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【赤川次郎】いもうと

有名な「ふたり」の続編が2019年に出ました!大人になった実加はどのように成長しているのか…?!

 

あらすじ

優秀な姉・千津子が亡くなった後、なんとか立て直した一家だったが、父の浮気が発覚する。母は不安定になり病院へ、父には新しい子どもができー。実加は高卒で自立することに決めてー?!

読んでみて

「ふたり」でもこれでもかというぐらい実加にひどいことが起こったけれど、今回もそう!

なんかもう幸せになってほしい…!と思ってしまう。

父がしっかりしてなさすぎてねー。不安定な母に浮気相手の子どもが産まれたことを言うなんて!と思ってしまう。父と距離を取ろうとする実加の気持ちが分かる。父も父でそこでもっと実加に関わればいいのに逃げたっぽいしね。

終わり方としてはハッピーエンド?ではあったんですが、結局のところ実加が千津子のような立派なお姉さん役割を与えられているだけなように思ってしまった。元々、千津子がいた時は千津子が子どもながらにして大人な役割を担っていて、それで家族がまわっていた。でも千津子がいなくなって、千津子がいなくなった悲しみや喪失とともに千津子の担っていた部分が空いてしまったせいで家族全体がうまく回らなくなってしまった。そこを実加が頑張って補っていたけれど、色々なことが重なって結局うまく回らなくなって、肝心の大人たちはみんな逃げてしまい…。

実加は一人でも自立していたけれど、そこに病気になった父と一人では自立するのが難しい義母と異母妹やってくる。美加はそこで金銭的な面も含めて千津子の大人バージョンの役割を担うことになり、そうすることで家族は安定する、というね。

客観的に見ると実加には逃げてほしい!と思う。天涯孤独は辛いけれども、大人には大人の役割があるから、それが実加が背負うのは違うように思ってしまう。

やっぱ前作も含めて大人たちが実加のケアをちゃんとしてくれなかったことについて怒ってしまうんだと思う。まあでも実加も大人になったのでね。不倫の道を歩まなかったように、父や妹たちとの関係も自分で決めていけばいいんだけどもね。

でもまあ、実加が千津子のような姉になっているのを見ると成長したなあと感慨深い。自分が「いもうと」だったのに、今度は姉になるなんてね。不思議だよね。