文学系心理士の自己投資ブログ

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【小野不由美】東の海神 ⻄の滄海

小野不由美東の海神 ⻄の滄海


十二国記3冊目!1巻で出てきた延麒と延王(尚隆)主役に!

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感想(28件)

1巻目で出番が少ないながらも強烈な存在感を出していた2人。延麒をみて子どもみたいな麒麟もいるんだと驚いたりした。この2人が主人公の物語は絶対おもしろいだろうな〜と思っていたので改めて読めたのは嬉しかった!ただ扱っている内容としてはかなりヘビー。私たちは今民主主義の世界に生きていて、でも十二国は王朝で、そうするとどうしても疑問に思ってしまうことを延麒が考えてくれている

 

十二国記1巻、2巻はこちらから↓

oljikotoushi.hatenablog.com

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あらすじ

延王尚隆延麒六太誓約を交わして20年。国土にはやっと緑が戻り、人々は少しずつ希望を持てるようになってきた。そんな折、延王尚隆のやり方に反旗を翻す者が現れ麒麟・六太を誘拐する。どちらが国のため、国民のためになるのか延麒は葛藤するがーーー?!

 

読んでみて

麒麟とは何か?

泰麒の時(2巻)は麒麟としてのアイデンティティを受け入れる話だったけど延麒は麒麟としての役割を一旦は受け入れていて、でも麒麟として生きることには抵抗がある状態なんだと思った。王を選ぶのは天命なので、麒麟は逆らえない。実際に泰麒の時も延麒の時もその役割から離れたくても離れることはできなかった。だから王はどうあがいても選ぶしかないのだけど、王を選べば麒麟として葛藤なく生きれるようになるかと言えばそうじゃないことが分かる。泰麒が色々悩んでいたのは長年こちら側にいたからなのかな?と思う部分もあったけどそうじゃなくて、麒麟は多分みんな悩んでいるんだろうな。王みたいに上に立つ者の考え方(大きな災いを防ぐために小さな犠牲を払う)はできないから、そりゃ悩みは尽きないよね。

元々麒麟は慈悲深い生き物な上に延麒は室町時代に生まれて戦乱に巻き込まれ悲惨な目にあったという過去があるから余計に戦争や王というものを嫌っている細川氏と山名氏とか久しぶりに聞いたので調べ直したよ!昔は親とかが勉強内容聞いても分からないと一回勉強したのになんで?!って思ったりしてたけど今なら分かる。人は忘れるんだ!昔は歴代の将軍の名前とか全部覚えたのに。ちゃんと調べ直したおかげで延麒が生きていた時代が理解できた。今現在ではなかなか考えられない状況だよなあ。

 

王とはなにか?

延麒は王というものを信頼してなくて、自分が選んだ延王のことを国を滅ぼすとまで言っている。延王のことを信じられないというよりは、王朝制そのものを信じられない

↓延麒の言葉にめちゃくちゃ頷いた。

「おれはそもそも王などというものは、いないほうがましなんじゃないかと思ってる」

「民の主は民自身だけでいいんじゃないのか。上に権を置けば、権は民を虐げるーーーそういうことなんだろうと思う」

 

人はいつか道を外れる。それは十二国王が必ず変わっていくのと同じことで何百年も治めた賢王でさえ、今いないということは道を外れてしまったからに他ならない

でもそれも仕方がないように思う。延王でさえ陽子と会ったときには500年。人間でなくなった彼らには寿命がないため果たしてあとどれほど国を保ち続ければいいという制限がない。

文字通り永遠なわけで、それって長すぎるように思うし終わりがみえないと気力もなくなる。延王の場合はまだまだ高い目標があるみたいだし当分は良かったとしても今後どうなるのか分からないずっと高い志を持ち続けるのって難しい部分があると思う。永遠の命って聞こえはいいけどいつか絶対あきるよね。賢王が愚王になるのも王として生きるのにうんざりしてもそこから抜け出せないっていうのも理由の一つのように思う。巧国の王もこっちの王なら周りから惜しまれながらも引退して余生を過ごしていたはずで、そうなっていたらわざわざあんなことしなかったと思う。永遠に王として頑張り続けて、既に豊かな国との差は同じく永遠に変わらないのなら私だってうんざりすると思う。だからと言って国民を犠牲にしたり全く関係ない陽子を傷つけていいわけではないけどさ。仙人になるのって良い部分もあるけど絶対悪い部分もあると思う。そう思うと人間の寿命って意外にちょうど良かったりするのかもね。でもちょっと短いか。生きたい人は200年くらい生きれたらいいかも。笑


飄々とした王様

尚隆は一見何も考えてなさそうで、でも実はものすごく考えている王様。まあ王道だよね!笑

従者へのあしらい方も上手だな〜と思う。あと尚隆の家臣たちも個性派揃いで面白い。これを読んでから次の巻の陽子の周りをみると延王はものすごく恵まれてたんだなあ、と思う。蓬莱でも一応後継だったからね。そこが陽子と違うよね。尚隆は王が治める世界に馴染んできた人で、そうやって生きていた人だから王になることが彼の生きがいというか人生の目標なんだろうな。でも延麒は王のせいでひどい目にあったから王の存在意義が分からない

最初、2人はすごく息のあったパートナーなのかと思っていたけれど、意外にも延麒が葛藤していて、その延麒のパートナーが尚隆なのってなんというかちょっと皮肉にも感じる。でも延麒は尚隆と一緒にいることでちょっとずつ癒されていっているのかなあとも思ったり。

尚隆は本当に真っ直ぐで、王道の主人公って感じたがしたけど、最初は「なんか良いこと言っている!」って思っていた斡由はだんだんひどい悪者になっていく。尚隆と斡由の好感度はなんか反比例していったよね。

かっこいい尚隆の言葉↓

「民のいない王になんの意味がある。国を頼むと民から託されているからこそ、俺は王でいられるのだぞ!その民が国など滅んでいいと言う。では俺は何のためにここにおるのだ!」


尚隆は民のために王でいるわけで、そこが雁が長い間豊かになっている所以なのかな、と。そして尚隆と延麒の約束も感動する。延麒は尚隆に託すことにしたんだよね。それぐらい尚隆のことを信用できたんだろうな。