あらすじ
アリーテ姫はある国のお姫様。母は亡くなり、王である父は宝石ばかり見ている宝石好き。姫のことは放っておかれている。ある時、姫が「かしこい」ということが父に知られ、父は大慌て!かしこい妻を求める男なんて誰もいないのに!そんな中、姫がかしこくてもいいという男が表れるが、実は悪い魔法使いでーーー!?
読んでみて
子ども向けの本で、平仮名も多くて読みやすい。
なのに!結構心が抉られる描写が多い。
エグいとか怖いとかではなくて。
例えば、父親がアリーテ姫がかしこいと分かった時の描写。
「かしこい妻をもとめる男など、この世にいるわけがない。自分の考えばかりいって、口ごたえする女と結婚したい男なんているものか。女はやさしく、かわいいのがいいんだ。かしこくないほうがいい!」
なんてこと!
いやまあそういう人は多いだろうけど…。こうはっきり言われると辛いよね。
一方、姫は結婚したくないときっぱり言う。
「わたしは結婚なんかしたくありません」
「結婚したくないだと。なんとばかなことを。どこの王女もみんな結婚するのだ。女が結婚しないで、いったいほかになにができるというのだ。そうだ、早いほうがいい。おまえがかしこいということを世間に知られる前に、結婚させてしまおう」
この父親の慌てぶりが悲しい。
姫が王子だったら、きっと大喜びしただろうにね。
アリーテ姫はのびのびしていて、父の圧にもめげなかったけれど、こういう大人が周りにいると自分を押し込めてしまう子どもたちは大勢いたのだろうな。
そして求婚してきた王子様たちも軽くあしらうアリーテ姫。
中学生〜高校生くらいの頃に読んでいた雑誌で、モテるために男の子をたてなきゃいけない的なことが載っていた記憶がある。
当時は「そうなんだ!」と信じていたけどね…。ああいうのを子ども向けに描くのはよくないと思うよ…。
父親は宝石の代わりにアリーテ姫を悪い魔法使いに引き渡してしまう。そうして悪い魔法使いに連れて行かれてしまったアリーテ姫。
でも!アリーテ姫はどんな困難にあってもめげない。
頭を使ってサラリとこなしてしまう姿がかっこいい。
何より面白かったのは、仲良しな魔女からもらった3回だけ願いを叶えてもらえる不思議な指輪の使い道!
敵を倒すために使うと思うじゃないですか!?
でも違うんですよ!
「退屈」をどうにかするために使うんです!
自分のために潔く魔法を使えるアリーテ姫が本当にかっこいい。
にしても偶然手に取ったこの本がフェミニズム小説だったことにびっくり。
30年以上前に描かれた作品。
その当時に描いたのはすごいことだっただろうな。
絶版になっていたそうですが、2018年に復刊しました!
特別版もあるそう。
ちなみにアニメ化もされています!
ぜひ読んでみてね!