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メナハウス・ホテルの殺人

あらすじ

若くして寡婦となったアメリカ人のジェーンは裕福な叔母の付き添いでカイトのメナハウス・ホテルという豪華ホテルに滞在することになる。ところがホテルで若い女性が殺され、ジェーンが第一発見者になってしまいー!?

 

読んでみて

アガサ賞最優秀デビュー長編賞受賞の今作。アガサが書きそうな雰囲気で名前もジェーン。ジェーン・マープルと一緒。

豪華なホテル、裕福な叔母、退役軍人のステイントン大佐、大佐の娘で派手で意地悪な女性アンナ、自称銀行員の不思議な男であるレトヴァース、イケメンだけといけ好かないサマラなどなど何かが起こる感じがするし、みんな怪しくも見える。


不運にも第一発見者になってしまったせいで警察から疑われるジェーン。

最初はジェーンのこともよく分からなかったので、裕福な叔母持ちとは言えこんな素敵な旅行を悠々自適にできる30歳のジェーン羨ましいな!!と思いながら読んでいた。けども、ジェーンの悲しい過去も分かってくるとジェーンにとても共感できる。

作者も女性であるからかジェーンや叔母の気持ちをとても丁寧に描いていて共感できる部分が多かった。


最初の冒頭はなかなか事件も起こらないしジェーンのこともよく分からないので少し長く感じた(なぜジェーンが頑なに男性を避けるのか)けれど、第一の事件が起こってからは面白くて夢中で読んでしまった。

ジェーンは観光に来ているためピラミッドを観に行ったりしていて私もいつか行きたいなあと感じた。エジプト旅行って夢だよねえ。しかもこのメナハウス・ホテルって実際にあるらしくて!行きたい!!

数日の滞在じゃなくてしばらく滞在できて、しかも価格を気にせずに好きな料理や飲み物を頼んで、夕食の時にはおしゃれなドレスに着替えてバーで毎晩お酒を飲み、テラスで本を読んだりプールで涼んだりできるの羨ましすぎる〜〜〜!まあこんなお金持ちなのは貴族と平民がちゃんと別れていて彼女は裕福な人たち側だからなんだけども。


ジェーンがむやみやたらと危険なところに首を突っ込んで行こうとするのはもうちょっと考えて!と思うけれど、一応それが過去にあった出来事が関係していて今度こそ自分自身を大事にしようとしているからというのがあるのはよかった。でも大事にしているのか??まあこのまま放って誤認逮捕されたらたまったものではないけども。そんなに危ないことしないでって思ってしまう。レトヴァースも素性は知れないし犯人である可能性はあるかもだけど一緒に犯人を探そうとしているわけだからもっと頼ってもいいのにね。

 


ややネタバレあり↓

ジェーンが夫にされたことは酷すぎて酷すぎて怒りが出てくる。しかも助けを求めれなかったという状況も辛い。今も誰れにも言えなことも。最初は支配的な夫だったのか、と思っていたら鞭まで使っていたなんで残忍すぎてサイテーすぎる。周りには愛想がいいから誰も気づかないというのもDV男の典型だと思う。本当に逃げれてよかった。酷すぎる。お金も何も渡さずに逃げることもできず、家族や友人とも連絡を取れなくしていたわけで。今でも逃げるの大変なのに当時は携帯もないわけだからさ。遠くに住んでいるとなかなか気づけないよね…。

 

 

 

終わりに

2作目もあるとのことで翻訳されるのが楽しみです〜!

表紙が好き。そして作者の異色の経歴もすごい!!