レッド・クイーンシリーズの2作品目。
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あらすじ
王女から一転、反逆罪で追われる身となったメア。自分の他にもレッドにも関わらずシルバーの不思議に力に目覚めた人がいると知り、捜索に向かうがー?!仲間とともに王と戦うことになりーー。
読んでみて
レッド・クイーンシリーズの2作品目。
1作品目は赤い血を持つ「レッド」と呼ばれる下層市民だった主人公メアに支配者側であるシルバーの力が表れ、レッドに力が表れたことを隠したい王族とともに過ごすことになった。本来は敵であるシルバーたちと暮らさなければいけないため、誰を信じればよくて誰を信じていはいけないのか、様々な思惑が渦巻く王宮ものだった。
今作は王宮から逃げ出したメアが、高貴な身分(建前上は)から一転して反逆者として逃げなければいけなくなる。
王宮は王宮でハラハラドキドキはしたけれど、すぐに殺される心配はなかった。ところが今作は見つかれば恐らく殺されることになるという恐怖が常に付き纏う。一方で、周りが敵だらけではなく、本当の仲間がいることは安心感もある。
物語を複雑にしているのが、1作目でシルバーの人たちと関わったことで彼らも人間だとメアも読者も知っていること。確かにシルバーにレッドは虐げられているけれど、シルバーの人たちにも家族があって子どもがいて、いい人もいるということ。ただ、メアたちが生き残るためには戦わなければいけない。
シルバーの人たちと関わることなく反乱を起こしていたら、分かりやすい正義と悪という構造になっていたと思う。そうではないところが大人向けファンタジーになっている。
メア以外にも同じようにシルバーの力が出ている「レッド」たちがいることが分かる。
それに新王であるメイヴンたちも気づいているため、早く探し出さないといけない。この辺りが本当にハラハラした。みんな殺されちゃったらどうしよう!って。でもまあ仲間ができないと話が始まらないからね。
仲間ができて、彼らを特訓していくメア。重力を操れたり違う人物に変身できたりとなかなかすごい力を持つ人たちが多い。さらには力を無効化することができる少女までも。
キャメロン・コールはメアがなったはずのもう一人の少女ではないかと思う。
自分の兄弟が戦地で死んでしまうのを防ごうとしている。それが彼女にとってはレッドとシルバーの問題よりも何よりも大事なことだから。
メアだって最初は家族のため、大事な人のために頑張っていた。それがもっと大きな問題に関わるようになってキャメロンのような感覚を失ってしまっている。
メアの立場に立つとキャメロンの批判は鬱陶しいが、キャメロン側に立つとメアは傲慢で自分勝手だろうと思う。
メアも元々はカイローンを救おうとしていたわけで、もしその時に今のメアと同じことを言われたらものすごく反発しただろうと思う。
キャメロンの少し先をいっているのメアなのだろうけど、そこはやはり経験をしていかないと同じ考えになるのは難しい。
メアもメアでそれなりに自分勝手だし、以前のように人を殺すことに罪悪感を抱かない。
ニュー・ブラッドたちを先導するような立場にも関わらず、うまくいかないのはリアル。集団が大きくなればなるほど反発するものたちも出てくる。
メイヴンへの複雑な感情や一時的に仲間になったとはいえシルバーであるカルとの関係などもややこしくなっていく。
カルは今は仲間だけれど今後は敵になる可能性もあるからね〜。
登場人物たちが一気に増えるので、誰が誰だったか分からなくなることが多かった。彼らの能力も書いた登場人物一覧を作って欲しいな〜。
そして人数が多くなった分、亡くなってしまう人もいる。分かってはいるけれど悲しい。一方で、最大の敵であるエラーラ王妃も亡くなる。結構最後はあっけない。
そして大事な人の死ーー。
前作ではファーレイは謎の少女的な感じがあったけれど、今作では人間らしい。むしろメアよりも。好感が持てる。
でもみんな喧嘩しまくりなので…。力があればうまくいくってわけじゃないんだな〜と。
幼馴染のカイローンは何の力もないのに頑張っててすごい。でも毎回ハラハラしてしまうけども。
600ページくらいあるのだけど、展開が気になってどんどん読み進められる。
3も読んでいこうと思う〜!