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文学系心理士の感想部屋

文学系心理士が好きなことを徒然なるままに書きまくるブログ。小説、NETFLIX、たまに心理学のことも♪

【本】黒い結婚 白い結婚 黒い結婚について

恋愛の短編小説。黒いバージョンが4話、白いバージョンが3話入っていて色々楽しめました。

でも黒いバージョンはわりとイライラしてしまったので、恋愛小説ってあんまり向いていないな〜と思う笑。

黒い結婚 白い結婚 (講談社文庫) [ 中島 京子 ]

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感想(0件)


順番に感想書いていきます!ネタバレ注意!

まずは黒い結婚から。

水際の金魚

結婚の悪いところを凝縮したような話!

理想が高くって受け身的な女の子が、白馬の王子様を待ち続けていたら婚期を逃し、悪い男に引っかかり、なんとか抜け出したけども大して好きでもない相手と流れで結婚し、浮気する、される…という話。

なんというかねー、主人公・ちづると似ている人が読めばめちゃ刺さるんだろうなと思うんですが、残念ながら似ていないのでイライラしてしまった笑。

まず恋人や結婚相手が欲しいなら行動すべきだし、少女漫画みたいに誰かに告白されるのを待つのもいいけど、残念ながら相手も少女漫画のヒロインではなくって人間なので、告白するのにも勇気はいるんですよ…。

これは素敵な女性に何もせずに告白されたいと思っている男性にも言えますが…。

好きなら告白してくれるはず!勢は、誠実な人を捕まえたいならこっちも好意をアピールしないと難しいと思う。じゃなかったら軽い人ぐらいしか告白されないと思う。

それにそもそもちづるは本当に恋人が欲しかったの?結婚したかったの?というのも曖昧。周りに流されているだけだよね〜と思ってしまう。

結婚という形が大事だからこそ、大して好きじゃない相手と結婚してしまって、ある意味それでゴールになってしまった感がある。

でも失恋した時の気持ちとかは分かる部分もあったかな、という感じです。

 

かっぱーん

これはなかなか予想の斜め上すぎて苦笑いしてしまった。

最初っから詐欺臭がぷんぷんしてしまって話が読めてしまう。どうやって騙されたのか気になって読んでいたんですが、騙され方は特にひねりがなく笑。

もっと結婚生活の内面の話が多いのかと思っていたけれど、あんまりそういうこともなく、今作は結婚の前の話でした。

こういう分かりやすい詐欺にも騙されてしまうくらい夢中になってしまうのが怖いよね。本当に信じている結婚ならいいと思うけども、身近な人や大事な人に紹介できない相手は、自分も変だと思っているわけだからやめた方がいいよね。

こういう詐欺って日本よりももっと発展途上国で起こっているだろうと思う。この主人公はあんまり理解していないけれど、理解した上で、でも今の生活をより改善するために結婚する人もいるんだろうな、と。結婚が女性のセーフティネットになっているのって良くないよね。その延長には10代前半で結婚させられる少女がいるわけで。

ホラーな話でした。でも一回のめり込んじゃうと周りが支持者ばっかりになってしまってそこから抜け出せないんだよねー。怖い。

 

愛の結晶

男性も子どもが産めることになり、女性と交互に生むと助成金がもらえるというディストピア社会!!なかなかに面白かった。やっぱディストピア小説は好き。

でも現実にこういう政策はないだろうな〜と思います。小説の中でも女性の首相が提案したことになっており、今の男性優位の政治の世界ではまずそこを達成しないと無理だよねと思ってしまう。

果たして女性の首相なんて日本に誕生する日は来るのか…?!生きているうちに誕生したらいいなあと思うけれど微妙そう。

男友達にはめちゃ言うけれど、妻には不満を言えれないっていうのも、やや女性優位社会っぽくなっているからなのかな?

でも妻は全然悪祖がなくて、自分の時はすごくあって…っていう感じだと恨めしく思う気持ちは分かる…。でも現状ではそういうのは全て女性が担っているんだなあと思うと不公平さが増すね。仕方ないのだけど、なんで自分ばっかり!って思ってしまう気持ちはあるよね。難しい。

それにこの社会では男性が人工子宮をつけた方が男性も子どもも負担が少ないっていう設定だけど、そういう可能性って現実的にはなさそうだよね。いつかのNETFLIXのドキュメンタリーで、ピルの開発の際に男女とも同じような副作用があっても、男性の場合は何もない状態で副作用が起こるのは良くないから開発できなかった話があったんですよね。副作用は一緒なんだけども。そうなると元々出産する予定のない男性に手術をするっていう前提自体が、女性よりも出産の負担がなかったとしても許されなさそうな気がする。代理出産も似たようなものだよね。

 

家猫

これが一番好きかもしれないー!良い意味?で裏切られた。最初は普通に猫を飼っているのかと思っていたんですが!

ちょうど角田光代さんのエッセイ読んだばかりだったので、「知らない人が来たら隠れる猫もいるんだよね、ふんふん」って読んでいたのが仇になって笑。角田先生のエッセイを読むまでは猫ってそんな忍者みたいに隠れるの上手だと思ってなかったんだよね。

最初は息子を持つ母親視点、息子目線、元嫁目線、現彼女目線が織り混ざっていて面白かった。人間は見たいものを見る。見たい見方でしか見れない。

息子目線と元嫁目線の食い違いがなかなかに酷かった。そりゃ現場を見ていないので本当にどっちが正解かってのは分からない部分もありますが!

元嫁別れてよかったね〜という感じ。コントロールしたがる夫だったんだな〜、と。そもそも対等に話し合いができていない時点で離婚した方がいいよね。

結婚って結構見栄でする場合も多いんだな〜と。古い価値観だなあと思うけど、今も根底にはあるよね。一見隠れているけれど。

現彼女は強かに生き残りそうなタイプ。でも絶対離婚しそうだよね笑。そして慰謝料をたくさんもらいそうな未来が…!


結婚?について考えさせられました笑。

次は白い結婚についての感想を書いていきます〜!

oljikotoushi.hatenablog.com