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【浅田次郎】憑神

浅田次郎憑神

映画にもなっていて有名な作品!なんとなーく話は知ってたのだけどオチは知らなかったので、「最後はどうなるんだろう?!」とドキドキしながら読めたよ!

 

あらすじ

時は幕末、処は江戸貧乏御家人別所彦四郎は、文武に秀でながら出世の道をしくじり、夜鳴き蕎麦一杯の小遣いもままならない。ある夜、小さな祠に神頼みをしてみると、霊験あらたかにも神様があらわれた。だが、この神様は、神は神でも、なんと貧乏神だった! 

 

読んでみて

知らず知らずに拝んだ神社がなんと三巡神社(みめぐりじんじゃ)で、貧乏神から始まって疫病神、そして最後は死神もやってくる!というなんとも可哀想な話。手を合わせてもとんと願いを叶えてくれない神社も多いのに、ここの神社はすぐに願いを叶えてくれるという働き者

ただそんな気もなかった彦四郎は、困ったことになってしまう。というかこの神社に自分からわざわざ拝む人なんて滅多にいないだろうし、そもそもどういう経緯でできたのか気になる。こんなに効果があるならそりゃ噂が立って藪に隠れるようになるよ

最初はコミカルな感じでコメディっぽくて、最後までこんな調子でいくのか?!さすがに3回似たようなこと繰り返すのは微妙では?とか色々思っていたら最後は彦四郎がすごく凛々しくなっていってびっくりした!

ただただ出世お金を願っていた彦四郎が自分のすべきことを見つけてそこに命をかけるという成長がすごい。

幕末の時代だから色んな生き方を選ぶ人がいる中で、彦四郎がしたことは彦四郎にとっても新しく作る国にとってもちょっともったいないような気もする。でも新しい時代に追随する人もいれば古い時代にそのまま残る人もいてもいいのかもね。彦四郎の言ってることはちょっと屁理屈っぽく感じるけど、何百年も続いていて当たり前だと思っていたことが覆ったら、すぐに適応できる人なんてそんなに多くないんだと思う。ただ多くの人はなんとなく流されていつの間にか慣れていくだろうけど、彦四郎みたいな人間はそこで自分をごまかせないんだろうなあ

幕末ってそんなに好きじゃなかったのだけど、また改めて調べたりしてるとおもしろいのかなあと思ったり。ただ歴史ってもう決まっていることだからこそちょっと悲しくなるよね。