沢村凛先生の全作品制覇のために。
価格:733円 |
あらすじ
ダンボハナアルキを見つけるために、日本から小国のイシャナイにやってきた瞳子。そこでは近代化と植民地化に争う人々が戦いを繰り広げていた。ゲリラの頭目・ヤンと出会いー?!
読んでみて
「ダンボハナアルキ」とは、ハラルト・シュテュンプケが刊行した書籍に載っている動物である。
ところがなんとこれ、架空の人物・架空の動物であり、実際にはゲロルフ・シュタイナーという動物学者が描いた動物学論文のパロディだった!
この本は実際にある本なので、読もうと思えば読める。
調べるとあんまり可愛くない動物たち笑。
鼻行類とは言葉の通り鼻で歩く動物ということ。
鼻で歩いたらもはやそれは足では?と思ってしまうが…。
どんな進化を遂げたら鼻が足になるのか気になる。
それともそもそも鼻は足である方が普通だったのか?
本作の主人公・瞳子はそんなダンボハナアルキに魅せられたうちの一人。
周りにバカにされながらもダンボハナアルキの伝説がある小国に行くために、マイナーな言語を習得し、留学し、そしてその国の調査団として派遣されることに成功する。
なんという信念!すごい!
ダンボハナアルキにそこまで!
そしてやってきた小国だが、思ったより身動きが取れない。
それもそのはずで、島ではゲリラ戦が繰り広げられていて危ない。
でも、なんとかダンボハナアルキを探しに行きたい瞳子は抜け出すことにする。
その行動力にも感嘆する!
なぜそこまでダンボハナルキに魅せられているのか…笑。
私も鼻行類の本を読めば魅力が分かるのか...。
そこで出会ったヤンという少年は少年に見えるのに実はずっと長く生きている。
瞳子とヤンには何かしら繋がりがあることが分かる。
それは、二人とも違う世界の夢を見ることに。
そこには必ずヤンと瞳子がいた。
ヤンたちは本当は争いたくない。
でも争わなかったら今までの生活はなくなってしまう。
だから戦うしかない。
こういう争いは悲しくなる。
世界もこんな小さな国に見向きもしないということも悲しい。
他の世界線は一見、今よりもいいように思うけれど、裏があることが分かる。
観光地になったが借金がかさんだ島
貧しく汚染された島
女性が妊娠できないようにしてしまう島…。
ヤンと瞳子がどうするのかドキドキしてしまう。
テーマが重いからこそ、どうすることもできないように感じてしまう。
そして最後のオチね!
瞳子がどうなったか気になりすぎたけれど、でもこうなってよかったのかもしれない。