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【川上未映子】ウィステリアと3人の女たち

短編が4作品入っているよ!表題作はラストに!

ウィステリアと三人の女たち (新潮文庫) [ 川上 未映子 ]

価格:539円
(2021/6/14 22:22時点)
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読んでみて

おすすめされていて気になっていたので読んでみることに!川上未映子さんの作品は初めて読んだけれど読みやすくってサラッと読めました。

短編だからっていうこともあるんだと思う。

ただ読者に考えさせる形で終わっていることが多くて色々と考えさせられました。

そういう意味では短編でさらりと読めるけれど、頭で考える時間は多いと思う。

 

彼女と彼女の記憶について

東京で女優をやっている主人公が田舎の町の同窓会へ行き、忘れていた友人の話を聞き衝撃を受ける。

そもそも同窓会に行く理由が田舎で何も変わらず生活している同級生を下に見たくって行く感じなので、主人公はちょっと嫌なヤツ。

まあ仕事もうまくいっていないみたいだからこそなんだろうけど。


主人公が友人にやっていたことは衝撃で普通に犯罪じゃん…となりました。

そういう状況になるって同性同士でも異性同士でもだけど、子どもの頃ってよくあるのか??私が知らないだけで??と考えさせられました。

子どもが遊びで性交渉しちゃって妊娠して産むっていう漫画があった気がする。妊娠してるのが大人にバレないのはちょっと非現実的だったけども。


記憶っていうのは流動的で曖昧なもの。

同じ記憶を共有する相手がもういないってことはその記憶は永遠に彼女だけのものになってしまったということで。

真実がどうか、というよりは主人公が何を真実と認識するか、という方が大事になってくる。

相手がいたらまた違う答えを聞けたりするかもなんだろうけどね。

そういうことってあるよねー。もう二度と会わない人とか。お互いで認識が違うと記憶も違うよね。なんか悲しい。

 

 

シャンデリア

そんなにお金があるのは羨ましいとは思いつつ、毎日デパートに行くのはつまらなさそう、と思う。


物を買うという行為自体が目的なんだな〜。

動物園の場合〜とか書いてあったけれど、動物園は見るのが目的だから毎日行っても問題ないけれど、デパートの場合は物を買って使うのが本来の目的だからおかしくなるように思う。

買い物でストレス発散する場合も買うのが目的になってるよね。


まああまりにもかけ離れていた世界だったのでよく分からないけれども。

現実にもいるのだろうか?さすがに毎日ではないだろうけども。


聞き慣れない単語が多かったのでその都度調べたお陰?でブランド物に詳しくなりしまた。ただ、メイクのところだけは何言っているのか分かった!

メイク類はそんなにお高くないので知っている。

バッグとか時計は知らないな〜。てか買えないしね。


クソババアは普通にひどいな〜〜〜と思う。

自分の問題は自分で解決しなよ、と思ってしまう。まあ抱えきれないからそうなったんだろうけども。

大体こういう話を読むとカウンセリングを受けたら?と思ってしまう笑。

まあそういうことじゃないんだよね。

 

 

マリーの愛の証明

2人噛み合わないな〜〜〜と思いながら読んでいた笑。

マリーがカレンのこと心の中ではボロクソに思っているのも別れたあるあるだと思う。


世界観が少し前のヨーロッパあたりで、ピクニックに行っている風景の描写がとても綺麗だった。

世界観の説明は全然されないのだけれど、すっと入っていけるのがすごいと思う。

描写が丁寧なんだよね。

映画みたいに頭の中でとても綺麗な映像が浮かんでいた。

 

 

ウィステリアと3人の女たち

表題作のこちら!

どういう話かと思ってワクワクしていたら、4作品の中で一番好きな作品になりました〜。

他の作品と比べて曖昧さがそんなにないからかな。


ただちょっと大人向けかな、と思う。この作品全体がそうなんだけども。

何かの本を読んだときにも思ったのだけど、走馬灯のように思い出が駆け巡ったり、一番良かった時を思い出したり、そういう記憶が私にはまだない!!!

そう、ない。

思い出すとしたら子どもの頃だけど。子どもの頃は懐かしいし胸がギュッとなる感じはあるけど、それが一番幸せな記憶だからってよりはもう二度と戻れないからっていう思いが強い。

むしろ一番幸せな記憶はこれから作る予定なので。

それとも今が幸せ??

いやまだ何かあるはず!


そういう意味ではあんまり登場人物たちの切実な思いには共感できなかった。

感情移入はできるのだけど心が揺さぶられるほどではなかったのだよね。

彼女たちと同じ年代になれば痛いほど分かるのだろうか?

いつか昔を思い出して懐かしがったりする時が私にも来るのだろうか?


こういうちょっとホラーちっくだけれど、女性たちの思いが繋がって人生が変わっていくのっていいなと思う。

でもウィステリアは告白すればよかったのに〜とすごく思う。時代とかもあったのだろうけど。

関係を壊したくないっていう気持ちも分かるし、いつか帰ってくるかもしれないっていうのも分かる。

でも当たって砕けてもっと素敵な人を探して幸せになってもよかったのに、と思ったり。

私は時間を無駄にしている暇はないから次いこって思っちゃうんだけども、まあそうはいかない恋愛もあるのだろうね。

まだ経験が浅いからそう思うんだろうか。

相手を思うだけで幸せになれたりするのだろうか。


にしても空き家で暗闇の中で寝っ転がるって実際やるとなると怖そう。

あの女性は一体何者だったの?

実際やると本当に何か感じそうで怖い。

でもそういう趣味?みたいな発想がなかったので興味深かった。

現実にやってる人がいるかは知らないけど、自分独自の秘密の遊びがあるのってちょっとうらやましい。


あと最後の夫もなかなかにひどい。

それくらい変わっていて衝撃を受けたのかもしれないけど。

春にして君を離れを最近読んだので、こっちはこういうオチでよかった〜と思いました。

最初っから夫ひどかったのでね。

 

他にも気になる作品があるので読んでみたいなぁ。でも頭を使う!笑