こちらも一緒に。 フロドの旅―「旅の仲間」のたどった道 「中つ国」歴史地図 ― トールキン世界のすべて
あらすじ
裂け谷から9人が旅の仲間として旅立ったが、それぞれ離散してしまう。フロドとサムは指輪を消滅するために旅立ち、メリーとピピンはオークに連れ去られてしまう。アラゴルン、レゴラス、ギムリは2人を助け出すためにオーク達を追うが?思わぬところで思わぬ人と出会うことにもなりーーー?!
読んでみて
ずっと読める!
けっこう文量あると思うんだけど1日で読んでしまった!笑。なんかこの感覚は久々。中学生くらいまでは1日で1冊読むことが多かったんだけど大人になってからはあんまりないし(文庫本レベルなら読むけども)、ましてや指輪物語は一冊がけっこう長いのでこのレベルの本を1日で読んだのは久しぶりかも。まあそのくらいおもしろかったということです!場面がコロコロ変わるというか、一難去ったらまた一難、という感じなので続きが気になってしまってずっと読めちゃうんだよね。
追いかけるアラゴルンたち
可愛そうなボロミア!がいなくなってしまって、アラゴルンは悩みながらもメリーとピピンを追うことに決める。2人は結構辛い環境に置かれてたので早く2人に追いついて〜と思いながら読んでたよ。でも距離が遠い!だけども3人は4日間でなんと217kmくらい走ったらしい。ちょっと意味が分からないよね。ギムリやレゴラスは分からないけどアラゴルンは人間だよね?フルマラソンなんて目じゃないのでは?とにかくそれぐらい必死で頑張ってメリーとピピンを助けようとしてくれたんだよね。
最初の辺りはアラゴルンたちとメリーとピピンたちとで視点が変わるので、各々がどういうふうに過ごしていたか分かりやすい!
ピピンのお手柄
ともかくピピンが素晴らしい!ガンダルフも誉めてくれるでしょう!笑
ただ問題を起こしがちなのもピピンだけどもね...(モリアの坑道の時に井戸に石を投げたり、パランティアの石を覗いたりね)
でも今回は綱を切ったのも、グリシュナッハを上手く丸め込んだのもピピンのおかげ!ホビットたちは戦いにはそんな参戦しないけども、ここぞと言う時にはちゃんとやるね!でも面白いのが、そこでそのまま食べ始めるところがなんともホビットらしい。しかも食べた後に足の紐も切るのがなんともね。まず切ってからちょっとだけでも移動した方が良いのでは?と思ってしまうけどもそれは人間だからそう思ってしまうのだろうか、なんなのか。
エントの木の鬚
ともかくピピンとメリーがファンゴルンの森に入ってエントに出会ったお陰でガンダルフさえ予期できなかった事態が巻き起こってくる。好きなところはエントである木の鬚とメリーピピンが初めて会ったところ!なんだか物騒なことを朗らかに言っているのが良い。
「もしその声を聞く前に姿を見てたらなあ、わしはお前さんたちを小振りのオークかと思ってあっさり踏みつぶしちまったろうよ。そしてあとになって、自分の間違いを見つけたじゃろう。お前さんたちは本当に変わっとるわい。まったく。根っこも小枝も。奇妙千万!」
踏み潰される前に2人がちゃんと声を出して話していてよかった!と思ったよね。不思議なエントは古から生きていて、エント女を探している。エント女の話なんだか興味深かったなあ!最後にはエントたちがエント女に出会えると良いけどなぁ。でもエント女たちはどう思ってるのだろう?と思ったり。エントたちがいなくても大丈夫だから戻ってこないのか、それとも戻って来たいと思っても戻ってこれないのか。それにエント女たちはエントたちみたいな外見じゃないのかなぁ。人間たちと一緒に暮らしていたわけだし。
エントたちは大活躍をしたけれど一旦、一行とは離れるようだから、また終わるまでに会えたら良いなぁと思う。でもなによりフロドについてきたメリーとピピンが、フロドがいなくなった後でもちゃんと役立っているというか、役割を果たせているのがよかった。別に戦いに長けてはいなくても今回の争いでは何が役に立つか分からないからね。こういう因果関係って好きだなぁ。
仲間との再会
あとはアラゴルンたちがガンダルフと再会する場面もよかったし、ピピンとメリーたちともやっと会える場面もよかった!命がけで探していた2人がのんびり寝そべって煙草ふかしてるなんてそりゃ脱力するよな、と思う。でもそれでこそホビットなんだろうな!それに意外と2人はちゃんと働いた上での休憩だったしね。
木の鬚とせっかちたちがどうなるのか心配だったのでみんな無事だったのは本当によかった。メリーとピピンの回想で知れてよかったと思う。実際に戦いの場面が描写されてたら誰かが倒されてしまうんじゃないかってハラハラしただろうから、木の鬚もせっかちたちも助かっていることを知った上で聞けたから安心して楽しめたよ。思ったよりもエントが好きになってたんだなぁとしみじみ思う。
世界は元には戻らない
でもガンダルフとセオデンの会話でとても悲しい部分があったのでそこが気がかり。
「戦いの運命がいかになろうとも、戦いが終わることにより、かつて美しくすばらしかったものの多くがこの中つ国から永遠に消え失せることになるのではなかろうか?」
「恐らくそうなりましょう。」と、ガンダルフはいいました。「サウロンのなした悪は完全には癒されぬもの、存在しなかったようにはできぬものじゃから。」
意味深。元には戻らないのが世界。どれだけ永遠であってもいつかは朽ち果てるのが世界。冒険をしたビルボも老ホビットになってしまう。いつかビルボもフロドも歌の中に出てくるホビットになってしまう。ものすごく寂しいけれど、なくなったからといって最初からなかったことにはならないはずだから。ただその時が来るのが悲しいな、とは思う。