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文学系心理士が好きなことを徒然なるままに書きまくるブログ。小説、NETFLIX、たまに心理学のことも♪

【辻村深月】噛み合わない会話と、ある過去について

心がざわざわした本だった。

直接わざわざ言わないようなことを登場人物たちがバサバサ言っていて、なんだか責められている気になり、自分のことを振り返り、辛くなる。

ざわざわざわざわ。なんかカイジっぽい笑。

 

ナベちゃんのヨメ

この作品は苦笑いできた。

もっともだな〜と思いながらも、こういう状況に陥ったことないので客観的に読めた。

絶対誰にも好かれない男子っていうのが分からない。可愛い系?弟系男子ってこと?でも人と人だから関わっていけば惹かれていくこともあると思うけどなあ〜。

まあつまり対等に見てなかったんだよね。

 

パッとしない子

次は結構辛い。とにかく主人公が傷つく。逆だったからすごく爽快だったろうけど、そうじゃないから傷つく。

結局、相手も人だからさ。相手にも家族がいて大切な人がいて...って思うと辛くなるよね。

先生にそんな執着する?と思うけれど、周りからこの先生に聞きましたとか言われたらまあ腹立つよな。

 

早穂とゆかり

こっちもパッとしない子と同じ雰囲気だったので、まさかまた??と思っていたらまたでした〜。辛い。

いじめてる側がいじめと捉えてないとか、いじめられている側もいじめと捉えることができないとかは分かりみすぎた。

まあ人殺しでさえ正当なことと思えるのが人間なので、そりゃその手前のことは簡単に良いように思えるでしょうね。

 


私はどちらかというといじめられていた側、カースト低め側ですが、それでも自分は大丈夫だったか?というざわざわがあった。

優越感とかそういうのね。どの人間も感じてしまうことだとは思うけど。

あと内輪でのからかいみたいなのね。

 


でもそれを直接本人に表明しなければよかったのに。そこが他の人たちと決定的に違うんだな。

こっちからわざわざ言いにいかなくてもあっちからきたらそりゃ迎え撃ちたくなるよね〜。

 


まあ自分はどうだろう?と思うと微妙ですが。

嫌なことやされたことは覚えていることも多いけれど、その個人に対してっていうか過去に対してって感じだから、例え今その子達に謝られてもすっきりしないし、こうやってやり込めてもすっきりしないと思う。

 


その時の「私」がやって欲しかったこと言って欲しかったことであって、今の私はもうその時の「私」ではないんだよね〜。

でもたまに思い出してモヤモヤしたり嫌な気持ちになったりはするけど。どんなこともその時の実感よりは絶対薄まっていくし忘れられるようにできているからね。

 


いつかエピソード記憶を忘れないって女の人をテレビで観たことがあるけれどとても辛そうだった。過去が過去にならないっいうのはとても辛いと思う。

 


やられた方もやった方も過去になっていくけど、やった方が秒で忘れるのに対してやられた方は心にトゲが刺さったみたいに取れないんだよね。

 


この話を読んでほとんどの人は自分がやられた側の人間だったと思い出すことが多いと思う。だって実際に何かしてても自分は忘れているから。

でも責められる側視点で書くことによって、もしかして私も?という気持ちが沸くからすごいな〜と思った。

 


ただ私は嫌なことは大体忘れたいタイプなので色々思い出してしまってざわざわしてしまって疲れた。

 


やられた方は忘れることができないけど、やった方は忘れないとやっていけないっていう可能性もあるかもね。大したことないって思い込みたいじゃん?自分が最低の人間なんて思いたくないじゃん?やられた方からしたら最悪だけどだけどね。矛盾は受け入れられないからそりゃ自分のにとっていい方とるよね。

 

ママ・はは

これも普通に怖かった〜。

精神的な虐待ではあるんだけど、母親の存在を無くすほどだったのかと思うと怖い。

自分でやったわけじゃないんだけどさ。

 


まあ母親がやっていたことと逆のことをやっているわけだから、因果応報なんだろうけど。

 


でも結局母親が自分の望み通りになったから関わるっていうのも結局母親と一緒なのでは?と思ってしまう。

 

終わりに

どの話も執念深いところが怖かった。

私はどっちかというと忘れるっていう対処をすることが多いので、そっとしまっていた扉を開けられたような感じがして嫌でした。

でもそれくらい素晴らしい本ということ。

でもやっぱそこまでの執念は持てないな〜。というか持ちたくない。

同じような状況に陥ったらするのだろうか?関わってまた傷つきたくないし、どうでもいいと思うかも。関わりたくないって。