1巻目
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2巻目
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あらすじ
大学生になる春に美綾(みあや)の家に迷い込んできたのは可愛らしいパピヨン!ところがそのパピヨンが自分は八百万の神だと名乗ってー?!
読んでみて
あらすじだけ読むと「どういうこと???意味が分からない」ってなるけど、読めば荻原ワールド全開ですぐに夢中になります。
人間が世界遺産とか突拍子のない設定が多いイメージがあるけど、それ以外の周りがすごく固まっていてストーリーも登場人物たちもしっかりしているので荻原先生の作品は安定して楽しめる。
今作も1冊300ページくらいの作品が2巻出ているだけなのですぐに読めると思う。勾玉シリーズは分厚めなのでこっちから読むと入りやすいかもしれない。
荻原先生の作品を読むと先生って本当に古典が好きなんだな〜としみじみ思う。私としては神社のところとか神様のところとかちゃんと理解できていないところも多かったけども。やっぱ古事記からちゃんと読みたいな〜。
にしてもこれで荻原先生の作品は残すところ源氏物語のみになってしまった…。最新作を読みたい…。最新作を…。
以下2巻分のネタバレ含みます〜
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結構突拍子のない設定だと思ったけれど、すぐ慣れてしまった!パピヨンって犬種知らなかったのだけど、確かに可愛い!こんな可愛らしい犬を選ぶなんておもしろいけれど、理由としては理にかなっている笑。
RDGとは違って、主人公の美綾には不思議な力はない。今まで感じたこともないし、そういう世界とは無縁に生きてきた。ところがどっこい、パピヨンの中にいる八百万の神様がやってきてからが大変。
第一曲目はパピヨンのことがあるし不思議現象かと思いきや人間が怖いって話で、ちょうど樹上のゆりかごを読んだばっかりだったので似ているな〜と思いました。
一応心理学者なので、金縛りとか幻視とか幻聴とか聞くと現実的な見方をしてしまうことが多い笑。そういうワードを聞くといくつかの病名が頭に浮かぶし、微睡んでいる時に金縛りのような現象が起こることも多いのを知っている。
パピヨンと八百万の神様という超常現象を先に出しておいて、でもそれ以外の怪異は人間がやったこと、思い込んで見たこと、という作りがすごく面白かった。普通ってそういうことしたら物語が破綻しそうだけれど、荻原先生はものすごく丁寧に両者の違いを表現しているから結末がわかって逆にしっくりくる。
原因がなんであれその時にその人が感じていることは間違いではないんだよね。だから美綾が怖かった気持ちは本物。まあ実際なところは分からない部分もあるのだから、結局のとこは人間がどう意味付けるかに因るように思う。
パピヨンが八百万の神だと話すなんて人にとってはホラー以外のなにものでもない場合もあるし。美綾がモノクロを受け入れることができる柔軟性を持っていてよかったし、ポジティブに受け入れられるからこそモノクロは美綾を選んだのだろうな。
にしても大学生活がすごく羨ましく感じてしまう。日民研とか、そういうサークル入ってみたかったな〜もっと人とたくさん交流すればよかったな〜と思わずにはいられない。
同じような世代が特に利害関係もなく当たり前に過ごせる場所って大人になるとそんなに多くないような気がする。探せばあるのかもしれないのだけど、今みたいなコロナ禍だと余計に難しい。
美綾は人生に迷っているけれど、迷える余地があるほど未来に可能性があるということで羨ましくも思う。まあ実際に自分がその立場だったら早く安定したいって思うのだろうけども。
大人になってから思うと、子どもとはもう違うんだな、としみじみ感じる。大人と子どもの過程ってグラデーションだからいつからどこがどう、とは言えないのだけど。周りにいた大人が年老いてきて、自分がいつの間にか周りにいた大人くらいの年齢になっていて...。子どもを見るとすごく懐かしい気持ちにもなる。
いつか大人になると思っていたけれど、気がついたら大人になっていてなんだか寂しく感じる。
第二曲はよりオカルトじみてきて!
飛葉がね〜〜〜やってること最悪だし、永遠に美綾と結ばれないだろうけども、腐れ縁になりそうな予感がするし、式神と言うあたりがなんというかちょっと健気でかっこよく思えてしまった笑。
まあ本当のところは警察に突き出して欲しかったんですが…笑。でも最後の最後でちょっとキュンとしてしまった。
そして美綾が自分の変さに気づくところも良い!ある意味RDGっぽくなる。モノクロが美綾の元に現れた時点で、その意図がどうであれ神と対話できるわけで。何かの教祖になれる能力だからね。
続きは出てないけどあるのかな〜〜〜。読みたいな〜〜〜。