文学系心理士の自己投資ブログ

文学系心理士の感想部屋

文学系心理士が好きなことを徒然なるままに書きまくるブログ。小説、NETFLIX、たまに心理学のことも♪

【NETFLIX】オンライン・ラブ

NETFLIXオンライン・ラブ

NETFLIXで観る!性&恋愛について第3弾!これが一番大人な作品だと思う!

2作品はこちらから↓

oljikotoushi.hatenablog.com

oljikotoushi.hatenablog.com

6作品のリミテッドシリーズ。それぞれ内容が濃くておもしろい。特に印象に残ったのは「5.チャット・レディ

「1.女性上位」

ポルノ作品は支配的な映像が多くを占めているらしい。老齢なカメラマンの女性・スーズが紹介される。当時男社会だった現場に女性だからと蔑ろにされながらも参入していってプレイボーイ誌で働いた初めての女性だった。そうやって切り拓いていったのは本当に尊敬する。女性モデルが主にも関わらず、カメラマンもみんな男性ばかり。元々スーズはモデル側だったけれど、撮影側は男性ばかりで怖くて固まってしまうことが多かった。だから自分がカメラマンになることにした。すごく肝の据わった人だと思う。

そういう現場で働く女性モデルはすごく大変だっただろうな。スーズの娘は絶対に女性が侮辱される映像は撮らないと言っていて、本当にそれってものすごく重要なことだと思う。


「2.アプリで愛して」

これはアプリで恋人を探しまくっている男性が主人公。なんとなくオチがみえてしまうのが残念だったけど、でもまあ実際に男性が少しずつ自分に向き合えるようになっていくのはよかった。

多くの人がアプリで出会っていて、連絡してすぐに会うこともできる。お金も名声もある彼にとっては人と対等に向き合う方が怖くて不特定多数の相手に逃げてしまっていた。

相手を切る時にアプリのメッセージだけで簡単に切ろうとするところが現代だなって感じる。女性側がちゃんと話し合おうと掛け合った時に、男性側はものすごく面倒くさそうなのが印象的だった。確かに会っても復縁するわけじゃないから面倒なのは分からなくもないけど、相手のことを生身の人間だって思ってなかったんだなって感じがする。ゲームの相手みたいな。切っても別の相手がいるからって。自分がもう切りたいと思っても相手が同じ気持ちとは限らないし、相手と対話せずに一方的に切るのって逃げだよなと思う。


「3.自分の責任」

これは本当になかなか辛かった。若くて健康で魅力のある女性なら誰でも入れるのがポルノ産業。でもそこで生き残るのは一握りで大抵問題を抱えて消えていく、っていうのが怖い

最初はウブな感じというか、田舎から出てきたばかり、兄弟の学費のためにお金がいるとかでまだあどけない印象だったし、最初はみんな撮影は一人のみ、または女性の絡みのみって感じだったのに、途中から男性の絡みもOKにしたりしていて、それも本心からってよりはなんか投げやりになっていた。だんだん精神的に病んでいくのが観てて辛かった

やっぱり心身ともにものすごく負担のかかる仕事なんだな、と。そしてなにより、そういう女の子たちをさらに食い物にしようとしている人たちがいるのが怖かった。ご飯だけでお金をもらったり。でもそんなのご飯だけじゃ終わらないよって忠告されても結局響かず...。お酒をたくさん飲んだり、ドラッグ漬けにしたりとか。

そういう人たちに食い物にされないように主体的に自分を持ってやらないといけないけれど、心身ともに擦り切れる仕事だからこそ中々うまくいかない。元々こういう業界に入る子たちは困っている子が多いしね。たくさんの女の子たちが消えても、またたくさんの女の子たちが集まってきていて、めちゃ怖い業界だと思う消えていった女の子たちもみんな人間なのに


「4.クライマックス・シーン」

この回はポルノ俳優へのインタビュー。黒人の男優が「人種によって給与が変わる唯一の業界」みたいないことを言っていてなかなか衝撃的だった。つまり人種が異なる者同士の撮影だとギャラも変わってくるということ。需要があるのは白人女性と黒人男性カップルらしくてなんとも言えない気持ちになった。黒人女性と白人男性じゃないってところが差別の歴史の上に成り立っているんだなって感じる。だって昔から黒人と白人のミックスの子どもはいたけど、それは決して白人女性と黒人男性の子どもではなくて、黒人女性と白人男性の子どもだったわけで…。そして白人女性と黒人男性のカップルは昔は絶対にあり得なかった。だって殺されるからね。有名な事件で黒人の少年が白人の女性に色目を使ったって言われて殺されてしまったことがある。そういうことはいくらでも起こっていたわけで、そういう状況にならないように黒人男性は白人女性に目を合わせないようにしていたらしいからね。「青い目がほしい」でも白人男性からみたら黒人男性のことを人間だと思っていないんだなって描写がたくさんあったし。だからこそ今でも白人女性と黒人男性のペアだと禁忌的な感じがしてポルノでは人気なんだろうね。表面上は人種差別はなくなっても結局は人種差別が根強く浸透しているんだなって感じた。


「5.チャット・レディ」

これが一番印象的だった!webカメラを通じてチャット・レディをしているアリスとその彼女の長年の客であるトムとの話。長年の間に2人には絆が芽生えていくの。

男性側がオーストラリアに住んでいて、お金を貯めてアメリに住んでいるアリスを招待するのね。驚くことにアリスもそれに乗り気で!もう絶対にやめるべきだよーーー!と何度も思ったことか!アリスの友人からもやめた方が良いって言われているのに結局行っちゃって…。

2人の間に友情が芽生えたのは否定しないし、長年交流を持っていたから大切な存在になるのは分かる。でも前提としてお互いお金の上で成り立っている関係ってことは忘れちゃダメだと思う。特に普通の商売と違って彼女は一時的だけど自分自身の身体や時間を売っているわけで。しかも微妙なのは本来であれば親密な相手にだけ行うことをお金で提供しているわけなんだよ。それってものすごく微妙だと思う。だってもし本当に友達になったとしたら友達相手にチャット・レディはやらないはず。でもトムとしては今までできていたことが親密になったからってできなくなるのは不本意なわけじゃん?

それにトムは本当にアリスのことが好きで、友情とかではなくラブなんだよ。トムの周りの友達はすごく心配していて、悪い女に騙されてるんじゃないかって思ってる。普通はそう思うよ!と思う。だってアリスにめちゃお金をつかっているし、オーストラリアまでの旅費もトム持ちだし。仕方がないのかもしれないけど、アリスはトムのことを友達って言っているわりには何回もチャットに誘ったりしていて。商売なんだから当然なんだけど、でも本当に友達って思ってるならひどいなって思ってしまう。

あとはアリスに夫がいるのもなかなか衝撃的だった。夫も理解しているって言うけれど、雰囲気的にはあんまり納得していないような感じがするんだよね。特にトムに会いに行くのは本当は嫌そうだもん。アリスは夫としっかり話し合うべきでは?と思ってしまう。

お金を介している関係性で、それ以上の関係を築くなら一旦今までの関係は白紙に戻さないとうまくいかないと思う。新しい関係と前の関係が混ざっていると混乱する。アリスも結局チャット・レディとしての自分から抜け出せなかった。トムもどうしてもアリスじゃなきゃいけないってことはなかったんだと思う。近くにいる生身の人間と親密な関係を築いていって欲しい。


「6.撮影をやめないで」

レイプされている友達の動画を撮り続けた女の子へのインタビューっていうなかなかショッキングな回。この話だけ聞くと完全にこの子が悪いと思うし最悪だと感じたんだけど、事件の背景がだんだん分かってくると現代の闇が浮き出てくる

動画を撮り続けたのは問題だし、被害者の子からすると本当に最悪な状態だと思う。だから実刑判決になって性犯罪者として登録されるのも仕方ないと感じた。

でも微妙な点がいくつか分かってくる。1つは被害者の友達は未成年、加害者の少女は18歳で成人ということ。2つめは事件当日に酔っていたため判断力が鈍っていたこと。3つめはなんでも動画にあげる時代で、最初は自分のことを動画にあげていて、最終的に友人も写ってしまったこと。

18歳かそうでないか、たった数ヶ月の違いでも成年か未成年かで刑罰は大きく異なる。成人だからこそ加害者の男性の共謀者としてみられて20年の実刑判決、さらに性犯罪者として登録される可能性が高くなってしまう。性犯罪者として登録されると就職はもちろん今後の人生において圧倒的に不利になる。

友達が助けを求めていたのは明らかなのにその映像に自分も写ろうとして自撮りのように撮影していた。その事実はショッキングだしメディアにバッシングされてしまったのも分かる。彼女が使っていた動画サイトでは今回の事件と同じような動画やより過激な動画がたくさんあったらしい。そういう環境の中でハードルが下がっていたこと、ネット配信が身近になって1日の動画をずっと撮っていたこと、お酒も飲んでいて適切な判断ができなかったこと…。ちょっとでも違ったら今回の事件は起きなくて友達も助けることができのたでは、って思ってしまう。

最終的には性犯罪者として登録されることもなく、犯罪記録も10年で抹消される。でも最後に弁護士の先生が「そんなことになんの意味があるのでしょうか。メディアに載った犯罪記録は消せないのに。」と言ったのが心の残り。デジタルタトゥーっていう言葉があるけれど、一度ネットの海に出たことは永遠に消せない。もし将来彼女のことを誰かが調べればきっと簡単に今回のことが分かるだろう。

今回みたいなコロナ禍の中ではメディアがあって人と繋がれることはとてもありがたいけれど、でも同時に怖さもあって…。うまく付き合うのって難しいな、と感じる。