あらすじ
ホールデン・コールフィールドは病院で療養中。去年のクリスマスに何が起こったかを話してくれる。
単位を落とし、退学処分になる予定のホールデン。自らも学校にうんざりし、予定よりも早く学校から出ていくことを決意するがーーー!?
読んでみて
簡潔にいうとあんまり合わなかったかな苦笑。
名作ということは知っていたのだけれど、内容は全く知らずに読み始めた。
読み始めてすぐ、「これがずっと続くのか…」とちょっとうんざりしてしまった。
話し口調でずっと話されるので要領を得ずというか…。
こういう文体にあまり慣れていないせいもあるかも。
私が男の子でさらに思春期だったらもっと共感できたのかもしれない。
ただ共感はあんまりできなかったけれど、読んでいるとそれなりに面白いし続きは気になった。
でも身近にいたら好きになれなさそう。デートした相手に急にキレられたら困る。
あなただってそんなふうにこっちのこと見てなかったくせになんなの!?って思ってしまうと思う。
やっぱり女性に感情移入しちゃうよね〜。女の子たちののことをちょっと下に見つつ、10歳の妹に助けてもらうというね。大人なつもりの主人公を助けてくれたのは10歳の女の子だった。
なんとか助けを求めることができて、助けを求められた妹の方も助ける力を持っていたのはよかったけども。
危うい子はたくさんいるから誰かが受け皿になってくれるような相手が一人でもいるのは大切だよね。
でもできればそれは子どもじゃなくて大人ができればいいだろうけど。
でも大人のことを嫌っているから難しいよね〜。まあそれまでの大人側にも問題があるのだろうけども。信用を得るには時間がかかると思う。
読んでいて車輪の下と似たようなイメージを持った。
名作といっても読んだ時の年齢や状況などで捉え方はそれぞれだよね。
それこそこの作品にすごく共感して助けられる人は作中で先生が言っていたことと同じことだよね。
「何よりもまず、君は、人間の行為に困惑し、驚得し、はげしい嫌悪さえ感じたのは、君が最初ではないということを知るだろう。その点では君は決して孤独じゃない、それを知って君は感動し、鼓舞されると思うんだ。今の君とちょうど同じように、道徳的な、また精神的な悩みに苦しんだ人間はいっぱいいたんだから。幸いなことに、その中の何人かが、自分の悩みの記録を残してくれた。君はそこから学ぶことができるーー君がもしその気になればだけど。そして、もし君に他に与える何かがあるならば、将来、それとちょうど同じように、今度はほかの誰かが、君から何かを学ぶだろう。これは美しい相互援助というものじゃないか。こいつは教育じゃない。歴史だよ。詩だよ」
印象に残った箇所。
昔僕が見たのと同じ物を、今フィービーはどんなふうに見てるだろう。そしてまた、それを見に行くたびごとに、フィービー自身はどんな変わり方をしてるだろう。そんなことを考えてると、必ずしも気が滅入ってきたというんじゃないけど、またすごく明るい気持にもならなかったな。ものによっては、いつまでも今のまんまにしておきたいものがあるよ。そういうものは、あの大きなガラスのケースにでも入れて、そっとしておけるというふうであってしかるべきじゃないか。それが不可能なことぐらいわかってるけど、でもそれではやっぱし残念だよ。とにかく、そういうことをいろいろ考えながら、僕は歩いて行ったんだ。
そういう、教育や学識のある人間のほうが 自分の考えを表現するにも、だいたいにおいて、明確に表現するし、たいていは、自分の考えをとことんまでつきつめてゆく情熱を持っている。その上ーこれが一番大事な点だがー十中八九、そういう人のほうが、学識のない思想家よりも謙捷なものだ。