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文学系心理士が好きなことを徒然なるままに書きまくるブログ。小説、NETFLIX、たまに心理学のことも♪

【L・M・オルコット】若草物語

ジョーがこの作品の主人公だと思う。

ジョーが一番好きだなあ〜!

 

あらすじ

マーチ家の4姉妹・メグジョーベスエイミーはたまには喧嘩をしながらも家族で幸せに暮らしている。南北戦争に行った父の無事を祈りながら、少女らしい悩みを抱えている4人。ある時、隣のお屋敷に住む少年・ローリーと知り合いになりー!?

 

読んでみて

長女でお姉さんはメグ

彼女は4姉妹の中で唯一マーチ家が裕福だったことを知っているので、たまに貧乏であることに嫌気がさしてしまう。

まあ一度裕福だった頃を体験していたらそうだよね。

両親は自ら選んだわけだけど、メグは選べなかったわけだからね。

綺麗なドレスや裕福な友達をみて羨ましくなる気持ちは分かるな。

「おだてられたりするのって、うれしいものね。わたしって、そういうのが好きなんだわ」メグは正直に言ったものの、ちょっと恥ずかしそうな顔をした。

「それはごくあたりまえのことよ。その好きが高じて、いろいろ馬鹿げたことや娘らしくないことまでするようにならなければ、ちっとも悪いことじゃないわ。でも、ほめられていることが、ほんとうにほめられるに値するかどうかをちゃんと判断できるようになることね。そして、きれいだというだけでなく慎み深い人だといって、立派な人からほめられるようにならなければね、メグ」

褒められると嬉しいよね。

でもそこで天狗になってもいけないし、褒めてくれた人のことを完全に信じてもいけないし。難しいね。

 


作家になりたいジョー

著者はジョーに自分自身を投影していたのだろうな。

だからかジョーの悩みはすごく現実味がある。

 

男勝りなジョー。

でも髪を短髪にするのは悲しかったようで、それくらい当時の女性にとっては大事なことだったのだな。

そう思うと、今は短髪にできるのはそれだけ自由になったということだと思う。


ジョーは短気ではあるけれど、エイミーがジョーの書いた小説を捨てたのはひどいと思ってしまう。

でも末っ子って加減が分からないから時としてそういうひどいことをやりがちだと思う。

怒ってしまうジョーも当然。

「『目を覚まして祈っていなさい』(新約聖書『マタイによる福音書』より)ですよ。努力をあきらめないことね。そして、自分の欠点を克服するのは無理だなんてけっして思わないことよ」そう言うとマーチ夫人はジョーのくしゃくしゃの頭を自分の肩へ引き寄せて、涙にぬれた頬にやさしくキスをしてやったので、ジョーはますます泣きじゃくった。

「お母さんは知らないのよ。わたしの癇癪がどんなにひどいか!カッとなると、どんなことでもやってしまいそうな気がする。すごく残酷になって、だれかれなしに傷つけて、それをたのしんでいるの。いつか、何か恐ろしいことをしでかして、自分の人生を台無しにするんじゃないかって、そして、みんなに憎まれるようになるんじゃないかって考えると、こわくてたまらない。ああ、お母さん!助けて、お願い、わたしを助けて!」

(中略)

「のどまで出かかった軽率な言葉を飲み込んでしまえるようになったの。それでも、気持ちとは逆につい口走ってしまいそうになると、ちょっと席を外して、そんなに意思が弱くて性格の悪いことでどうするのって、自分を叱っていたの」

あんな温厚なマーチ夫人が昔はジョーみたいだったなんて!

驚き!

そして子どもたちにも隠しておけるってすごい。

女中がいるとはいえ、4姉妹を育ているのって大変そうなのに!

 

3番目はベス。
ベスがお隣のローレンス氏と交流する場面が好きだったな。

怖々していたベスがローレンス氏に安心してキスまでしてしまうなんて!

怖がっていたネコが心を許してくれたみたいな感じだよね笑。


そしてエイミー!

一番ちゃっかりしているイメージ笑。

エイミーもエイミーなりに悩んでいるのだけど、あんまり深刻な感じがしないのだよね。

一番末っ子ってこともあるし。

 

マーチ夫人からの言葉。

「心からの愛は、貧乏なんかに負けたりしないわ。わたしの知り合いの、とても立派な尊敬できる女性たちの中には、娘時代には貧乏な人もいたわ。でも、ほんとうに愛される値打ちのある人たちだったので、だれひとり独身のまま放っておかれた人はいないわよ。そういうことは時が来るのにまかせておいて、いまはこの家をたのしくしましょう。そうすれば、いずれ自分の家庭を持つことになったときに、ちゃんとやっていけるでしょうし、そうならなかったとしても、ここで満足して暮らせるでしょう。それから、ふたりともこれだけは覚えておいてね。わたしはいつでもあなたたちの相談相手でし、お父さんはずっとお友だちよ。わたしたちは娘が結婚しようとしまいと、わたしたちふたりの生涯の誇りでありなぐさめになってくれると信じているし、また、そう願っているのよ」

ここで「そうならなかったとしも、ここで満足して暮らせるでしょう。」「結婚しようとしまいと、わたしたちふたりの生涯の誇りでありなぐさめになってくれる」と言っているのはすごいと思う。

 

著者のオルコットは生涯独身で通したそう。

基本的には結婚しないと女性が生きていけない時代に結婚しなくてもいい選択肢を示してくれるのはとても素晴らしいことだと思う。

 

とってもいい話でおもしろいのだけれど、時々道徳的な感じになったりするのが慣れないな〜。