こちらは荻原規子先生の「もうひとつの空の飛び方」という作品に紹介されていたので読んでみました〜!
あらすじ
イギリスのウェールズ地方に住む少女・アリスンは屋根裏にあった皿を見つける。そこにはフクロウの模様が描かれていた。友人のロジャとグウィンは謎を追うが、奇妙なことが起き始めー!?
読んでみて
ホラーよりも怖いと書いてあった本作。
「いやでも児童書だしね?そんな大したことないでしょ。」と思っていたら!
怖い怖い怖い。なにこれ怖い。
この作品のストーリーを文章化すると大したことないんですよ。
ホラーみたいにエグいこととかが起こるわけでもないんですけど、すごく怖い。
作品全体が怖い。
何か起こっているし、今後何か起こることが分かるんですけど、それがなんなのかどうなるのかよく分からない。
そもそも屋根裏から皿が大量に見つかる、ということがまず怖い。
明らかにやばいじゃないですか。その皿はそっとしておく方がいいじゃないですか。しかもグウィンの母は明らかに怖がっているんですよ。
でも子どもたちは気にしない。
まあそりゃそうだよね。具体的に言ってくれればまだしも禁止するだけじゃあね…。
でもそうするとちょとずつ奇妙なことが起き始める。
まずアリスンが取り憑かれたように皿のふくろう模様を写し始める。ところがそれは写したそばからどこかへいく。
そして穴が空いた大きな岩。
噂話をする住人たち。
すれ違い始めるアリスン、ロジャ、グウィン。
噂話をする住人たちは怖すぎた。
閉鎖的な村社会というか。
日本のホラーミステリーでもありそうな感じ。
この作品は、そもそも前提が曖昧で、アリスン、ロジャ、グウィンがどういう関係なのかはっきり明かされずに物語が進む。
隠しているわけではないのでだんだん分かってはくるのだけど、みんな友達なのかな?と思っているとそうではないことがちょっとずつ分かってくる。仲良し3人組が休暇中に暇だし謎を解こう!という楽しそうな感じではない。
格差や恋愛や神話や差別や因縁が色々と絡み合っていく。
マビノーギオンのブロダイウェズがベースになっている。
この神話って浮気して三角関係になる話なので、それを児童書のベースにしようとしたのってなかなかすごいと思う。
花から作られたブロダイウェズはふくろうになってしまうのよね。
アリスンも皿からふくろうを見つけている。
この本の装丁に模様が入っているのですけど、それがこのふくろうの模様なんですね。
でもふくろうにはなかなか見えない!
これをふくろうに見るなんて…。
でも見ようと思うと見えるんだけど、見ると「怖い!」と思ってしまう。
1人の女と2人の男がいたら、問答無用で取り込まれてしまっていたが…。
果たしてアリスン、グウィン、ロジャはどうなるのか。
曖昧な感じで物語進むので、結局どういうこと!?と思う部分も多いけれど、最後の部分がすごく心に残った。
「ただそれだけのことなのかい? そんなかんたんなことなの?」ロジャがいった。
ネタバレなしだとここしか抜粋できなかったので、実際に読んで欲しい!
ものすごい因縁があって、そこからは逃れられないのだと思っていたけれど…。そんなことはなかったと。
グウィンがずっと主人公だと思っていて、ロジャは嫌なやつだと思っていたけれど、後半部分でそれが変わってしまう。
どうにかしようとしても絡め取られてしまうグウィンとは違う。
アリスンとグウィンとロジャは三角関係だけれど、ロジャがアリスンと義理ではあっても兄妹というだったという部分が大事だったのかな。
そもそもグウィンがアリスンに惹かれたのも因縁の一環だったのかもしれないし。でもロジャとアリスンはその因縁以外にも兄妹という間柄があったからよかったのか。
と、色々考えさせられる作品でした。
全体的に大人な作品で、子ども向け?!となってしまった。
私が子どもの頃に読んだら、あんまりよく分からないしあんまりおもしろくない怖い話って思いそう…。
印象には残りそうだけどね!
子どもの頃に読んだ人の意見を聞いてみたい!
↓ちなみにマビノギオン物語はこちら↓
読んでみたいー!
けど、こうやってどんどん深みにハマる。
そもそもが「もうひとつの空の飛び方」から「ふくろう模様の皿」を読んでいるのに、次はマビノギオン自体を読みたくなる。
どおりで流行りの本を読めないわけだ(苦笑)。