【中古】 アブホーセン 聖賢の絆 古王国記3 上 / ガース ニクス, 原田 勝 / 主婦の友社 [文庫]【メール便送料無料】【あす楽対応】 価格:328円 |
あらすじ
ライラエルとサムは太古の<悪>を止めるためにニックの救出に向かう。この世の終わり、すべての世界の終焉を止めることができるのかー?!
一方、サブリエルとタッチストーンはアンセルスティエールでテロの犠牲となりー?!
読んでみて
前巻から続くストーリーがとうとう終焉を迎える。ライラエルとサムはアブホーセンの館から出て険しい道を徒歩で進む。
このあたりが本当に指輪物語っぽいな〜と指輪物語を思い浮かべたりしていた。1巻目の「サブリエル」でも雪の中を歩むサブリエルの場面でも感じたけれど。
まず目的地へ向かうのも大変っていう感じが指輪物語っぽいよね。しかもライラエルたちも追われているわけで。
死霊を操れるベルを持っているライラエルやサブリエルだけど、それは完璧じゃなくって術者にも危険だし、冥界に行っている間は無防備になるしとなかなか大変。だからこそアンセルスティエールの人と協力するのが大事になってくる。
死霊が迫ってくる様はゾンビ映画っぽさもあるんだけど、個々が意思を持っているというよりは操られているという点が違う。別に感染するわけでもないしね。
タッチストーンとサブリエルが死より恐ろしいことがあると感じる場面で、ネクロマンサーだからこそ、「死んだら終わり」とならないのが辛い。
この設定ってなかなか他のファンタジー作品でもない気がする。生きている誰かのために頑張るじゃなくって自分が死ぬことは安楽じゃないんだってことが辛い。だから立ち向かうしかないんだよね。
ネタバレあり!!
そして!とうとう!クレアたちが見た葦原にライラエルとニックは辿り着く。
最初、クレアたちの予言を聞いた時は「なんでニック?サムじゃなくって?」と思っていたけれど、サムが甥であり、ニックの中に太古の<悪>がいることを知った後では「だからニックだったんだな」と感じた。
こういう状況でもライラエルがニックに対して優しい気持ちになるのが微笑ましい。不詳の犬は子作りをしろと言っていたしね笑。
ちょっとずつ不詳の犬やモゲットと太古の<悪>との関係が分かってくる。
不詳の犬はオラニスから「おまえの姉妹の一人がーー」と呼びかけられる。
また、モゲットはオラニスに協力を持ちかけられたが断った話をする。
そして7聖賢はそれぞれベルの名称として生き残っていることが分かる。アスタラエルとも再会する。つまりアスタラエルとキベスは残ったということ?大死霊のクロールは元アブホーセン?
ライラエルは冥界の最奥に行き、過去へと向かう。そして敵を倒す方法を知る。ヘッジとの戦いは意外に呆気なかったのだけど、死から抗っているのは難しいのだろう。
「ここまで来た者はみな、一人で立ち向かわなければならないのです」犬はささやくように言ったが、星を見あげたまま、ライラエルの顔を見ようとはしない。「すべての人、あらゆる生き物に、死すべき時は訪れます。ある者はそれを知らず、またある者はそれを遅らせようとするでしょう。ですが、その事実を否定することはできません。第九門の星々を見上げれば、それは誰にもわかります。ライラエル、あなたが戻ってこられてよかった」
死をテーマに扱っているから、色々と考えさせられる言葉が多い。人は誰しも死ぬ。その運命から逃れられる人はいない。終わりがあるからこそ精一杯生きようとする。
そう思うと、ライラエルが一度は死のうと考えたことも大事なことのように思う。ライラエルが死ななかったからこそ世界は救われたわけで。
逆にライラエルが生まれなかったら全体の運命が変わって危機が訪れなかった可能性もあるのか?でもいつかはライラエルのような運命の子が生まれたんだと思うんだけども。
そうして最後の場面。サムは苦しいところでサブリエルに助けられる。
家族の集合。ライラエルは自分の姉夫婦と初めて会う。そしてクレアのサナールとライエルとも再会する。
サブリエルは敵を縛るサラネス。
タッチストーンは眠りを呼ぶランナ。
エミリアは声を与えるダーリム。
サナールとライエルは眠りを覚ますモスラエル。
サムは思考を操るベルガール。
ライラエルは哀悼のアスタラエル。
不詳の犬は聞く者を動かす力があるキベス
そして最後にイーラエル!モゲット!
本当にモゲット好きだな〜〜〜。
オラニスになぜだと問いかけられてモゲットは答える。
「生きていたいからさ」イーラエルは、いかにもモゲットらしい声で言った。「魚に鳥、暖かい日の光に涼しい木陰、麦畑のハタネズミに冷たい月の光。すべてーー」
このシリーズの要の部分に感じる。生きるってことはそういうことだよね。
そして最後にニック!やっぱり!よかった!
いや良いとは一概には言えないしこれから大変なんだろうけど。ニックは普通に寿命を迎えるんだろうか?それともずっと生き続けるのか?
実は後日譚や外伝があるらしんですが、なんと日本では未刊!結構経ってるんだけどもこのまま未刊のままだと悲しい。
刊行してくれないのかな〜そういうのって出版社にどう知らせればいいのかな?