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【山内マリコ】あの子は貴族

 

あらすじ

東京生まれ東京育ち。大学までの一貫女子校で過ごしてきた榛原華子。周りが結婚する中、婚活に奔走するがーー。一方、田舎から名門大学に入るために上京してきた時岡美紀。背景の全く異なる二人の女が一人の男を通して出会うことになるがーーー!?

 

読んでみて

私は貴族側ではないので読んだら絶対イライラしそう!劣等感が刺激されそう…と思っていたのですが!

物語が貴族側の華子目線で始まるので、そこまでイライラせずに済みました笑。

貴族だろうがなんだろうが人間なのでみんな悩みがあるからね。

ただ、お金持ちはお金持ち同士で結婚して永遠と再生産されてそうやって生きていくのだな、としみじみ思った。


美紀は地元から逃げて東京という都会に来たわけだけれど、東京に元からいる華子たちのような人間たちは美紀が逃げてきた田舎と変わらないことに気づく場面がおもしろかった。

田舎で生まれ育ち、子どもの頃からの交友関係でずっと過ごす田舎に残った人たち。でも東京で生まれ育ってずっといる人たちも小学校や中学校から一貫の友人が中心で、似たような立場の相手と結婚し、子どもも同じような生活を歩む。

まあ生まれた育った世界が心地いいのは当たり前だし、そこで不自由なく育っているならそこから出たりはしないよね。


ただ、この部分をみて思ったのは日本の政治家たち。

あの政治家はあの政治家と親戚で、この大企業の子どもはこの政治家と結婚して…って感じじゃないですか。

政治って本来国民のために行うものなのに、元々ある地位を持続するため、よりお金を得るためのものになっているような気がする。

今は貴族という地位はいないけれど、明治の頃から地位が日本の一部には今もそのままあるのだな、と。

カップラーメンの値段を知らない政治家がいたけれど、その人たちが国民への給付を決めてるのだよね。カップラーメンがそんな高いと思っているなら、もっと給付しないと生きていけないはずなのにね。


美紀の場合は大学はもうちょっとなんとかならなかったかな〜と思ったり。

奨学金とか色々あったのではー!?

そして人形のように流れに身を任せていた華子最後の最後に自分の意志を貫くところはよかった!

自分を人間だと思っていない男と一緒にいても仕方ないよ。

ああいう賢いけど女性だったり自分の仲間以外は人間だと思っていない人って高学歴の人にいるよね〜〜〜〜〜と思いながら読んでいた。


最初は女子対女子だったのに女子が仲間になっていくのがよかった。

著者の思いも色々と感じられた作品でした。