすじ

栗栖川亜理は大学生。ある時、毎晩同じ夢を見ていることに気づく。それは不思議の国のアリスの夢だった!夢の中でハンプティ・ダンプティが壁が落ちて亡くなる。リンクするように現実世界でも王子玉男が大学のキャンパスから落ちてー?!

 

読んでみて

悪夢×メルヘン×ミステリという興味深い設定。

表紙もとっても可愛くて、不思議の国のアリスってことで楽しそう!って思って読み始めたのですが…!

思ったより残虐!全体的に残虐!!


不思議の国のアリスの世界の夢を見ているということで楽しそうだと思うじゃないですか??

でもみんな変なので意外にイライラする世界なんですよね。

自分も変人にならなきゃ不思議の世界では着られないなあと思う。

読んでいるこちらとしては面白いんだけどね笑。


最初はリンクしているからといって困ることなくない?と思っていたのだけれど、なんとアリスが三角兎と頭のいかれた帽子屋から犯人にされてしまう。

そのため逮捕されて死刑にでもなると現実世界でも死んでしまうのでは?!!という心配が出てくる。

女王の口癖は首をちょんぎっちまえ!!!なのでね。


相棒のトカゲのビルがよかったな。

現実世界では賢くて好青年なのに不思議の国では頭が弱くて話もちゃんとできない。でもアリスのことは好きなんだけども。


そして第二の殺人、第三の殺人と次々と殺人が起こる。

白兎が意外に可愛くなったかな笑。

私、原作の方をちゃんと読んだことがなかったので元ネタが分からないのも多かった。鏡の国の方は読んだことあるんだけども。原作もちゃんと読みたいな。


以下ネタバレ

最後の最後のネタバレがよかったかな〜!

にしても主要人物たちの死に様が怖すぎて怖すぎて。

残虐すぎる。

あと女王と侯爵夫人も最初は騙されてしまった。最後の方では流石にわかったけども。

でも処刑の仕方が怖すぎる。


続編もあるみたいなので読んでいきたい〜!

【本】妖女サイベルの呼び声

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あらすじ

伝説の魔法の獣たちとともにエルドの山奥に住むサイベルは、突然ある男から王の血を引く赤子タムを育てるように言われー?!

 

読んでみて

荻原規子先生がお薦めしていた本なので読んでみました〜!


わりと堅苦しい感じの話なのかと思っていたら、そういうわけではなくすごく読みやすかったし物語の続きも気になってあっという間に読んでしまった。


魔法使いの血筋であるサイベル。

彼女は呼び声で伝説の動物たちを呼ぶことができる。そして呼んだ動物だちと一緒に屋敷で一人で住んでいた。

黒猫のモライア、ライオンのギュールス、竜のギルド、隼のター、猪のサイリン、そして黒鳥も。

彼女は一人でもよかったし、自由気ままに暮らしていた。

ところがーーー。


ある時、コーレンという男性が現れる。

彼はサイベルに赤子を育てるように頼む。同じ血を引く赤子を。

遠縁だからって急に赤子を押し付けられるって嫌すぎるな〜と思う。

サイベルの能力を持って生まれるのはその父も祖父も男なんですよ。それで呼び声で近くにいた女性を無理やり連れてきて結婚して子どもを産ませて。それがサイベル。

酷すぎるよね。


サイベルが女性だったからコーレンは頼みに来たのが嫌すぎた。

これが父や祖父だったら絶対に頼みにこなかったじゃん。実際に女性なら育て方知ってるでしょ的なことを言っていて嫌すぎた。

傲慢すぎるのでサイベルには断って欲しかったくらいだよ。まあでも受け入れないと物語が始まらないのでね。

それに最初はサイベルはターに頼んでコーレンのこと殺そうとしてたし。


それでタムを育てることになったんですけど、知識がないサイベルはひっそりと暮らしている物知りなお婆さんを頼ったりして他者と交流を持ち始めるんですよ。私のイメージでは守り人シリーズのトロガイ。

他者って言っても基本はその二人だけなんだけど。でも今まで自分一人で何も不自由ないと思っていたサイベルがタムを育てることで開けていくんですよね。それがすごくいい。本当の母親のようにもなるし本当の娘のようにもなる。誰も血は繋がっていないけれど三世代の家族みたいになる。


でもその平穏もタムが王の血を引くということで壊される。

サイベル目線で見ると争いに意味なんてないんだよね。各々の当事者同士にとっては重要かもしれないけれど外野から見ると全然そんなことない。

なんで争っているのか謎。大事な人を殺されたから黙って引き下がれない、みたいな。そのせいでずっと争いが続いている。

そんな不毛な争いに大事な大事なタムが巻き込まれるなんて最悪すぎる。


でもタムはタムで自分の本当の父親に会いたい。しかもその父親が自分を待っているなら尚更。そして自分が王子ってことも知ってしまったし。

サイベルのことは大事だし、離れたくはないけれど、でも行きたいっていう気持ち。本当にそれが子どもの気持ちだよなって思う。

親離れ、自立っていう部分にも重なっているのだと思うけど。

タムがサイベルと恋仲にならないのもいい。ちょっとトラウマなんですよねー、そういう作品に。

疑似とはいえ親子同士は居心地がいいし安心できるけれど、だからといってそこにずっと留まろうとしないのが健全だと思う。

そして出ていくタムを受け入れるサイベルもいい親だと思う。

まあ読んでいる時はアホみたいな下界に行かずにずっとそこで暮らしなよーーーって思っちゃいましたけどね。それこそ本当にファンタジーだなあと思う。

でもまあ全体で見るとタムはちょっと優しすぎるところはあるけどね笑。サイベルに良すぎる部分はある。


サイベルの父親とかは自分の妻を呼んで手に入れたんだけど、サイベルは逆にミスランに呼ばれてしまう。

この辺りは本当に辛かった。

誘拐婚を思い出した。指輪物語のエルフもそういうことしてたよね〜〜〜。最悪すぎる。

でも!やり返すところは爽快さもあった。それだけではないけど。

ただ、そこから復讐劇になってしまう。


そしてコーレンも利用する。

絶対言った方がいいのに〜〜〜と思いつつ言わない理由もすごくよく分かる。

バレた時にコーレンは怒るけれど、でもサイベルの気持ちの方が私にはすごくよく分かってしまった。言えない相手ってくらい特別なんだから分かってよって。その反面、伝えたら面倒なことになるから言わなかったっていうのも分かる。


自分を自分じゃなくそうとした相手。

その相手がいる限り自分は今までのように生きていられない。でもそれが終わったとしてもきっと今までのようには生きていられないだろう。


相談できればよかったのにね。

大事な人に。相談できるのも強さだから。でもサイベルには難しかった。だって今まで自分一人で対応してきたから。今回も自分で対処することで辛さや悔しさや悲しさから目を逸らしたのだろうな。

とても辛く悲しいことがあると人はそれを誰かに話すことさえできなくなってしまう。

 

「そんなことがあるものか!愛とはいったいなんだと思っているんだ 大声をあげたり、打ったりするたびに驚いて心から飛び立つ小鳥のようなものだとでも思っているのか?きみはぼくのもとから飛び立つがいい、きみの暗黒の世界へと思うさま高く翔んで行くがいい。しかしぼくはどんなときにもきみの下にいるということがいまにきみにもわかるだろう。どれほど距っていようと、きみを仰いでいるだろう。ぼくの心はきみの心の中にある。あの夜、ぼくの名とともにきみに捧げたはずだ。だからきみはぼくの心の預かり主なのだ。大切にしまっておこうが、萎えしぼませて枯らせようがそれはきみの勝手だ。ぼくにはきみという人がわからない。そしてそんなきみが腹立たしい。ぼくの受けた傷はもはや手のほどこしようもない。だがこの上きみを失ってしまえば、ぼくの内部に疼く空洞を埋めるものはなくなり、きみの名がむなしくこだまするばかりになるだろう」

いや〜〜こんなに愛してくれてる人がいるなんて羨ましいね!

サイベルの復讐劇は強かかっこよかったけどその分犠牲にしたものも多かった。自分自身によって殺されてしまうところだったからね。

ただ、復讐じゃなくてみんなで幸せになる道はないのか、だってタムの父親なんだもの。でもサイベルが我慢して終わるのもそれはそれでおかしいとも感じて、どうすれば一番いいのか分からなかった。サイベルもどういう選択をするのか最後まで分からなくてハラハラドキドキしていた。

復讐はしないって綺麗事言うのもなんか違うし、タムのために我慢するのも違うし、サイベルが悔いのない終わり方をして欲しいと思っていたので、ちょっと悲しさもあったけれど最後の選択はホッとした。逃げたと言われればそれまでだけれど、復讐に走るためには愛する人が多すぎたのだろうな。そして自分のことも。

そして最後にサイリンたちみんなが助けてくれたのもよかった。


ブラモアとライラレン、表裏一体さが人間っぽいなと思う。

ファンタジーだし色々設定もあるけれどサイベルとコーレンの恋愛が主軸になっていてコーレンの一途さが好きだったな。

 

「巨人グロフは礫を片眼に喰らったが、その眼は裏返り、彼の心の中を見た。グロフはそこに見たものが原因で絶命したのだ」

 

そしてなんと漫画があるってー!!びっくり!読みたい!!

コーリング」

妖女サイベルはこちらの荻原先生の本で紹介されてたよ!

感想はこちら!