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【ドナ】自閉症だったわたしへ

【ドナ】自閉症だったわたしへ

だいぶ前に友達に薦められてから読もう読もうと思っていてやっと読めた作品。自閉症について当事者が書いていてともて貴重なもの。ドナが子どもの頃には「自閉症」という言葉時代が珍しくて、彼女自身も「自閉症」という言葉と出会ったのは大きくなってからだった。もちろん「自閉症」っていう言葉を知っていても大変な人生だったとは思うけれど、周りの人はもう少し彼女のことを理解できたのではないかと思う。今は当時よりは生きやすくなっていると良いけれど。

あらすじ

オーストラリアで生まれたドナは、周囲とは違う面が多くあった。人とうまく付き合うことができず、自分でもどうしたらいいのか分からず、傷つき苦しみ続けていた。それでも自分を見つめ続け、模索し、人と関わりながら、とうとう文章にしたのが本作。

 

はじめに

この本を書き上げ、そして書き上げるまでに苦難に直面しながらもなんとか生き抜いたドナはとてもすごい本当に素晴らしい人でとても強い人なんとか前を向き続けた人だと思う。人と関わりたくてでも既存の関わり方では関われなくて自分なりのやり方を模索し続けて…。読んでいるだけでも辛くなってしまうくらいなのに。とにかく感動したしその原動力はどこから来るのか感嘆してしまう。


理由があるからやっている

すごく興味深くてものすごく勉強になったのは自閉症の人たちがよく行う動作や言動についてドナが説明をしているところ

彼女は記憶がある乳児の頃からの体験を書いているのだけれど、空中に浮かんでいる埃がキラキラしてずっと見ていたり人ではなく物と一体化してみたり。彼女にとっては人の声の方が邪魔だった。他にもおうむ返しをする理由その時の気持ちとともに記載されている。それがドナにとっての「ことば」だったのにそれを分かってくれる人はいなかった。

キラキラしたものや手触りが気に入った物を好んで、自分のフィーリングに合う物だけを食べる。きっと側から見ると不思議に思うことばかりだろうけれど、ドナにとってはちゃんと理由があって一貫して、そしてそれを大人になってから鮮明に思い出している。

彼女には彼女の世界があってそこでは安心することができた。でも暗闇が怖かったため架空の友達を作り上げていく。途中でドナが「自分自身が行っていたことは何十年もかけて修行して身につけるものだった」と書いてあってものすごく納得した。一般的に生きている人は何十年かけてその境地に行かないといけないれけれどドナはそれが子どもの頃からできたり、そうすることで危険な現実の世界から自分を守っていた。外側の世界から全く離れて意図的に自分の世界に没頭できるのはすごい。ドナは暴力などの肉体的な痛みでは自分は怖がらなかったと言っていて、それができるのも現実の世界から離れられるからだったと思う。空想上のキャラクターを作ったり、そのキャラクターになったり、解離していた部分もあるように感じた。NETFLIXのマインドフルネスの動画で修行僧は火の中に入っても微動だにしなかった箇所があってドナも同じような状況だったのではないだろうか。現実の痛みから離れることができるのは、子どもの頃から日常的に暴力を振るわれていた状況も影響しているように思う。

 

人との関わり方

ドナは急に相手との接触を立ったり、恐らく相手からするとよく分からないことや些細なことで関係を終わらせていて、でも人をずっと求めていて、彼女は本当に人が好きなんだなというのを読んでいて感じた。私の方がドナよりも全然人と関わりたくないなって思ったぐらい。

少女の間はまだよかったのだけど、大人になるにつれドナを利用しようとする男が出てくる。ドナはとても賢いのだけれど簡単なことでも騙されやすく、そこをつけ込まれることが多い。恐らく長い間家族から暴力に晒されたことも悪循環の一つになっていると思う。そしてドナ自身は暴力には心を動かされない、つまり我慢できてしまうという状況も影響している。

他にもガレージで寝泊りしたり、道端で目をつけられて男たちが家に入って来たり、怖い場面が多くて心臓が縮んだ。自閉症を持っていて「女性」であることでさらに辛い境遇に立たされている。その辺りはやっぱり男女でリスクの違いがあるし、本人も周りも男性よりもより注意しないといけない部分だと思う。利用しようとする人間がクズなだけなんだけども。でもとにかくなんとか生き残ってくれてよかった。

 

ドナの強さ

ドナは大変な状況に何度も陥っているけれどなんとか彼女はそこから何度も出ようとする。メアリーに会いに行ったのも大学に行ったのもイギリスに渡ったのも本を書いたのも全部ドナの強さだと思う。例えドナではなくウィリーが行動していたとしても本来の彼女の強さであることには変わりないと思う。何より諦めなかったことに尊敬する。

ドナは「ふたつの闘いの物語」と綴っている。「外の世界」から身を守ろうとする闘いその反面そこへ加わろうとする闘い。ドナにとっては生きること自体が闘い人と関わることが闘いで相反する葛藤があって、どうすることもできない状況に陥りながらもなんとかそこから抜け出そうと闘う。最後の闘いの部分のキャロルとウィリーのやり取りが子猫たちのやりとり、旅男についてのやりとりが心に迫る。これを自分の中で自分一人でやったなんて!

ドナととても似ていたショーンがどうなったかは分からない。ドナのように「外の世界」に対する長い長い戦いが終わる人はそんなにいないのだと思う。だからショーンのことを考えると少し悲しくなる。

ドナが自分と同じ「自閉症」と呼ばれる人たちに会いにいく。とても心に残った部分がいくつかあった。

私は彼に、こんにちはとかはじめましてなどと言ってもらおうとは思わなかった。そうしたことばは、「世の中」で動き回りたいと望んでいる人たちのことばだ。そうして彼、ペリーは、決してそう望んではいないのだ。

(中略)

彼の顔を見なくても、わたしには彼の話していることがわかった。こうして「ゲーム」は、それまでいるも、わたしのためのものだった。そして今、わたしはこうした「ゲーム」が自閉症の人間のものだと知ったのだ。

(中略)
「この子にことばがあるなんて、思ってみたこともなかった」キャスは言った。「でも今わかりました。この子にもことばがあったんですね。どうやって話せばいいのか、わたしがわからなかっただけなんですね」彼女は、息子がこんなにも「普通」に見えたのは初めてだ、とも言った。わたしもまた、他人をこんなにもよく理解してできたと感じることのは、初めてだった。

「わたしたちは、自閉症の人間にものを教えなければならないのは自分たちだと思っているでしょう」キャスは言った。「でも本当は、わたしたちの方こそ、あの人たちから学ばなければならないものがたくさんあるような気がします」

ドナはずっと「普通」と言われる「外の世界」に合わせようとしてくれていた。でも「外の世界」にいる人たちも少しずつ寄り添えればここまでドナは戦わなくてもよかったのではないかと感じる

 

エピローグ

エピローグにはドナが「わたしの世界」の言葉を紹介してくれている。同じところをぐるぐる回る理由や自分を傷つけてしまう理由など。そして愛されることをそれほど必要としてなくても暴力を勧めるわけではないこと、その他自閉症の人と関わる上での助言を書いてくれている

ドナは言葉を言葉として受け取っていない時にも相手の要求が分かったようで、

あらゆる思考は、まず感覚から始めるのだろう。自閉症の子どもにも、感覚はあるはずだ。けれどそれは孤立していて、普通のようにことばを通して表されることがない。そして不幸にも、大方の普通の人たちは、ことばとして耳から入ってくるものしか、聞くことができない。

ここがすごく心に残っていて、ことばで話せない人と心が通じたように感じた出来事を思い出した。例えば外国に行っても言語が通じなくてもなんとかなったりするし、「ぼくはイエローでホワイトでちょっとブルー」でも英語しか話せない「ぼく」と日本語しか話せないおじいちゃんは言葉は通じないはずなのに楽しそうに過ごしていると書いてあった。そう思うと普段言語に頼ることが多いけれどそれだけがコミュニケーションじゃないんだなと思う。言語にばっかり頼っている「外の世界」の方が偏っているのかもしれない。

 

終わりに

他にも紹介したいところが感じたことはたくさんあるのだけどひとまずこれくらいにしようかな。ここまで読んでくれた人がいたらありがとう。そして続編もあるみたいなのでそっちも読んでみよう。もっと当事者の人たちが書いている本も読まないとな〜。

今週のお題「好きなおやつ」

今週のお題「好きなおやつ」

 

初めてお題に参加してみる!

好きなおやつは「ヤマザキビスケット ラングドシャ」!!!

これがずーっとずーっと好きで、あんまりお菓子を食べる習慣もなかったのもあって別にお菓子ってそんな好きじゃないのだけどこれだけは好き!!

 

ただ置いてあるスーパーもあればないスーパーもあるのが悲しい。見つけたら即買いしてる。特に大人になってからはお菓子を買うお金くらいはあるのでね。大人になってよかったことの一つですね。

てかネットで買えることを初めて知った。すごい時代や。

【小野不由美】丕緒の鳥 風信

小野不由美丕緒の鳥 風信

十二国記の5巻目!丕緒の鳥の4作品目!この短編集は全体的に悲しい話が多くて読んでるとちょっと鬱々としてしまうのだけど、これは希望を感じられる作品!

あらすじ

蓮花は王に家族を殺された女は国から出ていかなければならないという王が下した布令のために。しかし国を出る旅の途中で王は斃れた。故郷に戻るのも嫌で、新しい生活を始めることになった蓮花だったが、そこは変わり者が多くいる暦を作る職場でーーー

 

読んでみて

まず蓮花の境遇が悲しすぎる。それまで「女を国から排除しようとした」ことは知っていた。でも実際にどういうことが起こったのかは詳しくは知らなかったし、表題である丕緒の鳥でも明確には描かれてなかった景麒のことを考えると前王のことをそこまで悪くは感じられなかったのだけど、こうやって描写されると本当に最低だと感じた。ここまでひどいことが起こるとこの十二国制度自体に問題があるように感じてしまう。でもうまくいけば数百年安泰な可能性もあるわけでそうなったら天国だろうけど。民主主義になっても戦争はなくならないわけだし。でも偶々そういう王の時代に生きている人たちにとっては最悪だよ。


そんな壮絶な体験をした蓮花が故郷に戻りたくないのは自然なことだと思う。故郷にはあまりにも色んな思い出が多すぎるだろうしね。最初は世間のことに疎くて自分の興味があることに関心を持っている人たちに呆れていた蓮花だけれど、一緒に過ごすうちに徐々に心が癒されていく。やっぱり俗世から離れて植物や生き物と触れ合うっていうのが1番癒されるのかもしれない。秘密の花園しかり。熊蜂と関わる場面では「獣の奏者」でエリンが同じく蜂と関わっていたシーンを思い出した。昆虫とか他の生き物って人間とは違うし、人間から離れたものだと思っていたけれど必ずしもそうじゃなくて昆虫からも人間として生きるためにどうしたらいいのか学ぶことができるのだなあ、としみじみ。しかもいろんな生き物を観察することで作物が豊作がどうかも分かってしまうのってすごい。きっと現代でも色々データを取ってやってくれる人がいるんだろうけど今までは考えたこともなかった


蓮花が人の命よりも書物を優先した彼らに怒るのは最もだと思う。けれど少しいたたまれない部分はある。でもきっとそうしないと辛くてどうしようもなかったっていうのもあっただろうな。八つ当たりすることで辛い経験を直視せずになんとか頑張ろうとしてたのだと思う

 

とにかくラストがよかった!いまいち野木っていう考え方はあんまり慣れないのだけども。王が立つだけでここまで色んな影響があって、そして希望を持ってなんとか生きようとできる。陽子にもちゃんと感じて欲しい。いやでも陽子なら分かってるとは思うけども!でも陽子が王に立つのを妨害されたお陰でこんなところにまで影響があったなんて悲しすぎるなあ〜。

↓「丕緒の鳥」の他の短編集の感想についてはこちら↓

oljikotoushi.hatenablog.com

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私の本棚 漫画編③

私の本棚 漫画編③

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ライアー×ライアー

ハレグゥでお馴染みの金田一先生!他にも素敵な作品がいっぱいあって好き。

ドラクエのフレーズ。これも好き。

ハレグゥは昔アニメ観てて好きだったー!当時も独特だと思ってたけど今観ても独特笑。魔法陣グルグルとなぜかイメージがかぶる。

 

深夜のダメ恋図鑑

ドラマ化もされた作品。少女漫画でここまでリアルで嫌な男性を描くことってなかったと思う!笑

 

尾崎衣良初期傑作集

深夜のダメ恋から尾崎先生にハマって買った作品。一番最後に載ってるペコちゃんの話が好き❤︎

 

ホットギミック

相原先生も好きなのー!特に好きなのがホットギミック!まあリアルにあったら嫌な内容が多いけども...花男と一緒でね。なんだかんだ男の子を振り回す主人公が好き。

ちなみに漫画の結末とは違うバージョンが小説になってて、そっちも好き。というか主人公的にはそっちのが幸せだろうな〜って思う。

巷ではこっちのが有名なのかな?石原さとみは可愛かった!!

私の本棚 漫画編②

私の本棚 漫画編

見事に花とゆめ笑!花とゆめ高校生くらいからなんだかんだずっと愛読している。最近もうちょい大人っぽいのに移行しようかな〜って思ったけど(高校生ものとかちょっとついていけないのある)、「暁のヨナ」が好きすぎるので終わるまでは買いそう笑。

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暁のヨナ

めちゃ好きな作品。1話からずっと読んでてずっと大好き。花ゆめの巻頭カラーはほぼ全部持っているという笑。アニメ化されたり舞台化されたりけっこう人気になっていて嬉しい。ヨナ×ハクが好きだけどもうそれだけじゃなくって全部好き。世界観が好きすぎる。こういう大河系の少女漫画好きだなあ〜!

 

②偽りのフレイヤ

本屋さんでお勧めされてあって買ったのだけど、流れとしては好きだった!けど結局2巻で止まっている笑。ちょっといいな〜って漫画が多くてなかなか集めれない。

 

俺様ティーチャー

俺様ティーチャーの1巻から!最近終わってしまって悲しすぎて短編集とか出して欲しい…。ちなみに椿いづみ先生の作品は「月刊少女野崎くん」も有名。というかこっちのが知名度高くてちょっと悲しい。こっちもいいけど推しは俺ティーなの。

私の本棚 漫画編①

私の本棚 漫画編

家に大量に本や漫画があるので簡単に紹介していきます〜!

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①チーズ・イン・ザ・トラップ

某漫画サイトで載ってて好きに。全巻欲しいんだよね〜。雪がデレないところが好き。笑

 

水沢めぐみさんの作品

②キラキラ100%
オレンジ革命

キラキラはおしゃれとかメイクに興味を持ち始めた頃と合わさってワクワクドキドキしたし、オレンジ革命なっちゃんが可愛すぎる!!

 

④青いふたり

に届けと同じ作者さんの作品。特にロミジュリが好き笑

 

谷川史子さんの4作品

⑤吐息と稲妻
⑥はじめてのひと
⑦忘れられない
⑧積極

谷川さんの作品がめちゃ好きになってひたすら集めてた。大人っぽい純愛なんだよね〜!深い!特に吐息と稲妻が一番好きかなあ。

 

⑨てのひらに秘密をひとつ

深夜のダメ恋図鑑から好きに!女の子の本音やリアルな男性像を描いてるのが良い!

 

高台家の人々

妄想具合がツボ。綾瀬はるか主演で映画にもなって映画もなかなかよかったよ!

 

11 明日のナージャ

永遠に好きな作品。読んでると子どもの頃を思い出す。キュン死にする。

12 俺様ティーチャー

かなり好き。つい最近終わってしまって悲しいー!私は真冬×鷹臣ペアが好き。

【小野不由美】丕緒の鳥 青条の蘭

小野不由美丕緒の鳥 青条の蘭

十二国記5巻目!丕緒の鳥3作品目!

 

あらすじ

季節は極寒期。一人の男が丸太を筐に入れ運んでいた。雪道の中一刻も早く向かおうとするその理由とはーーー?!

 

読んでみて

これは熱い!!最初は理由も分からず、一人の男・標仲がとにかく急いで丸太をどこかに運ぼうとしている。どの国かは分からないが、王が斃れたためとにかく荒廃がひどい。そして役人たちの間で不正が横行し、町は荒れ、民は希望を失う。新しく王が王位についたとしてもこの荒廃が良くなるのかどうか人々は希望を持てないでいる。そんな中で標仲は希望を捨てずに、というか捨てることもできないからとにかく頑張っている。

この物語には標仲と包荒と興慶の3人の男たちが出てくる。彼らはそれぞれ違う生き方をしていて、こういう事態にならなければ3人で協力してどうこうすることもなかったと思う。標仲なんかは本当に何事もない時代であったなら多分そこそこの仕事をして終わってたんだろう。

少しずつ全貌がわかっていくにつれ読んでいるこちらも標仲を応援していて、王宮まで繋げて欲しいと手の汗を握る。寒いの苦手なのでいくら仙籍に入っていても雪の中を歩くなんてすごいな〜と思ってしまう。

最後のオチの描写もクドくなく、さらりとしているけれどすごく感動した。はっきりとどこの国か分からなかったけど、ちゃんと一文があったらしく!なんと雁!尚隆登極前ってこと!尚隆なら!王宮まで行けばなんとかできる!はず!よかった!!