文学系心理士の自己投資ブログ

文学系心理士の感想部屋

文学系心理士が好きなことを徒然なるままに書きまくるブログ。小説、NETFLIX、たまに心理学のことも♪

【頭木】ひきこもり図書館

ひきこもりについて書かれた小説、エッセイ、漫画などを詰め込んだ一冊!

死なない蛸 萩原朔太郎

これは怖かった!

そんな!蛸!と思ったけども…。

考え方がすごいなあと思う。

 

ひきこもり名言集 フランツ・カフカ

カフカってこんな感じなのか!とびっくり。

恋人や婚約者に対して一人でいたいっていうのどうなの?と思ってしまうけど苦笑。

カフカのことはよく知らないのでどういう状況がよく分からないけど。

私も一人でいることは好きだけど、孤独は嫌だなあと思う。

この本の著者である頭木さんの他の作品に

「絶望名人カフカの人生論」

「絶望名人カフカ×希望名人ゲーテ 文豪の名言対決」

カフカはなぜ自殺しなかったのか?」

が紹介されていて読んでみたくなった。

↓他にも色々あるよ↓

 

桃太郎 立石憲利

この桃太郎はおもしろかった!

鬼退治に行かない桃太郎!というより隣人が誘いに来ても断る。

どこもに行かない桃太郎!

だから物語が始まらない…。

これは桃太郎なのか?と思ってしまう。桃から生まれたから桃太郎ではあるのだけれどね笑。

 

凍った時間 星新一

星新一久しぶりに読んだ!昔はよく読んでいたなあ。

ここまで物語がなかったのでここで存分に楽しめた!

 

赤い死の仮面 エドガー・アラン・ポー

今この時期に読むと特に怖い。

病からは何人も逃げられない。

それはそうだろうな…。

 

病床生活からの一発見 萩原朔太郎

なるほど〜と思うけれど、あまり実感したことはないので分からない。

でも確かに入院している時はあの小さな病室が私の世界だったなあ。

 

フランケンシュタインの方程式 梶尾真治

これはね!おもしろかった!

一体どうなる!!?と思いながら読んでいたら、びっくり!

この先品は「地球はプレイン・ヨーグルト」に入っているよう。

また、トム・ゴドウィン「冷たい方程式」というSFの古典が元になっている。

屋根裏の法学士 宇野浩二

これはまた違ったひきこもり。

妄想をしては押し入れに引きっぱなしにしている布団で横たわる主人公。

日本初のニート小説。

しかも中学生向けの受験専門誌に書かれていたらしい。

これを読んだ中学生はどう思ったのか…?

ちなみに江戸川乱歩宇野浩二を愛読していて、「屋根裏の散歩者」が似ているのはそのためだそう。

私の女の実 ハン・ガン

これはねー。

読んでいるよそわそわするというかイライラするのだけど、とても心に残った作品だった。

たぶん、自分を変形させてしまう選択を取ることが私にはイライラさせられたのだと思う。そうするくらいなら主張して話し合えばいいのに!と思ってしまう。

そうやっても意味ない状況を描いているとは思うのだけれど。

私の専門は言葉なのでね〜〜〜。

ただ、自由に世界を旅したかった女性が家庭に入ってそこから出られなくなってしまう状況は悲しいし、そういう枠組みをどうにかしなきゃいけないのだと思う。どうにもできない状況を見せつけられている感じもして嫌なのかも。

同じ著者が描いた菜食主義者も同じような話らしい。イライラしそうだけれど読んでみたい!

静かな水のほとりで ロバート・シェクリイ

これは好きだな〜。

短い物語なのだけれど、ある男が惑星に住んでからの一生を描いている

少し寂しくて少し悲しいけれど、心が温かくなる。

 

こちらの作品は「人間の手がまだ触れない」に入っているよう。

また、あとがきにて、SFは最初日本で全く受け入れられなかったと知って驚いた。あんなにおもしろいのにね〜。でも荻原規子先生の本でも長めのファンタジーも受け入れられなかったと書いてあったから、日本に定着していなかったジャンルを持ち込むのは大変なのだろうな。

安部公房「第四間氷期」「人間そっくり」も紹介されている。

スロー・ダウン 萩尾望都

好きな作家さんではあるのだけど、そんなに読めていないのだよね。

今回の作品も初見だった!

いやーでもおもしろい!

ポーの一族をちゃんと読みたい。

 

ひきこもらなかったせいで、ひどいめにあう話 頭木弘樹

ここ2年は新型コロナウイルスのせいでひきこもる必要があった。

雨月物語の「吉備津の釜が紹介されている。

この前に「日本ヤバい女の子たち」で読んだ「牡丹灯籠」となんとなく似ているように思う。


最後はショーシャンクの空にからの引用で締められる。

あの塀を見ろよ。

最初は憎み、

しだいに慣れ

ーー長い年月の間に頼るようになる。

 

心に残った箇所

ぜひにもと心から願っている、大好きな作家さん、作品ばかりです。でも、その思いを伝えるのは、簡単ではありません。

手紙を出した後も、なんと胸の苦しいものです。断られたら、どんなに悲しいだろう、承諾してもらえたら、どんなに嬉しいだろう……。

まさにラブレターを送って、返事を待っているような状態です。

快諾してくださった作者の皆様、著作権継承者の皆様、そして出版社の皆様、誠にありがとうございました!どれほど喜んでいるか、きっと想像しておられないほどです。

最近私も同じよう思うことがあったので、ここがとても心に刺さった。そうだよね、胸が苦しいよね…。自分だけじゃないんだな、ということが分かって安心できた。


他にもアンソロジーは3冊出ており、

絶望図書館

絶望書店

トラウマ文学館

がある。

また読んでみたいな〜と思う。

アンソロジーってあんまり読んだことがなかったけれど、色々詰め込まれていておもしろかった。

何より今まで知らなかった作品や作者に会えるのが楽しい。

また、詩など普段は読まない分野にも触れることができて視野が広がった気がする笑。