ソナンと空人4冊目。今回で完結です。
あらすじ
ソナンは祖国のトコシュヌコにて勤勉に働き、父のもとへ帰ることに。このままここで生きていくと思っていたソナンだったが、弓貴から来た使者の名前を聞き、激しく動揺してー?!
読んでみて
1巻目を読んだときよりも、巻を重ねるごとに面白くなっていく。ソナンもちょっとずつ成長もしているしね。
全体を読んでみると、ソナンという一人の人生を描いた物語っていう感じでした。
以下ネタバレあるので注意!
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なんとなーく予想はしていたけれど、トコシュヌコに来ていた使者はナナ。ソナンが考えて実行した計画は面白かった。そんなうまくいくか?とも思うけどもね。
でも離れ離れだった二人が再び会えたのはよかったし、ナナの気持ちも知れてよかった。でも、そこから急に不穏な動きに巻き込まれていくのにはびっくりしました。この後どうなっていくの?!って。
ソナンは汚いところも自分勝手なところも多い。人間らしいんだけど、あんまり葛藤しないからソナンにそこまで寄り添えなかったのかな、と思う。ソナンって基本的には感覚的な部分で物事を考えているから、あんまり葛藤しないのだよね。
ソナンの中ではトコシュヌコよりも弓貴の方が上なのは変わらなくって、だから表面的には悩んでもそっちを選ぶのは決まっているようなもの。
今回の内乱に参加するかどうかにしても、ソナンは元々今の王家に不満を持っていて、その時点でソナンがそっちを選ぶのは当たり前のように決まってしまっていて。でももっと一般的な人間はそこでもっと悩むはずなんだよね。
執事のこともちょっと言っていたけど、今まで関わってきた人たちが傷つくかもしれないことをやるわけだから。それに失敗した場合、ソナンだけでなく弓貴も窮地に立たされるように思う。もうちょっとそういったことに対する怖さとか罪悪感とかそういうのがもっとあってもいいはずなんだけど、自分と自分の大事な人が良ければ良し、っていう部分が強いのだよね。向こうみずというか。
だからこそ六樽様がソナンに怒ったのは当然のことのように思う。ソナンは自分が大事だと思った相手にはとことん尽くすけどそうじゃない相手にはすごく冷たい。それが極端すぎるようにも感じてしまう。
弓貴でもトコシュヌコのような反乱はいつか起こるだろうし、やる側から見ればそれは正当なものになるんだろうな。王族についての描写はほとんどなくって、もしソナンが王族と仲が良かったらこういう展開にはならなかったように思う。まあでもそこが六樽様とトコシュヌコの王族の違いなのかもね。
4冊とも結構すぐに読める作品なのでおすすめです。でもソナンの葛藤とかがもうちょっとあったり、スローペースな展開でもよかったかもと思う。ソナンの生き様が性急だからか本作も展開が結構早くって。もうちょっとこの世界を堪能したいと思えたのでね。
沢村先生の作品は今作が初めてだったので他の作品も読んでいこうと思う。