文学系心理士の自己投資ブログ

文学系心理士の感想部屋

文学系心理士が好きなことを徒然なるままに書きまくるブログ。小説、NETFLIX、たまに心理学のことも♪

ウィンダム図書館の奇妙な事件

あらすじ

1992年2月の朝。ケンブリッジ大学の貧乏学寮セント・アガサ・カレッジの学寮付き保健師であるイモージェン・クワイのもとに学寮長が駆け込んできた。おかしな規約で知られるウィンダム図書館で学生の死体が発見されたのだー!

 

読んでみて

タイトルに惹かれて読んでみました〜!ケンブリッジ大学、学寮付き保健師、奇妙な図書館というなんておもしろそうなワードたち!

最近の話かと思ったら、日本で刊行されたのは最近でも書かれたのは結構前。裏のところに内容紹介が書かれているのだけど、そこに「巨匠セイヤーズのピーター・ウィムジイ卿シリーズを書き継ぐことを託された実力派作家による、英国ミステリの逸品!」って書いてあって、この作品がそのウィムジイ卿シリーズなのかと思って読んでいたという笑。

ドロシー・L・セイヤーズは名前は聞いたことはあるけど読んだことのない作家さん。その著者の有名なシリーズであるピーター・ウィムジイ卿シリーズの公式続編をこのウォルシュさんが書いたらしいってことらしい。なるほど。そっちもそのうち読んでみたい。

今作のイモージェン・クワイが出てくる話も3作品あるらしいのだけど、残念ながら今作しか翻訳はされていない。おもしろいから翻訳してくれないかなあ。


少し前に読んだ「窓辺の愛書家」と比べるとこちらの方がページ数的にも内容的にも読みやすい。ただ、大学の描写やウィンダム図書館という本当の図書館とは別にある設定とか、イギリスの大学を知らない側からすると目新しいものが多すぎて物語に入るまでちょっと大変な部分はある。でもそれ以外は読みやすいしイモージェンの気持ち分かるし全体的にいい作品でした。

なにより「ウィンダム図書館」の設定がおもしろい。

何百年か前に寄贈された図書館だけれど、収集されている本が減っても増えてもダメという規定がある。減ってもは分かるけど増えてもダメっていうのがおもしろい。

所蔵されている本はどれも時代遅れ(天動説を支持したり)なので図書館としての価値は低くみられているけれど、図書館の館長は都市の中心部にある不動産を所有できるおかげでとてもお金持ちというね。教授だけでもまあまあお金持ちだと思うけどなあ。


なぜ男子学生は亡くなったか?という第一の謎があるけれど、学生たちは警察に全然協力してくれないからなかなか捜査が進まない。いや、みんな協力しよ?って思ってしまうよね。

そうこうするうちに2人目の犠牲者。そして教授の失踪に記憶喪失。ウィンダム図書館の不思議な規定が重なりあって最後まで楽しめました。主人公のイモージェンに共感できる部分もたくさんあってよかった。満足です。

教授が本をなくして我を忘れたり基本が変人なのか頭を打ったせいなのか分からないあたりもよかった。みんな教授の話ちゃんと聞こう?って思ったよね。

最後の最後で丸く収まったのもよかった。息子の嫁が!

にしても図書館を寄贈できるってすごい!私も自分だけの図書館作りたい!羨ましい!

そして一定の分野の学問を下に見るのはよくないね。どの学問を重なり合っているはずだから。


図書館好きな方はおすすめです〜!

そしてケンブリッジ大学で働けるの羨ましい〜。四季折々の風景を楽しみたい。