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文学系心理士が好きなことを徒然なるままに書きまくるブログ。小説、NETFLIX、たまに心理学のことも♪

【夕木春央】方舟

あらすじ

大学時代のサークル仲間で久々に集まった6人。柊一は集まりに不穏な空気を感じとり、従兄弟の翔太郎を連れてきた。メンバーの一人である裕哉が少し前に見つけたという廃墟に行くことになったがー!?

 

読んでみて

こちらは2022年9月に刊行されたばかりの新作。

新作読むことってあまりないのだけど、最近やり始めたTwitterで見かけて気になったので読んでみたよ〜!みんなこの作品のこと話してて、たまたま本屋で見かけて買ってみました!

初めて知る著者の方だったけれど、読んでみておもしろかったー!

帯には色々なミステリ作家や書評家から絶賛の声が書かれているのだよね。ただ、まあ私はあんまり日本の作家さん読まないので、名前は知っているけど読んだことない方が多かったけども。

 

明確なネタバレはないですが、何も知りたくない人は読まないでね〜↓


とにかく衝撃的な結末が待っているということだったので、一体それがなんなのかどきどきハラハラしながら読んでいて絶叫系のアトラクションに乗っているような感じだった。この作品の中核にある「誰が生き残るべきなのか」という問いは重くて、ずっと考えていてしまった。誰が生き残るべきでそうじゃないかなんてそうそう決めれないじゃないですか。年齢で言ったら若い人の方が生き残るべきなのか、それとも家族がいるような守るべき人いる場合の方が優先されるのか。それともお金も地位もある人?それとも一番社会的に弱い人??

私が大好きな海外ドラマ「グッドプレイス」でもトロッコ問題が取り上げられていたのを思い出す。有名なトロッコ問題は、自分が列車を運転していて道の先に人がいる。切り替えることでその人を助けることができるけど、もう一方にも違う人がいるというもの。両方とも全く知らない一人の人ならそこまで悩まないだろうけど、元々の線路には複数人いて、線路を切り替えた先には1人いる場合どうするか?1人の人があなたの知り合いだったら?子どもだったら?高齢者だったら?とにかく色々なパターンを考えることができる。

これは自分が選択権を持っていて、自分は生命の危機に脅かされないけれど、もし自分達もそこに含まれていたら?


今作はクローズドサークルなんですけど、最近そういうの多い気がして流行っているのかな??

私はそういう特殊な状況よりはミス・マープルみたいな感じが好みなんだよね〜。最近ので言うと「木曜殺人クラブ」とか「ロンドン謎解き結婚相談所」みたいに基本はポジティブな感じで話が進んでいて、でもそれぞれの人間模様も葛藤も丁寧に描かれていたりするのが好き。残虐な殺害方法とかも好きじゃない〜。

残虐な箇所を読んじゃって気分が落ち込んじゃうことがあったので。もっと子ども、中学生くらいの時は全然平気だったのだけど、大人になると辛くなってしまった。心理士になってより共感できるようになったっていうのと、大人になると否応なしに辛い事件とか知るようになるのでこれ以上は知りたくないって思ってしまう。理由がちゃんとあったりそこが重要な部分ならいいのだけど、ちょっとこじつけっぽくなってたりするとね〜。

「女が死ぬ」で表題作の「女が死ぬ」みたいな感じで演出のために残虐に死ぬっていうのは苦手になってしまう。あと主人公のトラウマのために死ぬとかも。「地下鉄道」みたいに元々辛い内容があることが分かっていて、その部分を描くのが重要な作品とかはまた別なんですけど。

アガサ・クリスティをまず好きになったからかミステリは陰鬱な感じはそんなに好みではないな、ということが最近分かったかも。

欲を言えば今作はもうちょっと登場人物たちの葛藤が描かれているとより好みだった!!特に犯人のね。登場人物たちに共感したいのだと思う。衝撃的ではあったけど他にもっとこうできたのでは??的な印象も残ってしまったので。

 

まとめ

色々考えさせられたし読んでいておもしろかったです〜!続きが気になってすぐ読んでしまった!

気になる人はぜひ!!