ぐりとぐらで有名な中川季枝子先生のエッセイ。
子どもの頃に読んでいたぐりとぐら。特に大きな卵でカステラを作るのに憧れた。
どの絵本もワクワクして楽しかった思い出がある。
ぐりとぐらのことは大好きだったのに生みの親である中川先生のことを詳しくは知らなかった。
本作で初めて色々と知れて腑に落ちることも多かった。
中川先生は元々は保育士だった。
絵本作家になろうと思ってなったのではなく、保育士としていい絵本を探して子どもたちに読んでいた。そんな中で同人グループに入りそこで1人1作作ることになって完成したのが「いやいやえん」だったそう。
ぐりとぐらは読んだことあるのだけれど、このいやいやえんは多分読んだことない…。読んでみたい。
つまり保育士として中川先生があった上で絵本作家になったため、その根底には生身の子どもたちがいつもいたよう。
働いていた保育園もなんと園長先生との2人だったようで、大きくはないけれどのびのび自由に一人一人に関われる園だったようで羨ましく感じる。
子どもを一人の人間として認めているからこそ、彼らの目線に立って作ることができるのだなあ。
中川先生が幼少期に読んでいた本もたくさん紹介されている。
ちょうど子どもの頃は戦時中だったようで、そのせいで新しい本を読むことはほとんどできなかったそう。そういう意味でも戦争って悲惨だと思う。
また、海外の戦争を体験した子どもたちの物語もたくさん読んで感銘を受けたよう。本を読んで自分と同じような体験をしている子どもたちが海外にいることを知ったそう。
私は戦争を体験していないため、自分の体験と照らし合わせて考えようとしたことがなかった。
戦争の作品を私は過去の出来事として読んでいたけれど、実際に戦争中だった人々にとっては海外の状況なんて知らされていなかったし知る術もなかったわけで。それは衝撃を受けると思う。
戦争中は海外を敵、悪として描き、人々にもそう思わせてきたけれど、実際は日本の人たちと同じように戦争で苦しんで悲しんでいた。
自分たちも他の国の人たちも変わらないって考えられたら、戦争はなくなっていくのではないかな。
岩波少年文庫を家族みんなで夢中になって読んだそう。
岩波少年文庫は素晴らしいからね〜。
今はたくさん刊行されているのが当たり前だけれど、当時は新刊が出るのを楽しみにしていたようで、それはそれで楽しそうだなあ〜と思う。
中川先生が紹介されている作品で知らなかったものもあったので、また読んでみたいな。
保育や育児をしている人へのメッセージもたくさん書かれているので、親御さんにもおすすめの作品だと思う。
久々にぐりとぐらを読み返したくなってきたな〜。
ちなみにMOE7月号もも改めて読み直してみた。
妹さんである山脇百合子先生も絵もとても素敵。お二人の両親のお話もとても素敵でした。
となりのトトロのさんぽを作詞したことも知らなかった!
気になった作品
小さい牛追い、牛追いの冬
長い長いお医者さんの話
ニーベルンゲンの宝
あらしの前、あらしのあと
こぐま星座
銀のスケート
ジェーン・アダムスの生涯
チポリーノの冒険