文学系心理士の感想部屋

文学系心理士が好きなことを徒然なるままに書きまくるブログ。小説、NETFLIX、たまに心理学のことも♪

宮部みゆき・上橋菜穂子・荻原規子が好き!

最近読んでいる3人の作家さんについてまとめてみたよ。

宮部みゆきはずっと読んでるんだけども、ここ最近「上橋菜穂子」の作品も読み始めてみごとにハマった!その続きで「荻原規子」の作品も続けて読んでみて、3人とも素晴らしい作家さんなのだけどどこか似てるようで似ていない部分を感じたのでまとめることにしてみたよ。

 

宮部みゆき」はこのブログでも感想書いているけどミステリー作家。不思議な話やSFものも数多く書いていてオススメは「三島屋変調百物語」のシリーズ。私は時代劇物の不思議な話が大好物なのですごく好き。

 

上橋菜穂子」は「精霊の守り人」シリーズや「獣の奏者」「鹿の王」などの長編ファンタジーを描いている作家。文化人類学でもあるので物語の下地がとても綿密で壮大。一冊読むと次から次へと読みたくなることまちがいなし。

精霊の守り人 (偕成社ワンダーランド)

精霊の守り人 (偕成社ワンダーランド)

 

 

荻原規子」は日本を下地にしたファンタジー作品を多く描いている。「空色勾玉」から始まる3部作や「レッドデータガール」など課題に直面し迷いながらも乗り越えていく少女が主人公に勇気づけられる!

空色勾玉(そらいろまがたま) (〈勾玉〉三部作第一巻)

空色勾玉(そらいろまがたま) (〈勾玉〉三部作第一巻)

 

 

そんな作品を描いている作家さんたちだけれど、それぞれの作家さんの特徴を挙げていきたい。

 

上橋菜穂子

上橋菜穂子は、世界自然動物植物政治だったり精霊などの実態のないものや異なる世界、そういうものの中での人間を描くことが多いように感じる。つまりこの世界の全部を。言い方を変えるとこの世界だけではなくあらゆる世界を全体としてみていると思う。世界っていうのはとても強大だしそこにいる主人公たち人間はとてもちっぽけな存在だ。でもそんなどうしようもない抗えない世界の中での人を描くのがとてもうまいとしみじみ感じる。抗えない世界の中で考え、悩み、葛藤しながら生きていく様を全体の一つの物語として描いている

上橋菜穂子の作品を読むと、自分自身も世界のある一点に存在しているように感じる。過去や未来や文化なんてあんまり意識してなかったけれど、自分の祖先がいて文化があって、暮らしがある。当たり前に感じている文化はその土地の環境、気候、食物によって大きく左右されてきたことが分かる。何気なく暮らしているけれど、違う視点からみると異質だったりすることもあるんだとと感じる。

この世界には色んな人が暮らしていて、どの文化も何かに根付いていてどれも大切なんだと実感する。でも流れの中では滅びゆくものや廃れていくものや変わらなければいけないものもある。どうしようもなく抗いたくなるけれど、上橋菜穂子抗う人も描けば上手く適応する人も描く。どちらが良いとか悪いとかはない。彼女は色んな価値観を色んな視点から描いてくれる。ただありのままに。もちろんその中にいる人間は葛藤する。主人公だって葛藤する。葛藤しながらも折り合いをつけながら暮らしていく様子を描いている。

魔法みたいに何もかも手にすることはできないけれど、彼らなりに挑戦し、彼らなりに折り合いをつけるところを探していく。長い人生の中の一つの流れをみせつつも、世界全体の流れも見せてくれる作家だと思う。多角的視点を教えてくれる作品だと思う。日本に住んでいると0か100か正解か不正解かで考えがちだけれど、人生はそんなに単純ではないし、そんな基準はあやふやなものでしかないんだと主人公の目を通して知ることができる。とても重要なことを教えてくれると思う。


宮部みゆき

一方宮部みゆきは、世界を全体にみているというよりも個人の心の葛藤をものすごく丁寧に描いている人だと思う。人間は誰しも葛藤するし、様々な感情を抱えている。嫉妬欲望期待衝動怒り畏怖の気持ち、あらゆる人間の感情に焦点を充てている。宮部みゆきにとって舞台設定はよりその感情が映えるためのものでしかないんだと感じる。だって例えどんな世界だとしても人間である限り色んな感情があるはずだから。

ミステリーを多く書いているだけあって、嫉妬や怒りや妬みや傲慢さやそういう負の感情が中心になるけれど、その中にいつも「希望」があるのがおもしろい。一見分からないのだけれど、きっと宮部みゆきはどこかにいつも「希望」を探している人なのだと思う。もちろん悲しい話もあるけれど、とても深い絶望に陥りながらも何かや誰かと出会うことで光がみえてくる様子を描くのがとても上手い。主人公に感情移入していると「希望なんてどこにもないしもうどうしようもない。」と感じて「どうすることもできない。」と思ってしまう。でも不思議と物語が終わる頃には宮部みゆきが作っておいたかすかな希望に納得してしまっている。決して無理な心理状態は描かない。主人公の少しずつの感情の変化がとても自然なものに思えるし当然のことのように感じてしまうのが不思議。そうすると読んでいるこちらも主人公とともに希望を持てるんだよ。「私ももうちょっと頑張ってみれるのかも。」って思えてしまうの。

持っている人々の傷つき、葛藤、そして希望を描いている。枠組みとしてはミステリーやホラーやSFなのに本当に暖かくなる。


荻原則子

最後に荻原規子

彼女も世界を描いているのだけれど、最初は主人公たちの文化慣習古から伝わる伝統親からの教えなどを具体的に見せてくれることが多い。それも踏まえて、次に権力者政治争いなどより大きなカテゴリに移って、そしてさらに世界の理が出てくる。そういうありとあらゆる決まりごとがあることを少年少女は実感しつつ縛られながら自分なりに生きようとしている。でも面白いのが、そういうどうしようもないことを、ヒロインの少女(少年の場合も)は迷い戸惑いながらもまっすぐ突き進んでいつのまにか周りを変えていってしまう。決まりきったことの根底さえも変えていく。そういう完璧じゃないし力強くもないのに、芯が強い少女を描くのが本当にうまい。

主人公たちに感情移入していると私もそういう決まりごとに とらわれてどうしたらいいのか分からなくなる。でもそういう決まりごとでさえも彼女たちは自分で決めたら突き進んでいってしまう。そして敵であるはずの登場人物たちもどこか憎めないし、愛らしく感じてしまう。そして最後にはそういう「世界」という枠組みさえ払い退けてしまう柔軟さを見せつけてくれる。これが本当に面白い。逆転の発想というか。それをされると些細なことで悩んでいたのがバカらしくなってしまうけれど、でもまあそうのことに悩むのも大事なことではあったんだよね。葛藤が大事で悩んで考えて自分で選択していくことが重要。結果がどうであれそうやって生きていくことで自分自身を持てるようになる。物語がどんどん壮大になっていくと思ったらフッと元に戻る。もっと平凡に普通に。でもその頃にはそれでよかったと思えるように成長している主人公たちがいて私も感慨深くなってるの。

 

そんなこんなで、

上橋菜穂子世界の素晴らしさ偉大さ畏れを感じ、そこで生きる人間の営み、知恵、人々を思い、悲しいことも多いけれど自分も世界の一部であってその中に自分がいて生きているんだと感じられるし、

宮部みゆきから人々の葛藤どうしようもないことがこの世にあると知り、だからといってどうすることもできない感情を抱えながらも生きていかなければいけない人の葛藤、贖罪、綺麗な一生を終える人なんていないから、泥まみれになりながらも生きることの大切さを知る。

荻原則子から決して強くはないのにその真っ直ぐさからこの世界の理だとしても覆してしまう少女に希望を感じる発想の転換というか逆転の発想が大事に感じる。そして力強くカッコいい少女たちがたくさん出てくるので読んでいて自分も肯定されるように思えるの!

 

本当は「梨木香歩」についても書きたいけどまだ書けるほど消化しきれていないのでまた今度!

以上!つまりみんな好き!引き続き全作品を制覇していくよ!たくさん書いたけど終わり!