クロニクル千古の闇(1) オオカミ族の少年 [ ミシェル・ペイヴァー ] 価格:1,980円 |
あらすじ
父と2人で暮らしていたトラクは、ある時凶暴なクマに襲われる。父を亡くしたトラクは子どものオオカミと一緒に天地万物の精霊が宿る山を探すことになるがーーー?!
読んでみて
全6作品の1巻目!酒井駒子さんの表紙の絵が目を引く!
なんとなく存在は知っていたのですが読んだことはなくって。
ファンタジー作品制覇のためにサブリエルの次に読み始めたよ!
読んでみると「ポイシュマだ!!!」とめちゃ思いました。いやほんとに。
ポイシュマは「月神の統べる森」の主人公なんですが、時代背景が似ている!
ポイシュマは日本の縄文時代、トラクは紀元前4000年前のヨーロッパ北西部。
ポイシュマたちは弥生時代に近いのでトラクたちよりは最近の人になるのだけど、暮らし方が似ているのだよね。
オオカミ族、ワタリガラス族、イノシシ族など動物たちを守護神としてそれぞれ部族があるところは今作ならでは。
それぞれの部族の動物たちをみんな敬っている。もちろん森や海や湖も。こういう感覚って現代人はあんまりないよね。
読み始めて早々、トラクと父が大ピンチになってしまう。読者としてはトラクのことも父のこともよく分からず、トラクと同じように混乱しながら一人で旅をすることになる。
こういう冒険物語でお約束通り、最初は敵だと思っていた相手が友人になっていく。
いやでも、オオカミ族の最初の対応は普通にひどいと思ってしまったけどね…。
だってトラクまだ子どもだし…。厳しくない?
そんなこと思ったら子どもの冒険は成り立たないのは分かるのですが(苦笑)。
なかなかにトラクの状況が厳しい!
唯一の味方だった父が亡くなってしまったことでトラクには誰も味方がいなくなってしまう。そのため、一人ずつ味方を増やしていかないといけない。
でもトラクも父からは何も知らされていなかったため、何が何だが分からない状況。
それに当時の暮らしがなかなかに厳しい!
旅をするんだけれど、その旅はもちろん徒歩だし、保存食がずっと持つわけではないので食物を集めなければならない。
野営は当たり前。
普通の日々が本当にサバイバル過ぎて、こんな暮らししていたら体調崩すよ?!!と心配になりました。
いやー、でもトラクもレンも強かった!
そしてさらに今作の目玉!
オオカミのウルフ!
最初にトラクがウルフを食べようとしていたなんて信じられないくらい信頼し合っている二人。
ウルフ目線でも物語は進むのですが、トラクのことを<背高尻尾なし>と呼んだりするんです。つまりオオカミよりも背が高くて尻尾がないってことなんですが。
難しかったのは<熱い舌で刺すまぶしい獣>。
なんだと思います??
正解は、火!!!
最初なんなのか全然分からなかった笑。
確かにウルフからしたら獣なのか〜!
児童書だけあってさらりと読めますが、内容はなかなかに濃くてドキドキハラハラします!
さらに著者のペイヴァーさんは当時の時代背景を調査したり、動物たちと実際に会ったりと実地調査の上で書いているので本格的。
当時のトラクたちと一緒にいる気分になれます。勉強にもなるよ!