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【アディーチェ】アメリカーナ

アメリカーナとは「アメリカかぶれ」という意味。

アメリカーナ 上【電子書籍】[ チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ ]

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あらすじ

ナイジェリアで生まれ育ったイフェメルは、アメリカの大学へ留学することになる。恋人オビンゼと離れ、新しい国で生きていくイフェメル。ところが13年後、イフェメルはナイジェリアに戻ろうと決めてー?!

 

読んでみて

500ページ以上ある長編作品

しかも2段組になっている

最初は分厚さにちょっと怯んだのだけれど、読んでいくとスラスラと読める

何というかスッと頭に入っていく感じがする。

ただ、まあ長いっちゃ長い笑。

でも思ったよりも小難しくなく、先が気になってどんどん読めてしまった

パーティーとかでの会話とか、本当にリアルさがあって面白かった。

ただ、登場人物が多いので「誰だ?!」と戻ることもしばしば


この作品は主人公であるイフェメルとその恋人であるオビンゼの視点から見た高校時代から渡米、そしてナイジェリアに帰るまでの話になる。

2人の人生を読者である自分も一緒に体験しているような感覚になれる。


様々なことがテーマとして織り込まれている。

彼らの人生そのものについて描かれているから、子ども時代や学生時代、親や家族、恋人、結婚、友人などはもちろんある。

その上で、他の国からアメリカに渡米すること黒人として初めて見られることアメリカ文化やアフリカ文化との違いグリーンカードやヴィザについて女性として生きること奨学金だけではお金が足りないこと仕事が決まらないことなんでもやれる仕事をやるしかないことアメリカの中で黒人として生きるということ黒人差別についてアメリカで移民として生きることホームシック祖国にいる家族との距離感移住して変わってしまった友人強制送還、祖国に帰ってからの違和感…などなどなど。

本当に色々なことについて描かれている。

 

実際にナイジェリアからアメリカに渡米した人やアメリカに住んでいる人や住んだことがある人、海外へ移住経験がある人であれば、共感できるところが多いのではないだろうかと思う。

私はどれにも当てはまらないため、知っている人だったら「分かる〜!」という感じで読んだりするのかなあと想像していました。


ただ、読んでいくと、これはイフェメルとオビンゼの2人の関係についての物語だということが分かる。

なんていうのか、イフェメルとオビンゼがお互いに会っていない時でもお互いがお互いのことをどこかでずっと考えていて、色んなことが起こるのだけれど、彼らの人生のベースにはお互いがいるということが分かる


実際には著者が「オールドファッションなラブストーリーを描きたかった」と言っていたよう。

ただこの作品をラブストーリーとして括るのは難しいな、とも思う。

私は後半部分まで読んでやっと気づいたくらいだからね笑


イフェメルは「アメリカ黒人によるアメリカ黒人についてのさまざまな考察」というブログを立ち上げ、有名ブロガーになる。

故郷であるナイジェリアにいた時、イフェメルは自分が黒人ということを意識したことがなかった

ところがアメリカに来ると彼女は黒人になった


私も日本にいるときにアジア人であるということは意識しない。

でも、きっとアメリカに言ったら私が意識するしないに関わらず意識することになるのだと思う。


ナイジェリアにおいても肌の色が薄い人の方がモテるらしく、複雑な気持ちになった

日本においてもハーフ顔やハーフメイクという言葉が雑誌に載っている。

そう思うと、欧米諸国だけではなく世界中で欧米諸国寄りの価値観が正しいとされているように思う。

いつかNETFLIXで観たアメリカの作品では、北欧からきた留学生がとてつもなくカッコいいってみんなからチヤホヤされていて、アメリカはアメリカで北欧の人たちのことをそう見ているのだと知ったのだよね。


イフェメルが描いたブログの中に、自分の人種のせいで有名な社交クラブに参加することが難しいかもしれないと考えますか?などの項目が書かれており、ノーという答えが多ければ白人特権階級です、という内容があった。

私は日本に住んているので、ノーが多い。でももし私がアメリカに行ったらどうなんだろう?と思う。

エスが多くなるのだろうと漠然と思うけれど、黒人であるイフェメルよりは少ないかもしれない。

自分とは違う人種が基本になっているところで生きるのはとても大変だと思う。自尊心が削られるだろう

イフェメルも祖国にいる時であればノーが多くなるのだろう。

でも今の日本に住んでいる人もイエスが多くなる人はいるだろうし、マイノリティの人たちも住みやすい世界を目指していけたらといいと思う。


イフェメルがアメリカにいた時は、ちょうどバラク・オバマが大統領に立候補した時期でそのことも物語に出てくる

オバマへの期待が本当にすごいみんな熱狂している

イフェメルとブレインの仲も取り持ってしまう力を持っている。

いやー、すごい!

破局寸前のカップルまで繋ぎ止めるオバマ大統領!


私はこの本を読む前にミシェル・オバマの「マイ・ストーリー」を読んでいたので、アメリカーナにオバマ大統領の話が出てきてみんなが熱狂していても驚かなかった。

でも改めてオバマ元大統領のすごさを実感して、その当時のアメリカの雰囲気を感じたかったな、と思った。

イフェメルが読んだオバマの本は日本だと「マイ・ドリーム」という訳で出ているそうなので、次はこれを読みたい。

多分本当はアメリカーナを読む前に読んでいたらもっとイフェメルたちに共感できたのだと思う。残念!


大学教授の息子として育ったオビンゼがロンドンに来てどんな職でも働く箇所。

「海外へ出てトイレ掃除をする者のことをだれもがジョークにしていたので、オビンゼは斜に構えて最初の仕事に取り組んだーー自分は本当に海外へ出てトイレを掃除しているぞ、ゴム手袋をはめバケツをぶらさげて、場所はロンドンのビルの二階にある不動産会社のオフィスときた。」

「子供時代は家族に守られ、きちんと食事をあたえられ、まかさロンドンでトイレ掃除をするとは思わない環境で育ったのだ。」

これが私の心に刺さった

オビンゼは大学まで出ているのに、イギリスではトイレ掃除をやっている

トイレ掃除が悪いわけではないのだけれど、ナイジェリアでの経験がイギリスでは全く関係ないこと悲しく感じてしまった。

オビンゼの従兄弟夫婦もイギリスで子どもたちにしっかりとした教育を受けさせようととにかく頑張っている。

自由で破天荒だった二人は鳴りを潜め、とにかく少しでも豊かになって子どもたちがより豊かになるように必死で生きている


どっちが幸せなのだろう。

そのまま祖国にいるのと、夢を持って海外に行くのと。

私もいつか海外に住んでみたいな、と漠然と思っている

ずっと定住するかは分からないけれど。

イフェメルがナイジェリアに戻ってきた時、ナイジェリアが変わってしまったように感じて、アメリカが恋しくなっていた

13年もアメリカにいたら当然だと思うけれど、寂しくも感じる。

人は適応していくものだからね。


オビンゼが不法労働をするところ、結婚をしようとして最後には強制送還されてしまう場面はハラハラしっぱなしだった

ここら辺の事情は全然詳しくないので、そういう感じなのか!と驚きながら読んでいた

ナイジェリアに帰ってからオビンゼが裕福になっていくが、イギリスの頃と人としては変わっていないのに周りから扱いが変わるのは何だか悲しかった

トイレ掃除をしていたときにオビンゼと親しくしてくれなかった女性は、今のオビンゼを知ったらきっと親しくしてくれるのではないだろうか。

将来裕福になるかもしれないから親しくしろというわけではなくって、その人に付随するもので接し方を変えるのはよくないなと自戒の意味とともに感じた


イフェメルがオビンゼとの連絡を絶った気持ちは痛いほど分かる

行かないのが一番だったけれど、それくらい思い詰めていたから仕方がなかった。

多分オビンゼと直接会えていたら言えていたように思う。

距離の問題もあるよね。

電話やメールで言うのは辛いよね。

このすれ違いは悲しかったけれど、このすれ違いがあったからこそイフェメルは他の男性と付き合って、そしてブログを書くことにする

うまくいかないことがあっても、その後にまた違う人生が待っていて、違う自分を発見できる。

これぞ人生っていう感じ


お互いに大事な存在だったとしても、お互いに会っていなくてもそれぞれの人生は続いていく。

でもここで別れたからこそ、その後の再会が劇的なものになったような気もしなくない。

そのまま付き合っていたら、あっさり別れたかもしれないしね笑。

分からないよね

最後のラストはよかった。


この作品を読んで、アメリカンアフリカンという言い方を知った。また、黒人女性の髪について、コーンロウやブレイズのことも。


こちらの作品を読んでいたので、黒人女性の多くが髪をストレートにしていることは知っていた。

この作品を観て黒人女性の多くが本来の髪ではない髪で生きていることを知って衝撃的だった。


短編集「なにかが首のまわりに」の感想はこちら↓

oljikotoushi.hatenablog.com

 

↓TEDでの公演はこちらから↓

男も女もみんなフェミニストじゃなきゃ


シングルストーリーの危険性


こちらはガーナのアクラだが、愛人が当たり前にいること、女性が男性から生活費を全てもらって生活をする場合もあるなど日本とはまた違う文化があると分かる。こちらを観ていたのでアメリカーナで2年分家賃を支払う必要があったり、ウジュおばさんが地位のある男性の愛人として生活をしていることにそれほど驚かなかった。

oljikotoushi.hatenablog.com

 

 

↓作中にも出てきたオバマ元大統領の本はこちら↓

↓ミシェル・オバマの「マイ・ストーリー」の感想はこちら↓

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アメリカでの黒人差別について知ることができるおすすめの本はこちら↓

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