シャーロック・ホームズの冒険に引き続き短編集第二弾。
今回は11作品の短編集が入っている。
かの有名なモリアーティ教授との事件も収録!
大体1作品50ページくらいなのだけどちょうどいい文量でサクサク読める。
読んでてシャーロックがワトスンに来てくれるよう頼む場面が多いのだけど、それがすごく可愛く思えてしまった。
ワトスンが「ぼくの本業のほうはーー」と言ったところシャーロックが拗ねて棘のある口調で言いかけるが、「本業のほうは、一日や二日ならどうにでもなる、」とワトスンが続けると機嫌を直すシャーロック。
腕力が必要な場合はさておきそうじゃない時もワトスンの手を借りようとするシャーロック可愛い。子どもの頃に読んだ時はそういう部分は分からず、どちらかというとシャーロックに振り回されるワトスンってイメージだったけどシャーロックの方がワトスンのこと好きすぎでは?唯一の友達らしいし笑。
<シルヴァー・ブレーズ>号の失踪
イングランド随一の名馬が盗まれたー。そして調教師が遺体で見つかるがー?!
スポーツ界から酷評された作品らしい。
まあでもそれはしょうがなくない??今みたいにネットも発達してなかっただろうし。今でもその業界から見ると「???」っていう作品はあるし、そうしないと物語が発展しないっていう部分もあるし。
心理士が主役の本を読んだことはないのだけど、心理士がミステリーになっている作品のあらすじを見たことがあって「そんなことないよな」って感じだったので笑。
シャーロックの人気が他の業界で話題になるくらい大きかったということだろうな。
まあでも間違ったことが広まるのは嬉しくはないだろうからね。
馬と殺人事件の謎。
二つの謎を探すので二倍楽しめる。シャーロックたちが頑張って馬の跡を追う場面はよかった。ワトスンがちょっと離れたところに足跡を見つけて手間を省くのも良い。いいチームプレー。
「吠えなかった犬」という謎は最近観ていたドラマ「元彼の遺言状」でも出てきていて「これが元?!」と思ったのだけどどうなんだろう?白内障の手術用のナイフというヒントも興味深い。
犯人の方は分かってしまえば大したことない。それにそんなうまくいくと思った??と思わないわけではない。馬のこと知っているはずなのにって。
冒頭のシャーロックの言葉は実際に重い腰を上げて本作を書き始めたドイルと重なる部分があると解説で書いてあった。そう思うとおもしろい。
「ねえ、ワトスン、いよいよ出かけなきゃいけなくなったようだよ」
よっぽど書くの嫌だったのだろうな笑。
コナン・ドイルを知れば知るほどシャーロックファンとの乖離が大きいよなと思う。
こんなに人気が出てよくない???と思うけどもね。人生はままならないものだね。
ホームズ語録の一つ。
「ひとつの正しい推理は、つねに第二、第三の推理へとつながってゆくものなのです。」
黄色い顔
何か突然秘密を抱えた妻。問いただしても答えてくれず、幸せだった家庭は変わってしまう。夫はシャーロックに助けを求めるがー。
1893年二月号に収録された本作。
黄色いと言われると黄色人種のことを真っ先に思いつくけど違った。まあアジア人なんてそんな話題にならないよね。
でもこの作品全体で何度か「日本」っていう単語は見かけた。日本箪笥とか。
アメリカでは1862年に奴隷解放宣言が出され、イギリスでは1833年に廃止されている。だからフレデリック・ダグラスはイギリスに逃げていたはず。
なのでアメリカよりは多少はよかったのか?とは思うけれど。でも彼らはアメリカで結婚したらしいので南部だったらまず無理だろうし、北部でもかなり難しそう。なのでむしろ絶縁だけで済んでよかった!と思ってしまう。
仕方なかったとはいえ、娘とそんなに離れるって本当に愛している??と思ってしまうけれど、昔の上流階級の女性はそもそも子育てしなかったもんね。
でも仮面をつけられるって悲しすぎる…。
妻の弁明の仕方から男関係ではなさそうに思ったけれどシャーロックは違った。
シャーロックの推理を聞いて「あっ、そういう感じなのか。」と思っていたら…!
シャーロックの推理が外れてしまう。
「いいかい、ワトスン、今後ぼくがあまりに自信過剰に陥ってたり、あるいは、事件にたいして当然かける手間を惜しんだりしている、そう感じられた場合には、遠慮なくこうささやいてくれたまえーー〝ノーベリー〟とね。そうしてもらえば、ぼくはおおいに恩に着るよ」
株式仲売店員
失業してしまったポール・パイクロフトはなんとか職にありつく。ところがその後、見知らぬ男から破格の給料を提示される。承諾するが、行く予定だった職場には連絡しない方がいいと言われるがーー!?
結婚し、医者として開業する権利を買い取って医院を継いだワトスン。その三ヶ月後にシャーロックがやってくる。
一目見てワトスンの今の状況を理解したシャーロック。ここのやりとりがおもしろい。こういうちょっとした部分で私もワトスンと同じく「すごい!!」と感じる。
解説にも書いてあるが「赤毛連盟」と似ている。
そんなうまい話には乗らないで〜〜〜と思ってしまうがみんな乗っちゃうね。乗らなかったらシャーロックのところには来てないだろうけど(苦笑)。
そして今回もホイホイついていった先で任される仕事は大したことがない仕事。
そこで気づいて〜というかオフィスが全然ちゃんとしてないところで気づいて〜と思っちゃうね。
こういうところですぐに自分が間違っていると認められて路線変更できる人はすごいと思う。一回信じちゃうと騙されたと思いたくないし、ポールの場合は元の職も無断で辞めたわけだから犠牲が多すぎるもんね。
彼がこのあとちゃんと就職できたか気になってしまう。
赤毛連盟とは微妙に違ってもう少し捻りが効いていておもしろい。
確かに一度も出社したことないと顔が分からないのか!と言われると納得。現代だと写真があるからバレるだろうな〜と思う。
まあでも他の国だと最近は性別が分かるからよくないってなっているらしいけど。写真をつけないでよくなったら現代ミステリーでもまた使えるようになるかも?!
②に続きます〜!