気になっていたコンビニ人間を読んでみたよ!
村田沙耶香さんの作品を読むのは初!
あらすじ
古倉恵子は30代半ばだがコンビニでアルバイトをして生活していた。恵子にとってはコンビニの規則正しい生活が理想だった。ところが周りは結婚もせずバイトをしている恵子を訝しがり始めー!?
読んでみて
恵子は確かに世間一般から言うと普通から外れていると判断されてしまう。
でも、どんな人でも普通になったり普通じゃなくなったりする時があるのではないだろうか。そういう普通じゃなくなった時の様子がすごく丁寧に書かれてあったのが興味深かった。
普通という枠に入っている時は安心だけどそうじゃない時はみんなが敵になってしまう。
みんなが楽しそうに噂話したり、叱ったりすることを嬉々としてやっているのが怖かった。
コンビニと一緒で普通な人と普通じゃない人は常に入れ替わってると思う。いつも全く同じメンバーで普通な人はいない。だって全てに普通でいられるなんて無理だもの。
普通じゃなくなったらすぐに普通に戻ろうとして、戻ったら戻ったで元から普通でしたっていう顔をして、さらに普通じゃない人を糾弾することで自分は普通ですって示すから普通じゃない人なんて自分だけだと感じてしまうけども。
普通じゃなくなっても周りを気にしないならそれはそれで楽だと思う。
36歳バイト、結婚歴なしっていう経歴も別に珍しくない。それが珍しい世界にいる人からしたら普通じゃないってことになるのだろうな。日本の大卒率ってそんなに高くないのだけれど、大卒が当たり前の人からしたらそれが普通で、そうじゃない人からしたらそれが普通になる。
日常でも普通にあてはまらない人の方が本当は多いと思う。どこかしら普通じゃない部分があるのが人だと思うし、そこが個性なわけだし。
私だって散々変わった子、変な子って言われたことがたくさんある。その時には何が変なのか分からなかった。分からないから変なんだけど、自分達とは違う考えとかを持っているとそう言われるのだと思う。
恵子のことを妹も親も特性を全く理解してないのだなーと思うと悲しい。
カウンセリング行っても仕方なかったっていうのはどういうのに行ったのだろうか、とか色々考えてしまった。
元々の特性は治すことはできないので、そもそもの根本が間違ってると思う。カウンセリングでも治すことではなく生きやすくすることはできると思う。
主人公はすごく努力をしている。むしろ周囲の誰よりも周りに合わせようとしていて協調性がめちゃくちゃあるように思う。普通にこだわるのもお母さんや妹を悲しませないようにしたいわけだし。
特性を踏まえた上で考えると、自分に合った仕事で働けているっていうのはすごいことだと思う。さらに自立しているわけだし何も問題ないと思う。
ただ、実際問題コンビニってそんな形式化してるかなーとは思う。対応は決まってるとはいえ、対応することが多すぎるわけだからコンビニで働けるならもうちょっと柔軟な職場でも働けそうだなあと思ったり。
レジ対応だけで、品物を持ってくるのかタバコなのかフライなのか切手なのか郵便なのか何かの支払いなのか選択肢が多いじゃないですか。さらにタバコを買うのにも名称で言ったり番号で言ったり省略して言ったりするわけじゃないですか。支払い方法も様々だし。
主人公が最初の場面でお客さんの先を行き過ぎず、でも適度に先回りできているのでそれができるなら大体他の仕事もできそう。おしゃべりが多い職場とかは無理そうだけども。
そしてこれって発達障害をイメージしてるのかな?って気になってしまった。
一般の人もこれを読んで発達障害だと思うのかな?小説としてはおもしろいけど、主人公が普通じゃないってことを示すエピソードを発達障害とイコールで結びつけて欲しくないなあ...と思ったり。
やっぱ一般の発達障害のイメージってこういう相手に平気で危害加える可能性があるって感じなのか...と思うと辛い。
小説としてはおもしろいけど、発達障害っぽい要素を加えて変わった人を描くのは危険なようにも感じてしまう。特に他害を書くのは...。まあ明言はされてないのですが!
あと白羽は普通に嫌なやつなので、その白羽と主人公が同列に語られるのもなー。
そうやって普通じゃない人たちをひとまとめにしている側の問題だとは思うけど。
他の作品も読みたくなったのでちょっとずつ読もうと思います。