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【小野不由美】風の海 迷宮の岸

小野不由美風の海 迷宮の岸

十二国記シリーズの2巻目!右端にある国・戴(たい)の物語

1巻は陽子と景麒が良い感じのところで終わって次の巻がまったく違う話だったので、最初はちょっと残念というか、「これおもしろいのかな〜?」と思いながら読んでたんだけども、戴は戴で良かったです。ちなみに陽子は出てこないけど景麒が出てくるよ。

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感想(30件)

 


あらすじ

十二国の中の北東に位置する戴国。戴国の麒麟・泰麒(たいき)は蓬莱(日本)に流されてしまい、そこで生を受ける。人の子として育っていた泰麒を仙女たちは探し続け、やっと故国へ帰るも自分が王を選ばなければいけないことに困惑しーーー?!


読んでみて

今回の主人公はかなり可愛い10歳くらいの少年で、高里要というちゃんとした日本の名前がある陽子も幼い(私からしたら女子高生は幼いし子どもだしまだ未成年だし)と感じたけど、それよりも泰麒の方がまだまだ幼い

この2巻では麒麟がどのように生まれ、どのように育ち、どのように王を選ぶのかが書かれている。1巻から読んできた私としては、やっと麒麟について詳しく聞くことができて嬉しかった。1巻は陽子から見たあちらの国を一緒に知っていく感じだったので、十二国の大まかな概要が分かっただけで、詳しい部分はそこまで分からなかった。ラストもこれから色々な疑問が分かる!って思ったら終わってしまったし。笑

1巻では王になる陽子の目線から2巻では麒麟になる泰麒の目線から見ていくことになる。陽子からみた苦しさや葛藤は書かれていたけれど、麒麟の大変さというかそういうところはほとんど書かれていなかったので(巧の国の麒麟はかわいそうだったけど)、ちょっと人間とは違う生き物なのかなーと思っていた。憐みはあってもあんまり人間的な考え方をしないというか。王をただ選ぶ麒麟よりも王になる側の方が大変そうに見えたんだよんね。

でも実は麒麟もものすごく悩んでいるし、人ではないけれど人と同じように感じて同じように悩むということが分かった。神獣なのに人っぽいって不思議。これは人が麒麟に似ているのか、麒麟が人に似ているのか…。どっちなんだろうね。相変わらずこの世界の成り立ちはお伽噺としてしか出てこないので、実際はどういうふうに造られた国なのかは分からない。その辺りはいつか分かるのかなー?


麒麟が生まれてから住むのは黄海の蓬山。そこで仙女たちと一緒に暮らすことになる。そこに男性がいないのはなんとなく不思議。この国では女性は子どもを生まないのに麒麟を育てるのは仙女なんだよね。官吏も麒麟も男女はほぼ同数らしくて、男女差別がなさそうな国なのに蓬山には女性しかいない。男女の差なんてそんなにないように思えるのにそういうところには差がある。

私達がいる世界に流されてしまった場合は、こっちの世界とは基本的に別れなければならない。泰麒は最初、すごく物分かりが良かったけれど、実は無理しているということが分かる。そりゃそうだよなあと感じる。だってまだ子どもだもん。10歳って微妙だよね。陽子ぐらいの年齢になったら別れをはっきりと自覚できてそこに抵抗もするだろうけど、10歳くらいだとよく分からない部分と分かる部分がごちゃまぜになっていて、なかなかはっきりとはしない。だから気持ちもうまくまとまらないように思う。

それにプラスして、長い年月を人として暮していたため、麒麟であればできるはずのことができないままになっている。人間の子どもでも年齢によって習得しなければならないことがあって、後からやろうとすると難しかったりする。泰麒の場合も麒麟として少しずつ習得していくべきことが抜けてしまっていて、でも早めに自立しなければならないところもあってすごく大変な状況になっている。

本当なら当たり前にできたはずのことができないって辛い。当たり前にできることだからこそ説明されないし、周りも説明できないし…。そんな中で泰麒は葛藤していく。そして最終的に「そんな!!」と思うことをするんだけども。

 

 


ネタバレあり↓

泰麒が天啓もないのに跪いて契約した時はびっくりした。本当に。ここにくるまでの間に、どれだけ王が大事か、偽王が立つことでどれだけ国が荒廃するのか分かっていたため「なんでそんなことをしちゃったの!?」と思ってしまった。でも頭のどこかでは麒麟って主以外には頭を垂れないんじゃなかったっけ??とは思っていたのだけど、でも実際にできたのだから例外もあるのかな?と思っていた。だから延麒や景麒が来てくれた時はすごく嬉しかったし、それを知った時も戴王が態度を変えなかったのもよかった。最初、泰麒が驍宗のことを怖がっていたからもしかして悪いやつなのでは??ってめっちゃ心配だったんだよね。陽子は復活したのに読んでいるこちらが影響を受けたままでみんな嫌なやつにみえるという…笑楽俊のことも最初めちゃ疑ってたからね。「このネズミほんとうはめちゃ極悪かも。」って。笑

戴王は全然そんなことなかったしよかったのだけど、でも戴ってなんか問題が起こったんだよね?ということが頭の片隅にあって。こんなにかわいい泰麒がどうなってしまうのかが悲しい。戴王もすごく良い人そうなんだけどどうなんだろうー?でも王気があっても愚王にはなるみたいだし、戴王にも何かあったのだろうか…


今回は泰麒の成長物語だった。自分の運命を他者に押し付けられて、できるかどうかも自信もないし、そんなことをしたいのかも分からないというモラトリアムだったのが、ひとまずは乗り越えて、自分は何者でどうしたらいいのかを落とし込めるようになった。でも麒麟としての自分の存在を認めただけで、麒麟としてどうしていくか、まではまだなんだよね

戴王は泰麒を導いてくれそうではあるけど、それだけじゃなくて泰麒も麒麟として頑張っていかないといけないんだろうなあ。

 

↓3巻以降の続きはこちら↓

oljikotoushi.hatenablog.com

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1巻の感想はこちら↓ 

oljikotoushi.hatenablog.com