やっと③です〜!
モリアーティ教授が出てくるよ!
↓①と②はこちら↓
寄留患者
優秀だがお金のない医師パーシー・トレヴェリアンは、ブレッシントン氏から開業資金を援助するという申し出を受ける。ただし、ブレッシントン氏も医院に住んで寄留患者となり、ブレッシントン氏に収入の3/4を渡すことが条件となった。一緒に住み始めてブレッシントン氏は何かに怯えているようだが、パーシーには話してくれない。そんなある時、ロシア貴族の親子が診察にやってきてー?!
寄留患者という言い方を初めて知った。
自分でお抱えの医者というか医院を持てるってすごいお金持ちだよね〜羨ましい。
ただ、3/4も渡すって多くない??収入のほとんどじゃない???と心配になる。
でもまあ家賃がきっとめちゃ高いだろうから妥当な金額なのかな??
ブレッシントン氏はどう考えても何かを恐れている様子だが、シャーロックには明かさない。
そこで明かしておけば…と思うけどしょうがなかったのかな。結末が分かっていたのか、ブレッシントン氏が殺されてもあまり動揺しないシャーロック。もっと守ってあげればよかったのに…と思わないでもないけど。
悪者だったということも分かっていたからこそ、あまり落胆していなかったのだろうか。
タバコの切り方などから部屋に複数人いたことを解き明かす場面はかっこいい。
今回も復讐もの。そして犯人たちは捕まらないが、不運な汽船に乗っていたのではないかとシャーロックは考えている。
シャーロック・ホームズの冒険の「五つのオレンジの種」でも同じような結末になった気がする。
捕まって終わり!一件落着!という感じではなく、謎の部分は謎のまま終わる。けど悪いことしたら天罰が下るよっていう感じに終わる。
ホームズ語録のうちのひとつ。
「正義の剣はなお健在であり、いずれはその応報を果たしてくれるものと、ぼくなんかは信じているんだけどね」
ギリシア語通訳
シャーロックは兄のマイクロフトをワトスンに紹介する。そこでマイクロフトに来た相談をシャーロックが受け持つことになる。ギリシア語を通訳できるメラスさんはある時目隠しをされて連れて行かれてー?!
シャーロック・ホームズの冒険の「技師の親指」と似ている感じ。
今回は完全に騙されて拉致されたわけだけど。でも2回目もあったわけだから、そう思うと脅しに屈せずに警察に行った方が良かったのではないだろうか?
まあでも脅されたら怖いよね…。
兄のマイクロフトがサラリと出てくる。
シャーロックと同じかそれ以上に賢いにも関わらず、活力がない。
わりと普通のおじさんっぽい笑。
まあ確かに普通はそうだよね、と思わないでもない。シャーロックは謎が好きだし探偵を仕事にしているけれど、他に仕事があったらわざわざ深堀しないよな〜。面倒なことに巻き込まれそうだし。
シャーロックは冒険をいつもしていてどっちかというと子ども心を忘れてないような感じがするけど、マイクロフトは普通の大人なイメージ。リアル。
話の真相は結構「?」だった。
お金が欲しいからといって結婚相手の兄を監禁して意味ある??と思ってしまう。既に犯罪では??そんなことしたら妹に取り入った意味なくない??妹も逃げ出せなかったのか?と色々考えてしまった。でも最終的に意味深な感じで終わる。
妹が仇を打ったということなのかー?そこで妹が反撃できたのならよかったけど、もっと早く反撃できなかったのか??
海軍条約事件
ワトスンの学生時代の友人、パーシー・フェルプスは国家間に関わる重要な文書を紛失してしまった。それ以来調子を崩している。ワトスン経由からホームズに依頼が入りー?!
この話結構好き。
もし自分がこんな目にあったら…と思うと胃がキリキリするけど、読者としてはパーシーもうちょっと頑張れ!って叱咤したくなる気持ちもある。
書類が紛失した執務室と廊下、通用口などの見取り図が書いてあって分かりやすい。書類が紛失した際の話もハラハラするし、犯人当てもおもしろかった。用務員が怪しそうだがー?!
ただ登場人物がいないのでかなり絞られるんだけど。
シャーロックの自惚がすごい。
「疑っていますよ、ぼく自身をー」
「なんですって?」
「あまりにも早く結論に到達してしまったことについて、です」
こんなこと言われたら大丈夫かこの人?ってなるのは当然だよね笑。キザすぎる。
シャーロックが屋敷の住人に嘘をついて油断させようとするのはさすが。
せっかく盗んだのに部屋の下に隠して取れなくなっちゃうなんて不運だな。ただ、たまたま機会が訪れたからやっちゃったていうのはタイミングが悪かったのか…。でもシャーロックが犯人はどんなことでもやりかねない人物と言っているので、どこかの時点できっと悪いことをしていたでしょう。妹は可哀想だけど。
ホームズ語録のうちのひとつ。
「きみは決定的瞬間にきあわせたよ、ワトスン。もしこの試験紙が青のままなら、万事問題なし。だがもし赤く変わるようなら、ひとひとりの命にかかわるんだ」
最後の事件
ある夜、ワトスンの家にシャーロックは前触れもなくやってくる。彼は何かを恐れていたー。ロンドンの知能犯罪の背後にいる人物・モリアーティ教授との戦いが最終局面を迎えようとしていてー?!
有名なモリアーティ教授。
ジェームズ・モリアーティだと知っていたのだけど、彼の弟もジェームズ・モリアーティらしくて「?」となった。
この作品を読んだ記憶がほぼなくて、読んでなかったのだと思っていたらシャーロックとワトスンが最後の方に逃げるローヌ谷あたりの描写を読んだことを思い出した。当時は子どもだったのもあって台詞のない描写はあまり好きじゃなかったのだよね。今思うと全然長くないのだけど、当時は長いなって思ったことを今回思い出して、これ読んだことあったのか!とびっくり。
モリアーティ教授のことは全然覚えてないのに…(苦笑)。
モリアーティ教授は突然出てきてシャーロックもいなくなって、突然すぎてよく分からなくて記憶に残らなかったんだと思う。その後に復活もしたし。
モリアーティ教授がそこまで執拗にシャーロック狙う理由がよく分からなかった。賢いんだし一旦立て直した方がよくない??と思ってしまうけど。
解説まで踏まえて読むと、本当にコナン・ドイルはホームズ書くの嫌だったんだな…と感じる。グラナダのテレビドラマではモリアーティ教授はこの前からホームズと因縁の中だったということにしているらしい。最近観たモリアーティ教授が主人公のアニメでもそんな感じだったし、そりゃそうだよなという感じ。
いきなり大物が出てきていきなり死なれてもよく分からないってなるよね。でもまあ元々敵対関係だったら最後の最後でホームズが敗れたらそれこそ読者から反感買いそうだしね。
最近、名探偵コナンの映画が公開されたのもあって見かけることが多いのだけど、主人公の江戸川コナンはシャーロック・ホームズが大好きじゃないですか。尊敬していると言っていい。つまりコナンがシャーロック・ホームズを好きって思うと…なんか皮肉に感じてしまった笑。
現実のコナン・ドイルはシャーロック・ホームズから抜け出そうと必死だったわけで。
現代だったらコナン・ドイルも純文学じゃダメって思わずに済んだのかな〜とか色々考えてしまう。「若草物語」でもジョーが殺人の話を読んだり書いたりするのはよくないっていう描写が出てくるんだけどその考えが今の私には全く分からないという。当時の感覚でいうと道徳的によくなかったということなんだろうな。
若草物語はアメリカで時代もコナン・ドイルよりはちょっと昔だけど。
もし私がジョーの時代に生きていたらミステリーとか人が死ぬ話ばっかり読んでいるのでヤバい女性だと思われたのだろうな…。
本当はこの後にバスカヴィル犬を読みたかったのだけど今作でホームズが消えちゃったので、時系列的に今度は復活を読もうと思います。
そして全部読み終わったらまたコナン・ドイルの本読みたいな〜。
コナン・ドイルがもうシャーロックを書きたくないから拒否されるだろう金額をふっかけるけど承認されるっていうのが巻末の解説を読むたびに書かれていて、不憫だけど次の解説も待ち遠しくなっている。シャーロック・ホームズの復活は果たしてどれくらいふっかけたのか?!!