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【江國香織】きらきらひかる

江國香織きらきらひかる

 

あらすじ

お酒が好きで情緒が不安定な笑子は、医師であり同性愛者である睦月と結婚しているが、それは形だけのもので睦月には結婚前から紺くんという恋人がいる。しかし、笑子は紺くんとの話を聞くのが好きで、紺くんと不思議な関係を築いていく。三角関係の行く末はーーー?

きらきらひかる (新潮文庫)

きらきらひかる (新潮文庫)

  • 作者:江國 香織
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1994/05/30
  • メディア: 文庫
 

 

読んでみて!

江國香織さんの作品読んだの初かも?!1冊くらいは読んだことあるかもしれないけど覚えてない...心情の描写がすごく丁寧で、曖昧で気まぐれな心のうちがちゃんと言葉になっていてとても共感できた。笑子のあのどうしようもない気持ち、ものすごくわかる。ああやって文章化できるの本当すごいな〜。自分でもあやふやな感情だったのに、あの時の気持ちってこれだったんだ、ってなるのね。これだから本読みはやめられない〜〜〜


ただ気になる点もいくつかあったので書いてくよー!

1つは、これはもう時代だし仕方ないんだけど『ホモ』っていうのがね...『ゲイ』って書いて欲しかったなーーー。もはや生きてる時代が違うので仕方ないんですけどね...そこがちょっとモヤッとポイントだった。

もう1つはこれも似たようなことなんだけども、ゲイだからって偽装結婚しなきゃいけない意味が1ミリも分からなかった。これはもう時代なんだろうと思うんだけどさ。理由は分かるよ?世間からの目両親からの圧力自分らしく生きるためのカモフラージュお見合い疲れ、とかなんとかね。実際お見合いの場で2人が恋愛的かどうかは別として惹かれあったのは確かだと思うし。でもさー、好きな相手がいて付き合ってるのに別で結婚するって私はクズだと思ってしまったよ。途中で睦月が笑子も紺くんも傷ついているのに気づくんだけどさ、そりゃそうでしょ以外言うことないよね。睦月が一番曲者な気がするよ。何もかも諦めれなくてどっちも取ろうとしているからね。

別に複数人の恋愛関係を否定するわけじゃなくて、そういう付き合い方もあるし。でも彼らの場合は元々そうなわけじゃないじゃんー。紺くんはさ、睦月にわりとありのままの自分を出せるわけじゃん。睦月も紺くんには出せる。でも睦月と笑子はそうじゃないんだよね。それは結局歪な関係が元になってるからであって、全員が対等じゃないからだと思う。複数人で恋愛するなら対等さはすごく重要になってくる。でも元々睦月と笑子の関係は恋愛関係でも愛情関係でもない現実的な利害の一致から始まってる。そこにはもちろん好意はあるし、信頼関係は構築していけているんだと思う。でも結局笑子があんなに不安定になるのも(元々不安定な子だったとしても)、睦月がいつかいなくなってしまうように感じて不安になるのは紺くんが上で笑子が二番手っていう関係性故なんかじゃないのかと思ってしまう。性交渉も含めて2人に対等に接することができないなら結局は笑子に甘えていることになるんじゃないのかなーと思ったり。果たして薄氷の上にいる3人はにはどんな未来があるのか…どういう未来を築いていくのか…真正面から向きあったらその薄氷は絶対割れちゃうだろうからな〜

睦月の相手は紺くんっていう男性だけど、これが女性だったらまた全然違っていたように思う。結婚できない理由なんてなんだってあるんだから、もし紺くんの立場が女性だったら、笑子は結婚しただろうか?と思ってしまう。読み手や書き手にもそういう部分はあるように感じる

やっぱり、平成の初期の考え方と令和の考え方の違いなんだな〜という感じ。普段NETFLIXで多様性が自然と描かれている作品ばかりみているのでね…。だって普段みているのって話の流れとは全く関係なく、お父さんが2人とかお母さんが2人とか出てくるからね。ゲイだからって偽装結婚する意味が分からないのは当然だよね…。昔の身分とかが違って結婚できなかった〜が分からないのと同じようなものだと思う。あと10年経ったら多分睦月が恋人と結婚せずに違う人と結婚した意味が本当に理解できなくなる人ばかりになると思う。そういう世界にどんどんなって欲しい〜!


結構辛口になちゃったけど、前提がちょっと引っかかっただけで、小説自体はとても良かったし、他の作品も読みたいなって思えたよ。心の残った文章はこちら。


睦月みたいに善良な人には何でもないことなのかもしれない。やさしさとか、友情とか、家族としてとか、それだけのことなのかもしれない。それでも私は、ときどきたまらなく苦かなしくなるのだ。全身が、哀しい果物のようになってしまう。髪をなでてくれる手のひらやピアスをさしてくれる指先が、私の邪気を責めたてる。


こういう感覚って感覚として理解していてもちゃんと文章にはできないから、こうやって文章でみると、あの時の感覚ってこうだったんだ!って気付ける。他の誰かも私と同じようにどうしようもなくせつない気持ちになったりしてるんだなってちょっと安心できるこの世界で孤独なのって私だけじゃないんだなって