子どもの頃から知っていて気になっているのに読まなかったシリーズの一つ。
子どもの頃から家にあったらしく、さらに言うなら私のために買った本だったらしいということを今回初めて知るという。
なんで読まなかったのだろう笑。
それとも実は読んでいたのかな?全く思い出せないけど。
読まなかったのは絵のシンプルさのせいかな〜?
あらすじ
お母さんに見送られ、おばあちゃんがいるベルリンに行く列車の中でお金を盗られてしまったエーミール。コンパートメントに一緒に乗っていた山高帽の男が犯人だと睨むが、エーミールには警察に行けない理由があってー?!
読んでみて
いや〜おもしろかった!
子どもたちにはぜひ読んで欲しい作品。
構成が変わっていて、最初に著者であるケストナーさんが本作りに悩んでいる話が入る。
南洋小説の冒険物を書こうとしていたけれど、頓挫してしまって困ってしまって床に寝転がったりする。
いつも話しているボーイ長からアイデアをもらい、身近なことを書くことにしたケストナーさん。
そこでエーミールが思い浮かぶ。
そして10枚の絵になっているアイデアも!
これを筋道立ててお話にしたのが今作品。
母1人子1人で頑張って生きているティッシュバイン(テーブルの脚)家。
おばあちゃんへの仕送りのお金とともに従姉妹たちの家に遊びに行くことになったエーミール。
お金をなくさないように言われたエーミールは定期的にポケットを触って確認をする。
その絵があまりにも可愛くて!
でもそこに大事なものがあるって明らかにバレてしまっていて!
可愛いんだけども残念なエーミール。
でもそうだよね、心配だから確認するよね、しょうがないよね!
それで案の定お金を盗られてしまう。
でも悲しいかな、エーミールには警察に行けないわけがあるんです!
このわけはぜひ本を読んで欲しい。
なので自分で解決しなくちゃいけない。
手始めにまず追いかけることにしたエーミール。
ここまでだと題名の「探偵たちってなに?」となるのだけれど、ここからエーミールは初めてのベルリンで友達ができるんですよ!
すごい!素晴らしい!
しかもたくさんの友達。
彼らがみーーーんな手伝ってくれる。
だから「探偵たち」なんです!
みんながゾロゾロ歩く絵柄が可愛くって可愛くって。
愛らしい。
何も悪いことをしてないのにお金を盗まれるという悲しい出来事は起こるのだけれど、それ以降は悲しいことは起こらないので安心して読んでいられる作品でした。
おばあちゃんのなんでも2回言う口癖が好き。
「困ったよったら、困ったよ!」
あと、教授とエーミールがお母さんのことを話している場面が心に響いた。こんなこと言われているのを知ったらお母さんは嬉しすぎるんじゃないだろうか。
「いっしょにいることしか、ぼくたちにはできないんだよ。だからって、ぼくは母さんっ子じゃないよ。信じないやつは、壁に投げつけてやる。そんなの、あったりまえじゃないか」
「そりゃそうだ」
ふたりは、しばらくだまったまま、門のアーチの下に立っていた。もう夜だ。星がかがやいている。まるで片っぽうだけの目のような月が、高架線のむこうを見ていた。
教授はせきばらいして、エーミールのほうは見ないで言った。
「じゃあ、すごく愛しあっているんだね。」
「すっごくね」エーミールはこたえた。
この作品が書かれた時代は昔で、本文でも馬車よりも電車の方が目新しく良いものとされていることが分かる。
私は電車よりも馬車の新鮮だしワクワクするけど笑。
あとがきに書かれていた新しいこと、古いことについての話が心に残る。
高層ビル、ネオンサイン、車の洪水、新聞社、映画。そういうことをいそいそと書きこんだ作家ケストナーは、かなりの「新しもん好き」だったのですね。
そのおかげでわたしたちは、新しさへの感動を、ケストナーといっしょになって味わうことができます。この時代に新しかったものは、いまではとても古くて、むしろなつかしいものなのに、ふしぎですね。でも物語は、新しいものにわくわくした時代の人びとの心を、わたしたちにも気前よくわけてくれます。物語によって、わたしたちの心は、新しさにたいしてもういちどうぶになるのです。物語を読むというのは、ほんとうにふしぎで豊かな体験だと思います。
後日譚として「エーミールと3人のふたご」があり!