価格:847円 |
あらすじ
主人公の「ぼく」は、傷ついた幼馴染のふみちゃんのために、自分の力を使ってできることをしようとするがー?!
読んでみて
なかなかいい話でした!後半部分は泣ける。
ただ、中盤がちょっとグダるというか、先生とぼくのやりとりはとても面白いのだけれど、どうしても先生からの説明が主になってしまって、あまり面白くなかった。
知っている内容が多かったというのもあるかも。あまり知らない中高生あたりは新鮮かもしれない。
わりとストレートに著者が言いたいことが伝わってきてしまう感じがしてしまったかな。読んでると面白くはあるのだけどね。
多分、こういうことは今までの人生で色々と考えてきて、でも結局はこの主人公みたいに直接会って能力を使って復讐するなんてできないんだよね、という諦めがあるからかな、と思う。
世の中には辛いことがたくさんありすぎて…。無力感かな。
現代物とファンタジーとミステリーが合体していた作品。
条件提示ゲームの発想は面白い。なんでも言うことをきかせることができるわけではなく、しっかりとゲームを提示しなければいけない。しかも使えるのは一度だけ。
最初はチートじゃん?!と思ったけれど、なかなか考えないといけなくって難しい。
事件時代も最悪ではあるのだけれど、確かに極刑ではない、となってしまう。
にしても主人公の覚悟がなかなか!ふみちゃんも賢いけれど主人公も十分に賢い。
でも大人目線で読んでいるとお母さんのことは考えてあげて!って思ってしまうよね…。まあでも子どもらしいと言えばそうなんだけどね。
印象に残った箇所。
「わかりあえない者同士は、無理に一緒にいる必要はない。関わらず、住み分ける以外に道はありません。正しいとか正しくないというのは、それを話すのが人間同士である以上、簡単に変化していくんです。これが何という正解はない。けれど、そんな中でどうすることが自分の心に一番恥じないのか。何を一番いいと信じるのか。それだけはきちんと胸に置いておく必要があります」
先生の声を聞きながら、ぼくは自分のズボンのポケットに入れてあるメジャースプーンのことを思い出していた。もうずっと前、ふみちゃんからもらったぼくの宝物。
「本当は正しいのに」と。あれをもらった日、 ふみちゃんはばくをほめてくれたんだった。
先生が今言っているのは、多分、それと同じことだ。
ちなみに秋山先生は「子どもたちは夜と遊ぶ」の秋先生。
ふみちゃんにピアノの天才だと言われたのは「氷のくじら」の松永郁也。
「名前探しの放課後」を読むと本書の登場人物と会えるみたい。
ちょっとずつ読んでいこうと思います〜。