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【荻原規子】薄紅天女

荻原規子紅天女

やっと荻原先生の勾玉シリーズ3部作全部読めたよー!!予想通り最高だった!やっぱ荻原先生の描くファンタジーが好きだな〜ってしみじみしたよ。

薄紅天女 [ 荻原規子 ]

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あらすじ

東の坂東の地で、阿高(あたか)と同い年の叔父・藤太(とうた)は双子のように育った。だが阿高には出世に秘密があり、二人は離れ離れになってしまう。藤太は阿高を追うことにするがーーー?一方、長岡の都では物の怪が跳梁し皇太子にも影響を及ぼしていた内親王である皇女・苑上(そのえ)は兄である皇太子のために自分も力になりたいと考えていたが、都から離れるように言われてしまう…。少年と少女が出会った時物語は変化し始めーーー!?

 

読んでみて

この作品の本に載っているあらすじってかなり全体的なあらすじを描いてるから、読む前にそこを読むとネタバレになっちゃうの。それが嫌だからあらすじを全く読まずに読んでいたら、「あれ?主人公が男の子二人??可愛い顔ってなってるから実は女の子だったり?」って最初は考えちゃってました。

だって勾玉シリーズってみんな主人公女の子だったし、やっぱ荻原先生が描くのは素直だけど芯が通ってる「女の子」って思ってたから、主人公が本当に「男の子」ってわかった時はちょっとショックだった笑。

でも勾玉シリーズと似ている「風神秘抄」も主人公は男の子だったけどかなり好きになったことを思い出して、なんとか納得させたよ。実際読み進めてみたらどんどんのめり込んでいってすごく夢中になったし、なんだかんだ途中からは女の子視点でも描かれていたし。でも最初は本当に男の子ばっかりだった!笑。

物語の時代背景

歴史の舞台としては奈良時代から平安時代にかけて桓武天皇の時代。「泣くよウグイス平安京」のあたり。歴史上の人物として桓武天皇平城天皇嵯峨天皇藤原仲成藤原薬子坂上田村麻呂アテルイがあたり出てきて、名前は知ってるけど具体的にはけっこう忘れていたので調べつつ読んでたよ。久しぶりにこのあたりの歴史を思い出した。この作品としては平城天皇嵯峨天皇が良い感じに終わるけど、歴史的にはそうじゃないから、その辺りは悲しくなったな〜

仲成とレアンドラ

そして面白かったのは藤原薬子藤原仲成が同一人物になっていたこと!女の子だけど男の子の格好をして登場していて、雰囲気としては「西の善き魔女」のアンドラすごくイメージがかぶった!西洋系ならレアンドラ和風系が今回の仲成なんじゃないのかな〜。ただどうしても今作は昔の時代が土台だから女の子が堂々と自由に動くことができないのが残念だった男の子の格好をしないと動けないのは悲しいよね。それに苑上も本来なら自分の姿を男に見せちゃダメだし、自分も男を見ちゃダメなんてすごく窮屈だと思う。内親王として生まれてものすごく上の地位にいるのに女の子っていうだけで微妙な立ち位置で逆にその地位のせいで生きづらいなんて辛いな〜と思う。天皇になるのも大変かもしれないけれど、何者にもなれないのも大変

更級日記

モチーフとなった「更級日記」も作者の名前が菅原孝標女(むすめ)であり、本名が分からないこと自体がその時代の女性の扱われ方を表現してると思う。この表記ってひどいと思うよ。だって夫か父親の所有物ってことじゃんね〜。だから苑上が一度は死のうと思って外の世界に飛び出して行った後に、また元の世界に戻るのは辛かったのは当たり前のように思う。やっぱり人間って生きている実感がないと辛いよ。お金持ちで地位があってもそれを自由に使えないなら意味ないからね。

ただ拐かすっていう結婚の仕方ちょっと物騒だな、と思った。でも父親が絶対だと反抗するためにはそれくらいしないといけなかったのだろうな、とは分かるけどね。でも本当に拐かす結婚の仕方もあるから、ちょっとそれを連想してしまって怖くも感じた。

阿高と藤太

阿高と藤太の友情は絶対で、白鳥異伝」遠子と小倶那の関係性と似ているように感じた。でも阿高と藤太は友人関係だしずっと仲間っていうのが男女の関係とは違っている。一貫して藤太は阿高のことを思っているし、阿高も藤太がいたからこそ自分を保つことができていた。やっぱ友情っていいな〜と思わせられたよ。同じく広梨と茂里との友情も絶対で、命をかけてついてきてくれる仲間がいるってすごいよね。友達のために付いてくるっていうのが「指輪物語」のホビットたちを思い出させたよ。そういう友情作りたいな〜〜〜ってしみじみ思う。

藤太と千種

初めの方からカップルだったのはこの二人だけで、でもすぐ離れ離れになっちゃったのだけど、藤太が生きるか死ぬかの時に千種が出てきた場面が本当に泣きに泣けた。作中でも最初の場面以外は千種が全然出てこなかったから、何をしているのか分からなかっただけど、藤太のために機織りをしながら祈ってたなんて!めちゃ健気だよね。最初の方でけっこう呆気なく人が死んだりしたので、藤太のこともどうなるかハラハラしていて。でも千種が出てきたことでホッとできた

苑上と阿高

このカップルは本当にカップルになる?!と思っていたのだけど、最後の方に苑上が阿高と一緒に死のうとするのって史上最強の告白だなって思った!このシリーズって全体的に愛が重い笑。だからその後苑上がけっこうあっさり引こうとするのに逆にびっくりしたよね。でもまあそれで終わるはずがなく…笑。最後はうまくまとまって本当によかった!ちゃんと竹芝伝説になってよかったよかった!

最後に

いつものように荻原先生の描く作品は登場人物がみんな魅力的で!敵も味方も関係なく魅力的なのね!それはみんなそれぞれ自分の意思を貫いて行動しているからこそ敵であってもなんか憎めない。史実では悲しいことになっちゃうキャラクターもいるけど、でもみんな好きだしみんな幸せになって欲しいと思う。

この作品はあんまり今までの勾玉とはあんまり繋がってなかったのはちょっと残念には感じたかな。勾玉シリーズはどれも好きなのだけど、一番好きなのは「白鳥異伝」かなあ。遠子が小倶那を倒そうとするために追うっていう関係がなかなかないし、最後どうなるのかすごくハラハラしてみてたんだよね。でもどれも好きです!荻原先生の本も着実に読んでいるのでまたどんどん読んでいきたいよ思う!

ちなみに古事記をちゃんと読みたくなったのでこの本を買ったよ。また読んでいこうと思う!

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感想(1件)

 勾玉シリーズと似ている「風神秘抄」についてはこちら↓

oljikotoushi.hatenablog.com