女同士の物語が23作品も入った短編集!
「女ともだち」と一緒でずっと読みたと思っていた作品!
あと「覚醒するシスターフッド」も気になる!
読んでみて
こんなにも女性たくさん出てきて女性が主人公の物語ばかり読んだことはあっただろうか。
思えば冒険物語は少年が主人公なことが多い。
児童書も少年が多い。
ミステリー物も男性が主人公のことが多い。
別にそれが特別嫌だったわけではない。
読んでいるときはその主人公たちに感情移入しているから。自分の性別関係なく。
でもたまに主人公たちが女性について語ることがあって(大体いいことではない(悲しい))、そうすると一瞬現実に引き戻される。
私は主人公のことにすごく共感してまるで自分のことのように思っていたのに、彼らはそうではなかったのだな、という落胆をする。
子どもの頃はここまで明確に思っていたわけではないのだけれど、そういう線引きをうっすらと感じていた。
それは作者の考えでもあって、その当時の時代を鑑みるに仕方がないものが多いだろうと思うけれど…。
でもそうやって現実に戻されてしまって、一緒に頑張ってきたと思っていたのに突き放されてしまうのが悲しかった。
だから少年として少年が主人公の本を読めて、男性として男性が主人公の本を読めるのは少し羨ましく感じる。
ということで!
こうやって女性の話、しかも女性と女性の話が読める物語はなかなかないと思う。
だからずっと読みたいと思っていた。
23の物語が入っているので流石に全部は紹介できない。印象に残っているものだけいくつか書いていこうと思う。
ただ、私は1つの本に4〜5作品くらいの短編が入っているのが好きなので、23は多すぎた!ちょっと混乱してしまう。
その話の中に没頭するのが好きだから、短すぎる短編はめまぐるしく感じてしまうのだよね。とっても楽しめたけども。
まず
「ばばあ日傘」
これが印象に残った。
自由に生きることができなかった2人の女性の物語。
女性が一人で生きていけない世界は夫や主人がどういう人間かによって人生が決まってしまう。二人はいつも助け合って生きてきたわけじゃなかった。でも本当に必要な時には助け合っていた。
ほんと。ほんと、ばか。
という言葉に込められている思い。
これからどう生きるのだろう。お金はあるのだろうか?でもきっとお屋敷にいたよりは自由に生きられるだろうな。
「陸のない海」
女性二人の逃避行。これからどうなるか分からないけれど、どうなるか分からない自由さがいい。
「イエロー・チェリー・ブロッサム」
技術が進歩し、外見上は老いることはなくなった世界。女性は15〜18歳くらいの見た目のままにすることが当たり前になっている。
若ければ若いほどいい。社長夫人になるのは14歳くらい、でも男性は30〜40代くらいにするというのも日本っぽいなと思う。
若さしかない世界は怖いよね。私は周囲の人と比べると歳を取るのは怖くない。早く大人になりたいと思っていたから。でもあんなにも歳を取るのが怖い女性が多いのは、彼女たちの問題というよりは女性は若くて可愛くなくちゃいけないっていう幼い頃からの刷り込みだと思う。
「夢で見た味」
これも好きだな〜!ホラーっぽい感じが。
私もまだ若かった頃に男性関係でうーーんっていうことがあったのを思い出したりもした。
でもその餃子を食べちゃうのね〜〜…。てか食べさせちゃうのね〜〜〜。
ここで終わるからいいのだろうけども続きも気になる。
「ヤリマン名人伝」
これもなかなかだった。設定がすごい。
セックスが趣味な主人公がその趣味を一生頑張りたいと思う話。
世の中は広いから実際にそういう趣味の人がいるのかもしれないけれど。趣味にしては結構危険だと思うな〜と真面目に思ってしまう(苦笑)。
それに現実では純粋に趣味としてやっている人って意外に少なそう。男性とかは支配欲とか男性間でマウント取りたいからの方が理由に多そうだし。
最後に主人公は老人ホームのおばあちゃんたちがモテモテなことを知るのだけど、高齢になった方が純粋に楽しめるっていうのもあるのかもね。面倒なことが少なくなるし。
「ファー・アウェイ」
骨折をしてから引きこもりになってしまった主人公が、気がついたらペットになってしまう話。
どういうこと!?と思うけれど、そこはスルーされてみんな受け入れているところが不思議。
世界観がよく分からない。最初は悲観的なるけどみんな受け入れるし。女性が木になってしまう「私の女の実」と似ている。
不思議な世界だ…。
ペットになるとみんな怒らなくなり、むしろ家庭内の地位が向上したらしい。つまり同じ人間としてみなくなったってことなんだけど…。
それでいいのか!?
でもまあそこまでなっちゃうともう考えられなくなっちゃうみたい。
猫っていいな〜って思ったりするけれど、本当になるってなったら躊躇するよね…。
色々考えさせられる話だった。
「タイム・アフター・タイム」
真面目な少女がちょっと目立っていた少女と30年後に同窓会で再会する物語。
友達になりたくても言えなかったその言葉を大人になってから言えるようになる。
周りの意見に流されずに。簡単なことのようで難しいんだよね。
十二国記の陽子を思い出したりしていた。
以上!色んな内容のお話が入っているので楽しめるよ〜!